カオス理論
電車を降りると、卵を急にぶつけられるんだ。しかも下投げじゃないよ?上投げ。めっちゃ球速はやいの。僕メガネかけてるんだけど、今日なんて顔に卵当たってメガネ吹っ飛んだのよ。なんで僕ばっかりこんな目にあうのかって?いやいや、それはきっと僕がそういう人だからなんだよな。つまりそのなんていうか、理由は無いってこと。卵をぶつけたくなる顔をしてるんじゃない?だって君だって喉乾いたら飲み物飲むでしょ?お腹すいたらご飯食べるじゃない。眠くなったら寝るし、遊びたければ遊ぶ。それと同じなんだよ。かと言ってそんな自分に満足しているかって聞かれたら答えはノーだ。できることなら僕だって卵はぶつけられたくない。
3組の川井は歩いてるだけでお金もらえるんだ。2組の田島は発言するごとにジュースをみんなに奢ってもらえるし、4組の石井は掃除の時限定だけどみんなに褒めてもらえる。こいつらは、俗に言う勝ち組ってやつだな。うん。素直に羨ましい。でも僕よりも酷いやつだっているんだ。4組の高橋は学校に来ると物が一つずつ無くなるし、2組の青山は給食に毎回虫を入れられる。それに比べれば卵をぶつけられることくらいで弱音を吐いちゃダメだよね。この世はそう決まっているんだもん。もう変えることは出来ないんだもん。生まれた時から勝ってるやつと負けてるやつに分かれているこの世界はつまらないのかな?それとも楽しいのかな?少なくとも今の僕は楽しいと思ってる。だって1組の田辺の引き出しに鳥の死骸を入れるのは僕の役目だから。