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元無気力少年の日常

 入社してしばらくが経ち、ようやくとある作家の担当に着くことができた。

 その作家は、売れてるってほどでもないけど売れてないってわけじゃない兼業作家だった。

 ちなみに僕は高校時代にこの人の作品を読んだことがある。文体が特質で、話の運びがうまかった。

「はじめまして、早見です。これからよろしくお願いします」

「はじめまして。浅野です。こちらこそ、よろしくお願いします」

 簡単な挨拶を済まし、今後の話に移る。この作者は先月シリーズものを完結させたので、新作の打ち合わせだ。


「あら、期待の新入社員さんじゃない」

 社内の食堂で昼食を取っていると、月夜が来た。

 月夜は元からロングだったのだが、それをさらに伸ばしていて今は腰辺りまである。

 ちなみに月夜が今つけている髪飾りは、高校卒業の時に元文芸部の部員でプレゼント交換なるイベントをしたのだ。僕の学年に男子の文芸部員は他にいないので髪飾りでいいかと適当に選んだものだ。

 髪飾りといえば入院中の瑞乃に一度みんなで見舞い品を送った事があったな。僕の贈り物はあれも髪飾りだった。

 今はもう連絡を取っていないから現状は知らないが、つけてくれているといいな。

「……瑞乃は今頃何をしてるんだろうな」

 僕は向かいに座った月夜に言った。

「さぁ。何をしているんでしょうね」

 これは、おそらく嘘だろう。月夜は何かを知っている。それが何かは知らないが。

「この前兄さんが電話で話しているのを聞いてね。あの子の大体の事情は知っているわ。聞く?」

 そういえば如月グループは医療にも手を出していたな。だから華月さんが出てくるのか。

 そういえばここの面接を受ける前華月さんに言われたな。如月家に入らないかと。それすなわち月夜と結婚しないかと。断ったけど。

「……いや、やめとく。なんだか近頃調子がいいんでな。変な話聞いて調子持ってかれたらシャレになんねぇよ」

 月夜は微笑んだ。

「そういうところは、変わらないのね。貴方。貴方にとっても悪い話じゃないのだけれど。そういえば私達がここに入社できたのが兄さんの圧力という可能性が出て来たわ」

「え?なんで?」

「兄さんが事業拡大とか言って如月家傘下の本屋を建てたのは知ってるわね。かなりの規模の本屋だったし、その他色々とこの会社と如月家に関係があった事が分かったのよ」

「まあ、どのみち僕たちに関係はねぇよ。寧ろそっちの方がありがたいまである」

 そう、と言い残し、早々に食べ終えた月夜は去っていった。

ああ、完結までもう2週間切ったのか……

最終話かなり面白くできたのでもうすこしお付き合いください!

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