彼女を照れさせる方法。
「へぇ。がんばったのね」
「まぁな」
「で?昨日は夜遅くまでお外で何をしていたのかしら?まさかもう……」
「何だよ。嫉妬か?」
「ええ、勿論」
「やけに素直だな」
いつもならもうちょっと噛み付いてくるのに、と思いながら問う。
「だって……」
どこか煮え切らない。
「いえ、なんでもないわ」
そうは言われても、気になる。
それ以上の追求はしないが。
部活に行ったら祝福、新聞部の取材でうんざりした。
今日は『宵物語』と『化物語』のコミカライズ1巻の発売日なので、本屋に寄るために瑞乃と一緒に早めに帰り、昨日もきた某ショッピングモールの中にある未来屋書店に入る。手を繋ぎながら。
ついでにラノベコーナーを覗く。
「私あんまりライトノベルって読んだことないんだよねー」
ほう。この気に全力で進めてみようか。
「なんか好きなジャンルとかあるか?」
「あれとか読んでみたいかな。なんだっけ。あの変態が出てくるラブコメ」
「……もしかしてこれか?」
僕はMF文庫Jの棚から『変態王子と笑わない猫。』を手に取る。
「そうそう!確かそんなタイトルだった!どんな話なの?」
「簡単に言うと常に女子の事を考えている変態は建前ばかり並べてしまう自分が嫌だったから噂になっていた笑わない猫像っていうお供え物をすると自分に必要無いものを引き取ってくれる像にたまたま出会った女の子と一緒にお参りするんだ。そしたら自分は本音でしか話せなくなって、女の子は表情を失ってな。それを取り戻すために色々するやつ」
「全然簡単じゃなかったけど?喋って聞けば結構簡単に思えるかもしれないけど文字だと結構難しいと思うけど、大丈夫?」
「読者の皆さん、文句は作者にどうぞ」
作者(いや、さがら総さんにどうぞ)
KADOKAWAに土下座してこい。
そういえば今のメディアファクトリーは変猫が始まった後にKADOKAWAと合併したんだっけ。多分メディアファクトリー潰れかけだったんだろうな。ラノベ界も複雑だな。
佐原はよくこんな世界に入っていったな。確か佐原MFから本出すっていってたな。無常もどっかから出版してくれないかなー。佐原長月さんとか平坂さんとかさがらさんとかからサインもらってきてくんないかなー。
隣を見ると、瑞乃は色々なラノベをみて、色々なジャンルの本を4、5冊抱えている。
「それ、僕全部持ってるから買わなくても貸すぞ」
「借りるのってなんか怖いんだよね。汚しちゃいそうで」
よし、ちょっと照れさせてみよう。
「……結婚すれば二人のものだろ」
恥ずかしい。瑞乃も真っ赤になりながら驚いている。
話を変えた方が良さそうなほどに。
「あ、そろそろ作者の時間の関係で終わらなきゃだから帰ろうか。また明日来よう」
「う、うん。そうだね……」
想像上の瑞乃は青みがかった黒髪なので真っ赤になるシーンはとても可愛くなります。




