それにより、私は。2
ベッドに潜り込んだ時には、もう三時を過ぎていた。
普段夜更かしをしない私からすれば、この時間に起きていた事はほとんどないので無駄に感動を覚えてしまう。
この時間までパソコンと向き合うほどに、嬉しかったのだ。
まさか、自分の書いた小説が賞を、ましてや金賞を取るなんてただの夢物語でしかなかったから。
でも、それにより私は親とけんかした。
正直、どうすればいいのかなんて分からない。だって、作家になるなら春休み中に東京に引っ越せ、なんてさ。あまりにも残酷だと思わない?
***
「ん、もうこんな時間か」
読書好きは分かると思うんだが、夜に本を読んでると集中し過ぎて午前四時とかあるんだよね。
急に襲って来た睡魔には逆らわず、すぐに横になる。
ふと脳裏を横切ったのは、佐原だった。
あの時の、悲しそうな顔が、頭から離れなかった。
午前七時。まあ三時間寝たしもういいかな。今日は土曜日。つまりデートなわけで。頭は何故かスッキリしてるし大丈夫でしょ。
「やっほ、早見君☆」
謎の星マークとともに現れるは佐原彩理だった。ちなみに水上は後ろで縮こまっている。
いつも通りの笑顔に見えるが、これは空元気だ。それも、相当な。
「ごめんね、彩理ちゃんも一緒に遊びたいって」
デートとは果たして遊ぶと共通認識でよろしいのでしょか。僕としては水上との会話をする必要がなくなりそうなのでありがたいのだが、水上は至極残念そうだ。
「さ、レッツゴー♪」




