私の気持ちと。1
「お兄ちゃんどしたの?顔赤いけど。」
「気にするな妹よ。僕はもう寝る。」
「寝るってまだ8時……」
がしゃりと、部屋の扉を閉める。
ベッドに倒れ込み、思い出されるのはあの事。
そう、水上とのキスである。
突然で驚いたが、男としてはかなり憧れのシチュだろう。
美人がいきなりキスしてくるのだ。まあ、そんなの僕には関係ないのだが。まずもって興味無いし。女に。だが阿良々木君のように性欲はなくならない。エロい妄想もなくならない。これは高校生男児の誰もが思う事だろう。
人間は欲求には敵わない。いやね、うん。勝てるわけないじゃん。
柔らかかった……
月曜日、部室に行く。その途中で瑞乃に会った。
「読君、ちょっといいかな?」
袖を引かれる。月夜ほどではないが、僕と瑞乃にもかなりの身長差がある。僕の身長が高いだけなんだけどね。
校舎裏に連れて来られて、瑞乃ほ口を開く。その顔は火照っている。
「えっと……キス…しちゃった…事…なんだけど…」
制服を掴んだ手で口周りを隠す。ぶっちゃけ可愛い。
「その…あれ…一応私のファーストキスなんだけど……」
言葉と言葉の間には、結構な間があった。
「もう一回…ちゃんとしたいなって…」
普通の男ならもう理性が崩壊しているところだろうが、僕には通じない。さすがに危なかったが。
僕は頷く。1回も2回もそう変わらないだろうし、何より断ったら瑞乃が泣き出しそうだったからだ。
顔が近づく。そっと背中に手を回し、唇を重ねる。
前みたいに短くはなかった。10秒ほどだったのだろうか。その時、僕のスマホが震えた。
電話である。表示された名前は嫁(月夜)。
瑞乃は素早く離れた。よほど照れているのだろう、顔すらこちらに向けなかった。
『この浮気者。』
「残念ながら僕はお前と付き合ってもなければ結婚もしていない。したがって浮気にはならない。」
『あら、一つ屋根の下で暮らしたなかじゃない。』
「たった数日だしそれ七峰以外全員だからな。」
『その中で貴方に告白したのは私だけよ。』
「うんそれ完全に関係ないし僕それ振ったからな。」
『ちっ』
言い残し、電話は切れた。いつもの月夜ならもっと言い返してきたところだが、よほど焦っているのか頭が働いていないようだった。
「読君。」
瑞乃が近づいてきた。
その笑顔の裏には、はっきりとした独占欲があった。
「責任、取ってね。」
今までで一番の笑顔を見せて、瑞乃はそう言った。
はい、瑞乃ルート濃厚ですね。
2章は結構短く終わる予定で4月前半ぐらいには終わると思います。まあ、予定通りにいかないのが僕とこの小説ですが。
読者の皆様のおかげで現在98ptでございます。後ブクマ一人で100ptの大台に乗るわけです。ぜひ、ブクマお願いしますと言ったら逆に来ないって事は学んだので言いません。




