文芸部と百人一首。2
先程までのキーボードの音に加え、今は札が空を切る音にならない音が響く部室。
キーボードは彩理ちゃんがパソコンをいじっている(カンナちゃんがうねうね絡みつつ)音で、札というのは百人一首の事である。
百人一首は、私、早見君、月夜ちゃんの三人でやっている。(羽衣ちゃんは読み手。奈々美ちゃんは見学)ちょうど40枚を読み終わった所で、早見君32枚、月夜ちゃん6枚、私2枚という割合だ。なんか一人桁が違うけども。
というか2枚も取れた私を褒めて欲しい。こいつら怪物。私を一応全部覚えてるんだけどなぁ……
次の札が読まれ、札は一瞬にして飛んで行ったのだが、タイミング悪く開いた扉に刺さった。
「ひっ!」
なんとも間抜けな悲鳴を上げたのは、早見君達と同じクラスの東雲 詩乃だった。
「えーと、早見君?だっけ。居る?」
まるで何も無かったかのように言葉を発した東雲さん。
「何の用かな?」
「ちょっとお願いがあって来たんだけど、あ、ちょうどいい!」
そう言って、机の方にやって来て百人一首の札を手に取る。
「早見君、私に百人一首を教えて欲しいの!」
一瞬、光が満ちた早見君の瞳だったが、数秒後にはまた曇る。
そして短いため息を一つ。
「カースト上位って、本当色恋沙汰好きだよな」
東雲さんは首を傾げる。私にも意味はわからない。読者の皆様は見えたかもしれないが、私には『そういうの』の下の漢字らしきものは見えていないのだ。
「まあ、いいよ」
今度は誰にでもわかるほどに大きなため息だった。
「全部覚えろ。話はそこからだ」
小倉百人一首の全てがプリントされた紙を渡し、早見君はそう言った。
そして五分おきにテストをする。その繰り返しだった。
それが終わった後は、ひたすらに実戦練習だった。
早見君では相手にならないので、自ら読み手に行ってくれた。
結果、彩理ちゃんとカンナちゃんを除く四人での勝負となったのだった。
「はいっ!」
羽衣ちゃんはさすがの運動神経で、札を取っていく。
ぱさっ
月夜ちゃんは静かに札を重ねていく。
「よっ!」
動きこそ完全に素人で、札もうる覚え。それでも着実に枚数を増やしていく東雲さん。
で、私はというと、何故か一番多く取っていたのだった。まさか月夜ちゃんよりも多く取れるとは……
「今日はこんなもんかな。土日もしっかり練習しとけよ」
今日のだけでも結構きつかったのだが。(超ハイペースの百人一首×4回)というかフラフラなんだが。
ん?ああ〜明日土曜日か。
「じゃ、明日は駅前に10時にね。」
早見君だけに聞こえるようにそう言った。
はいはーい、明日は皆さんお待ちかねのあの話ですよー。
一話改稿したんで、容姿の情報をここに。
羽衣:亜麻色ショート
月夜:色白黒髪ロングサラサラ
2章は1章と比べてイロイロ増えます。これからも楽しんでいただけるように頑張ります!




