彼と『彼女』のマリッジライフPart5
幼馴染との結婚ほど合理的なものもないのではないだろうか。
幼馴染というものは、基本的にかなりつきあいの長い人であり、それだけ自分の事を理解していて、自分もまた同様に相手の事を理解している。
互いを理解し合っているからこそ、一緒に育ってきたからこそ、そこにはわだかまりも照れ臭さもなく色々な事が可能になる。
例えば、初夜を迎えた時。いや裸とか見慣れましたから感が出てきます。ムードぉ…
思い返せばそれももう3年も前の事なのである。早いなぁ。
キーボードを打つ音だけがそこには響いていた。俺だけがいるこの空間。それは 編集部では珍しい事ではなく、特に俺のような問題作家の担当だと。あの野郎今日締め切りだって言ったのに午後11時50分に「デッドいつ?」って聞いてきやがった。後10分でデッド終わりなんだよ。余裕でオーバーなんだよ。
俺も佐原のような優等生作家の担当に就きたかった。
不意にスマホが震える。
「今日帰ってこれないの?」
とラインが来た。可愛い。やはり俺の幼馴染は最高である。
「悪い。今日もこっち泊まり」
とだけ返す。
色々な部署への謝罪、土下座、靴舐めなど、やる事だらけだぜ。さすがに靴は舐めたくないが。
ちなみにキーボードを叩いているのは俺ではない。隣の部屋から聞こえて来ている音である。そう、この出版社随一の問題作家、無闇御影である。結構な売れっ子なのだが、サボりぐせがあり、苦労している。まあ、こいつに書かせて食ってる身としてはノーコメントだが。
キーボードの音はさらに加速し、パソコンが壊れるのではないかというレベルに達していた。
こいつ、書くスピードは業界トップクラスなんだよ。普段からやってくれていれば俺も苦労しないのだが。
「早見ー出来たぞー」
キーボードの音が止まり、声がかかる。
「おつかれ。お前のせいで俺の嫁が泣いてるじゃねぇか。どうしてくれるんだ」
「その分俺が売れてお前の給料上げてやるから問題無し。」
これも恒例の流れとなっていた。
まあ、どのみち俺は今日泊まりなわけだが。
プクーと、2次元だからこそ許されるほっぺを膨らませる羽衣。可愛い。
泣き腫らした後と、紅潮した頬の絶妙なバランス。可愛い。
仕事という事は理解しているが、俺の事が好きすぎる羽衣は少しの間俺会えないだけですぐこうなるのだ。
全く、いつまでこんな感じでいるつもりなのだろうか。これが再来月には母親になるというのだから心配でならないが、俺としては可愛いのでプラスである。
羽衣書きにくいんで仕事の話で誤魔化す。すいません。
昨日はブクマが3件増えました。ありがとうございます。何故僕の作品は文章評価などがほとんどされていないのだろうか…まあ、気が向いたらよろしくお願いします。




