彼と彼女の、これから。
「分かっても解らねぇんだよ。恋心なんてな」
そんな声が後ろから聞こえた。
「なら、私が教えてあげるよ。解るまで」
扉を閉め、階段を少し降りたところに座りこむ。
深呼吸を一つ。
何をやってるんだ私は!
完全に逆効果だろ!最後のなんだよ!教えてあげるよってなんだよ!恥ずかしい。恥ずかしい。いなくなっちゃいたい。何が恥ずかしいかって愛されたいのくだりが一番恥ずかしい。
屋上前の踊り場に戻り、扉を少しだけ開く。
なんと、早見読はその場に倒れ混んでいた。
なんか雨ものすごいんですけど。さっきまで降ってなかったよね?ああ、これがご都合主義ってやつかなのか?作者め。
てか早見君結構すごい顔してるよ?大丈夫なのかな?
その時、スマホが震えた。電話だった。月夜ちゃんからの。
すぐさま屋上を離れ、適当なところに身を隠す。
『お疲れ様。まあ、完璧とまではいかないまでもそこそこのものだったわ』
褒められてはいるのだろう。だが、声。ひどくないですか?何この呆れ混じりの声は。声色と言葉が全くもって合ってないんです。
『最後は特に酷かったわ。貴方がやった意味の大半がないじゃない』
ですよねーはい。気づいてました。
『でも、これも貴方にしか出来なかった事、なのよね。ちょっと悔しいわ』
そう言われると、私は言葉に詰まる。
次はどんな言葉が来るかと待ち構えていたのだが、その電話は急に切れた。
その電話と入れ替わりに、ラインが来た。早見君からだ。
俺には、恋心なんて解らない。
だから、俺に教えてくれ。その、恋心ってやつを。人間ってやつを。
俺を、人間にしてくれ。
その言葉を見て、顔が熱くなる。まさか真に受けるとは思ってなかったんです。
でも、これって一緒に入れる口実が出来たって事なんだよね、やったよ。瑞乃ちゃん歓喜。
またラインが来た。明日、午後11時に会おう。と。
明日は、十二月最後の日。すなわち、大晦日、それは、もはやデートと言っても過言ではないのでは!?
次の日、午後11時。
「おまたせ」
と、私は5分前に着いたのだが、すでに彼はそこにいた。
「俺が来てから1分32秒だ。気にするな」
……それ、めっちゃ気にしてますよね。はい。私的にポイント低い返しです。
やはり混んでいる神社。新年の、1分前。
カウントダウンが始まる。
今年は、色々あったなと思う。
だが、来年はもっと色々あるだろう。早見読が、隣にいる限りは。その色々は、止まらない。だが、それもいい。
好きな人と、年を越す。来年も、同じ景色が見れる事を願いながら。
はい。とりあえず話はひと段落つけたつもりです。
無常はこれからさらに面白さに火がつきますよ!多分!
ラブコメ要素は薄いけども、恋愛要素はそこそこ絡めてるつもりです。ちなみに一応メインヒロインは瑞乃なんですが、影薄いですね。最後の方は語り部だったんで問題ないけども。
明日から一週間は、『彼と彼女のマリッジライフ』を投稿します。僕が書きたいだけなんであまり面白みはないかもしれませんが。
読者の皆様、これからも末永く読君の人生にお付き合い下さい。




