だから、彼は。3
理由がわかっても尚、自分でなければ、などと思っている私は多分人間として終わっているのだろう。
それは、私に任してくれた月夜ちゃんへの、冒涜ではないだろうか。
月夜ちゃんは、私にしか出来ないと、私でなければいけないと、そう言ってくれた。ならば、私はそれに応えたい。
早見読と同じ舞台へと、足を踏み出したい。
彼のその才能の奥底に、触れていたい。
彼を愛したい。
彼に、愛されたい。
それが今の私の、ただ唯一の望みであり、唯一の方法だった。
「何故出ないぃぃ!!!」
シリアスからの絶叫。良くある展開ではあるのだが、この絶叫はシリアスとは全く持って関係のない早見読へのイラつきでなりたっていた。
「30分の間に何回電話したと思ってるんだよぉぉぉ!!!」
ラインも大量に送っている。多分背筋が凍るぐらいに。
なのに、奴は出ない。本読んでるだけだろ、思いかけたが、『だけ』じゃないと言う事を学んだばかりなのに、彼には、それ以外がないと、はっきりと意識したばかりなのに。私は、やはり、人間として、終わっている。
***
「おぉぉ…」
おぞましい。背筋が凍るをはるかに通りこす寒気がした。よくスマホ耐えたな。と思える程のライン、着信だった。めっちゃ重いんですけど…
これが羽衣や月夜などから来たのであれば無視ではい終了だったのだが、水上と言う所に引っかかる。何度も繰り返されたラインの最後に表示された一文。
『今すぐ話がしたい』
***
覚悟は出来た。
彼を見よう。
彼を知ろう。
彼を、殺そう。
扉が開く音がした。早見君が来たのだろう。私からは背を向いているので状況は分からないが。
場所は屋上。部活動に勤しむ生徒ですら、ほとんどいないこの日に、学校と言う場を私は指定した。
さあ、始めよう。早見読の解体を。
はいどうも急に後書き書き始めたわけわからん野菜こと人参です。
いま現在クライマックスを迎えているつもりのこの『無気力少年のラブコメ的日常』略称(仮)は『無常』ですが、まだまだ続く予定です。
これからも(ブクマ、感想など)よろしくお願いします。




