番外編。文芸部が出来たから。1
「あー如月は今日学校に来てないな。体調不良って事になってるわ」
「そうですか…じゃあ、今日は部活無しで帰りますね」
「お、一人じゃ寂しいのか?君にも人間らしい面があるんだな」
「そのにやけ方、気持ち悪いです。そんなだから愛想尽かされるんですよ」
月夜は、休みだった。なら部室にいないのもしょうがないのかもしれないが、如月月夜は何があっても、いつもそこにいる存在のように思えるのだ。
病気であっても、執念で体を動かして、ここにいる存在。そんな風に思えるのだ。
「先生、月夜の住所、教えてもらっていいですか?」
「月夜なら寝ているよ。悪いが帰ってもらえるかな」
無愛想で冷徹な声が、インターホンから聞こえてくる。その声に、一気に現実に引き戻される。体が勝手に動いた、とでも言うのか、気がつけば如月家の前に来ていた。
ばっさりと切り捨てられ、僕は家に帰る。午後4時28分。6時よりも早くに家に帰るのは、思えば久しぶりのことだった。
面倒くさいと思いながらも、心のどこかでは、あの空間の事を大切に思っている自分がいた。
この短期間で、どれだけ如月月夜に影響されて来ただろうか。
ただの風邪だと知っても、月夜が隣にいない事で胸が苦しくなる。
家に帰ってからも、その感覚に嫌悪感を覚える。それは留美も同じようで、時折寂しそうな表情を見せる。
部屋で本を読んでいても、夕食を食べていても、不思議な感覚が、体に宿っている。その日は寝付きが悪く、徹夜で、読書をする事にした。
今日の授業は寝て過ごした。普段からずっと本を読んでいるからか、何も言われなかった。
そして向かえる放課後。
部室の扉を開くと、視界の端にその姿を捉えた。
「私がいなくて寂しかったかしら?」
「……少なくとも、いつも通りには過ごせなかったな」
月夜のいつものからかいの言葉に、答えとも取れる言葉を返す。
「そう、じゃあ部活動を始めましょうか」
「今日はうちに来ないのか?」
「家に女の子を連れ込んで何をするつもりかしら?」
「妹と遊ばせるだけだが?」
「遊ぶ対象に、貴方が入っているのなら、行くわ」
「なら問題はないな。さあ、行こうか」
「貴方も言うようになったわね」
「この現象に慣れたからな。適切な対処をしているだけだ」
そんなやりとりを交わしている間に、家に着いた。
「お邪魔します」
「いらっしゃい」
「いらっしゃい月夜さん!」
これが日常になってしまった時、これが当然と思えるようになった時、僕はどうなるのだろうか。
その時は、もう少し素直になれるだろうか。
あれ?いつの間にか月夜フラグ立ってない?




