番外編。文芸部が出来てから。2
番外編、後ちょっとだけ続きます。
具体的には、読のスマホが壊れるあたりまで。
元来読書とは、一人でするものだ。文芸部を作ったのは、学校の決まりに従っただけに過ぎない。
つまり、退部する事に、なんら躊躇はないのだが、半年はやめる事が出来ない。
どうすれば如月月夜と会わずに済むのだろうか。
今日も授業中は読書をして過ごした。6限までの5時間で3冊読んだ。この行為は、初めこそ口うるさく注意されたが、今となっては呆れられるだけで何も言われない。やったぜ。ダメじゃん。
そして訪れた放課後、僕は部室に行かず、真っ直ぐに家に帰った。前の帰宅部だった時とは違い、本屋には寄らずに、本当に真っ直ぐ、出来るだけ早く家に着く道を通って家に帰った。
極論だが、月夜に会わないためにはこれが一番簡単で、楽だと思った。
「お帰り。今日は早かったねー」
「ああ、部活行ってないからな」
留美への対応もほどほどに、自室で読書に興じる。やはり一人でいると集中出来る。
しかしそれは長くは続かなかった。
突如として、スマホが鳴り響く。
知らない番号からの着信3回。無視して読書を続けようとするが、大量のラインが来る。そのラインは300件を超えたが治らない。
怖い怖い怖い怖い怖い。
電話番号もラインも僕なんも教えてないよね!?月夜さんさすがにヤンデレ過ぎません!?
「読君、何故電話に出なかったのかを説明してもらおうかしら」
なんでうちに居るんだぁぁぁ!
「ごゆっくり〜」
留美!?何やってくれてんの!?
「さあ、部活動を始めましょうか」
「はい…」
部活動と言っても、本読むだけなんだけどね。それが唯一の救いかな。
「ご馳走様。また来るわね」
「楽しみに待ってますねー。あ、でも兄は渡さないので」
夕食をうちで摂り、月夜は去って行った。ようやく心を落ち着ける事が出来る。
というか留美は何がしたいんだ……。月夜を家に上げたり、僕は渡さないとか言ったり……。
せめてどっちの味方かぐらいははっきりしてくれよ…。つか渡さないって何よ。誰と結ばれようが僕の勝手でしょうが。
後、強制的に電話番号とラインを交換させられた。ちなみに強制したのは留美だ。だから何やってんだよ。
身体を休めるために風呂に入り、読書を開始しようとした時に、また月夜からラインが来る。
「明日部活に来なかったら泊まりに行くわよ」
逃げ道は完全に閉ざされたようです。




