番外編。文芸部が出来るまで。1
番外編です。2、3日続きます。
いつにも増してラブコメ要素は少ないですが、気にしないで下さい。
もうこれタイトル詐欺だよね。
高校に入ってから、一週間が経った。
僕は何もしたい事が無く、自分の学力で楽に行ける高校を選んだものだから、あまりこの高校について知らなかった。
なので、この学校は部活動強制参加だと言うことを知らなかった。
適当に入って、すぐに辞めるか。と思ったのだが、半年はやめられないらしい。ふざけんな。横暴にも程があるだろう。
もともと読書以外に興味の無い僕に、半年も無駄な部活をしているのは、地獄にも等しい。
僕に与えられた時間は二週間。それまでにどこかのクラブに入らなければ、担任によるランダム選択が待っている。
何か解決策は無いものかと、生徒手帳を読んでいた。
当然ながらに、新しくクラブが作れるらしい。
まず、僕は職員室に行った。
「文芸部?別に作るのは構わんが、部員は最低二人だぞ。お前友達いないだろ」
冷徹にそう言い放ったのは再来先生。この人は今クラブの顧問をしていないそうなので、この人の所に行ったのだが、部員がもう一人必要らしい。
もともとボッチ気質な僕に、誰か一人部員連れてこいだと?僕の麗しいフェイスに見とれる女子が現れるにはまだ早いだろ。
というか高校生活一週間の間に話した生徒とか羽衣だけだぞ。
ちなみに羽衣は早々にテニス部に入った。
僕の高校生活はもう詰んでいるようだった。
茶道部に囲碁将棋部。吹奏楽部と軽音楽部や工芸部そして美術部さらには漫画研究部と、奇術部なるクラブ。
ざっと並べた文化部。どれもピンと来ない。それはそれぞれの誘い文句を見ても変わらなかった。
ついでに運動部も羅列してみよう。
野球部、サッカー部、ラグビー部、バスケ部、テニス部、バドミントン部、陸上部、卓球部、水泳部 、バレー部など、どれもゴミのような運動量を誇りそうだ。
「ご飯って言ってるの聞こえないの!?」
おっと、妹君がお怒りのご様子だ。
次の日。やはり僕には部員探しは無理らしい。だが、期限いっぱいまでは頑張ってみようと思う。それで無理ならランダムに身を任せてサボるだけだ。
妹曰く、僕はなんでもかんでもすぐにやめてしまうから、たまには続ける事を覚えた方が良いとの事。
悩んでいてもしょうがないので、というか物語が進まないので、学校帰りにイオンモールによる事にした。方向真反対だけどね。
未来屋書店は基本的にかなり品揃えが良い。
ちょくちょく売れている本を追加で仕入れていないため、シリーズの一巻が無いということが多々あるのがマイナスポイントだが、純文学からライトノベルまで、幅広いストーリーを取り扱っている所は評価するべきだろう。
今日は、『イシュダム・コード』なる本を買った。自殺者が加速的に増えると言うあらすじに強く心を惹かれた。
一通り本屋内を見て周り、帰ろうとして文芸図書コーナーを通った所に、僕の高校の制服を着た、すらりとした顔立ちで、黒髪ロングの、そしてバランスを崩すように身長の低い、周りとは明らかに違う雰囲気を放った女性がいた。
上の方の棚にある本が取りたいらしいが、届かないらしい。
たまには人助けでもするかな。と、その本を僕が取った。僕も男だけあってタッパはある。
その時の女性こそが如月月夜であり、これが僕と月夜の出会いだった。




