とある非日常のお話。
とある朝の事。
目を開くと、そこには月夜の顔が広がっていた。
恐る恐る立ち上がり、自分の部屋の中を見渡すと、羽衣、水上、佐原、カンナが、月夜と合わせて、円を描くような形で眠っていた。
ちなみに中心には僕の布団がある。
月夜で円が乱れていない事を考えると、僕の寝相は相当悪いらしい。
やっと頭が働き始め、現状をどうにか理解する事が出来た。
昨日あの後、結局全員泊まって行ったのだ。
夜遅くまで王様ゲームや大富豪などをして遊んでいた記憶がうっすらと残っている。うっすらとしか残っていないのは、僕が読書をしながらしていたからである。
今更のように気がつき、時計を見る。
目覚まし時計として功を成しているそのデジタル表示の時計は、午前9時を指していた。
また遅刻か、と一瞬考えたが、その数字の下に「土」と書いてあり、今日が土曜日である事を思い出す。
コンコンと、ドアをノックする音が聞こえ留美が入ってくる。
「昨晩はお楽しみでしたね〜」
と、ニヤニヤしながら留美は言う。
「まあな」
楽しんでいたのは事実なので、嘘はついていない。留美がどういう意図で聞いてきたのかがわかったし、どうとでも取れる言い方をしたまでだ。
留美は驚きの表情を見せ、すごすごと部屋を出た。
と、思ったらまた入ってきた。今度はノックは無い。
「朝ご飯できてるからね」
と言い残し、今度こそ部屋を去っていった。
さてと。僕は深呼吸をし、一人一人蹴って回った。わざわざ声をかける事すらめんどくさい。
ちなみにこれで起きたのは水上と佐原だけだった。二人もまともな人間いて良かった。ていうかどうなってんだ。なんで他の三人起きないんだよ。
「優しい声で愛の言葉を囁いてくれないと起きないわよ」
「バッチリ起きたんじゃねぇか!!」
その他はおいていき、朝ごはんを食べることにした。
朝食を摂り、(結局月夜はちゃんと起きた。)部屋に戻ると、ぷく〜と膨れていた羽衣とカンナ。
その二人には目もくれず、僕達は出かける準備をする。朝食中に決まった事なので、この二人は知らないはずだ。
僕は着替えをもって部屋を出た。
いや女子だらけの部屋で着替えるほど僕バカじゃないよ?
15分後、六人(当然ながら羽衣とカンナもついてくる)で家を出て、駅に向かう。
文芸部の課外活動を兼ねて、中央図書館へ行くのだ。ここは市の端っこなので、中央図書館からは少々遠い。電車で20分程だ。
文芸部の全員で出かけるのは初めてだったので、途中で羽衣がはしゃぎ過ぎまくってた。
***
「俺の可愛い月夜ちゃんに悪い虫がついてるな…」
何なんだよこの兄妹。超能力でも持ってるの?




