三等星の願い。15
由崎が去った後も、僕は一人で屋上の風を感じていた。
少し、考えたいことがあったから。
ぞの考えたいこととは、勿論由崎のことに他ならないのだが、由崎が僕の誘いを断った意味が僕には分からなかったのである。
クラスから、学年から孤立しているのだから、彼女が欲するものはそれについて語れる相手だと思った、たぶん一章に一度しないくらいの親切をしてやったつもりだったのだが、一体僕はどこで間違えたのだろう。答えがわからない。
おそらく、彼女の気持ちとは別の問題があるのだろうと思うのだが、それを調べる術を僕は持っていない。だが、このままで放っておくのは気が引ける。少しの迷いを見せたということは、その分だけ文芸部に入りたいという気持ちがあったということだ。
やはり、ここはその道の専門家に頼むべきなのだろう。それも、少し気が引けるが、仕方がないことだと言える、僕の目的を果たすには、どうしても必要なことではあるし。
「月夜、僕だ」
「昨日の今日で電話してくるとかあなたの精神力もさすがのものよね」
開口一番にぶつけられた皮肉は華麗に躱し、僕は本題に入る。
「新入生の由崎 文香って子について可能な限り調べてくれ」
「……ところであなた、今どこにいるの?教室にはいなかったようだけど」
月夜は無言で承諾を示し、話題を変えた。まあ僕は月夜から逃れるためにここに来たんですけど。
「西館の屋上だ」
「今からじゃ授業間に合わないじゃない」
ここから僕らが普段使っている東館までは約五分ほどかかる。そして先刻響いた予鈴から授業開始までの時間も五分。予鈴が鳴ってからすでに三分ほどたっているし、どう考えても間に合わない。
「今は風にあたりたい気分なんだよ」
「……」
サボタージュの意を示すと、月夜は何も言わずに電話を切った。
さて、今から授業は、月夜が言った通り間に合わないし、五十分ほど、一人の時間を満喫するとしようかな。
これだけ真面目に毎日投稿するの、無常じゃ一年ぶりくらいな気がする((




