僕達の文化祭。Ⅳ
屋上。それは基本誰も来ない場所。
今回はこの場所がかなり都合が良い。
吹奏楽部の演奏が終わるまで、あと15分。その間に僕は合成音声の準備をしていた。チョコ美味い。
何故そんな面倒くさい事をするかって?
決まってる。これがバレると僕達も色々やばいからだ。なにせ、教師相手に戦争するってんだからね。
例のサイトでは殆ど学校についての書き込みがなくなっていた。いや、吹奏楽部の演奏が始まってからは誹謗中傷は一つもない。
ちなみに羽衣からお面も貰った。なにあれ伏線だったの?
顔を隠し、声を変える。悪役の常套手段。チョコうまい。
……あれ?チョコなくなった?
吹奏楽部の演奏が終わった。つまりその時間が近づいていると言うこと。全然頭回らん。糖分足りない。全速力で消費しすぎたなぁ……
ちなみにサイトでは学校が燃え盛っていた。
「何の用かな。俺も忙しくてね、手短に頼むよ」
例の七峰響也は気づけばそこに居た。
僕はあの書き込みを見せる。少し顔をしかめたのち、僕の方を真っ直ぐに見た。
「それが俺の仕業だって言いたいのかい?バカも休み休み──
「ならこれはどうだ?」
そう言って僕が見せたのは、大量の学校への批判の書き込み。
「これ、殆どあんたのだろ。」
僕の機械音声を気にするそぶりもなく、しばしの間おし黙る。
実際に学校を否定していたのはほとんどこの人だけなのだ。つまり、七峰響也を止めれば火は消える。
「……証拠でもあるのかな?」
犯人の定番のセリフに。
「あるよ」
僕は悠然と言う。
そう、ある。むしろ証拠しかない。あまりネットを舐めるんじゃない。
「ほら」
僕は、とある画面を見せた。
その画面には、約9割の書き込みが同じIPアドレスを示す事が書かれていた。
今度は、完全に反応した。
しかしこれだけでは証拠としては弱い。これでまた否定されれば終わりだ。
「やられたね。そこまで調べあげるとは。認めるよ。それを書き込んだのは俺だ」
意外とあっさりと認めた。あともう一悶着くらいあると思っていたんだけどな。
そして七峰先生は、意外な行動に出る。
「ほら」
屋上から、スマホを投げたのだ。(ちゃんと人の居ない所に投げた)
なるほど、これでもう書き込みは出来ないと言う事を証明したつもりなのか。
「まあ、またこういうのやると思うから、その時は頑張りたまえ」
そう言って、七峰先生は去っていった。
「はい追加!」
翌日は打って変わって大盛況で、残り1時間を切った所で、2500部売っている。ちなみに今100部刷ってきた。
「3部取って!」
「はいよ」
「2部!」
「ほい」
「8部お願い!」
こんな感じでほ僕もバリバリ働いていた。どちらが僕かは言うまでも無いだろう。楽な方にきまってるからな。
「お疲れさん。よく頑張ったな」
文化祭が終わってから数分、お久しぶりの再来先生が紙コップや飲み物を抱えてやってきた。
「カンパイ!」
その掛け声とともに僕達は杯を交わした。
文化祭、終わりか。やったぜ。全部で2753部売った。まさかここまで稼げるとは思わなかったな。これで明日から読書三昧だ。
ラブコメって一体……。
なんとか文化祭編が終了し、明日から新章スタートです!




