【特別篇】特別な日。
平成最後の日である。本編ではバリバリ平成が続いているので、それ自体に何ら意味はないのだが、しかし今日は、違う意味で僕にとってはとてもとても大事な日なのだ。
具体的には、僕の愛しの彼女、マイラブリースウィートハニー、(僕にとっては)世界一可愛い女の子、水上 瑞乃の誕生日だ。
ここで、我らが神のコアなファンなら違和感を感じただろう。そう、いつぞやの龍鳴竜(もはや作者たちの間では無許可の名前出しが当然の流れとなっている)とのコラボ、『魔王勇者×無気力少年TAKE2』では、同じく瑞乃の誕生日を題材にしたにも関わらず、誕生日が異なるのだ。これは由々しき事態ではあるが、しかし本編で4月30日が誕生日だと言っている以上、基本的に本編に準じている特別編であるこれとしては、本編に従うしかなかったのだ。
閑話休題、メタの大過ぎは読者離れの原因となる。自粛しよう。
さて、本編で僕が苦しみの絶頂にいる間、幸せの絶頂にいるパラレル読くんこと僕と瑞乃の、ある日常をお見せしよう……
「暇だ」
昼下がりの部室、付き合い始めて約一年がたつ熱々カップル僕たちは、相も変わらずイチャイチャしていた。
「そんなこと私に言われてもね……」
ちなみにいうと今日はバリバリの祝日。なのになぜ僕たちがここにいるのかというと、答えは簡単人目につかないところでイチャイチャしたかったからである。
もちろん嘘だが。
瑞乃にはそう伝えているが、実際のところ、現在隣の教室で準備中であるパーティーの主役を呼び出しただけである。
「えいっ」
できるだけかわいく、瑞乃のほっぺを抓ってみた。ちなみに今の体勢は膝枕だ。隣から無言の重圧がかかっているためさらに見せつけてみた。
最も、こんないたずらもパラレルワールドでは日常茶飯事なので、必要以上に何かを言われたりはしない。
月夜から合図が来た。瑞乃の膝の上でうとうとしていたのだが、その音だけは聞き逃さない。
「瑞乃、目ぇつぶれ」
「え、うん。分かった」
くそう、可愛い。このままぎゅーってしたい。しかし、今日はそういうわけにはいかない。
月夜も、羽衣も、みんなで騒ごう。今日くらいは。
平成最後の、瑞乃の誕生日。
僕らの、思い出の日常。
それが愛しく思える日まで、僕らは新たな時代を生きていく。大切な人と、固く固く、手を繋いで。
時代を生きる小説。




