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三等星の願い。3

 お久しぶりですごめんなさい。

 このところ体調を崩したり、家の用事だったりで時間が取れませんでした。

 これからは毎週土曜日に更新となります。来週からはもうすこし長くなると思います。感想などをくれると嬉しいです。ログインしていなくても書くことが出来るので、ぜひお願いします。

 危なかった。とっさに弁のような装置があることに気づいていなければ、助からなかっただろう。

 光の漏れ方がおかしかったからすぐにそう分かって、鞄だけ先に行かせて、思いっきり引く。すると見事に弁の部分に引っかかって、僕は向こう側に行かずに済んだのだ。

 向こう側からは来れないはずなので、ここは安全地帯に近い。

 でも、さっきチラと見えた金髪にカバン持ってかれたからなぁ……少しでも動くとアウトかも知れない。

 ていうか、月夜達も僕がここから出るまで外にあるだろうから無闇に動けない。純粋な持久戦である。その点で言えば食料も水分も取れない僕は圧倒的に不利と言える。

 さてどうしたものか。ここからあいつらに勝つ方法。もたもたしていたら負けてしまう。

 さすがの僕も、これは詰みかもしれない。本がないから時間を潰すのも厳しそうだ。

 あ、そうだ。あいつを頼れば……


「一つ貸しですからね」

「なら、同点じゃないか?」

「借りた覚えはありませんが」

 読者の皆さん、覚えているだろうか。将来の僕の同僚であり、僕と並ぶレベルの天才、さらにいうなら羽衣に片思いをすること数年。

「最後のは余計です」

 そう、あの春野ののである。名前は語感のよさで決めたと作者(かみ)は言っていた。

 味方がいれば、僕も簡単にここから抜け出せる訳で、つまりロープを持ってきてもらった。僕が通りにくいようになっているところも、体をくねくねさせて頑張ってみたらなんと簡単にこの穴から抜け出すことができた。

「そこまでよ」

 ああやっぱりきたか。監視カメラを仕掛けていただろうからすぐにやってくると思ってた。

「じゃ、まずはののが相手だ」

「私たちが肉弾戦で勝てるわけないでしょう……」

「お前ならなんやかんやで勝ちそうだけど」

 そっちには羽衣がいるしね。しかもさすがのののも女子を殴ることはしないだろうし、それが羽衣となれば確実に。

「読くん、単刀直入に言うわ」

 ピクリ、と肩を動かす。身体が反射的に、言葉の続きを聞くのを嫌がった。

「文芸部に戻ってきなさい」

「僕は!!」

 空気が、強く揺れた。いままでの僕なら、絶対に出さないような荒げた声。その瞬間に、月夜は悲しそうな目をした。

「もう二度と、あの部屋にはいかない」

 そんなことは、お前も分かってるだろう?なぁ、月夜。

 あの日から、僕が二階廊下の突き当たりにあるあの部屋に、足を運ぶことは、なかった。

 だって、思い出してしまうから。

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