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三等星の願い。2

 翌日、放課後。

 ホームルームの長ったらしい話が終わり、僕は速攻で廊下に出る。そしてそのままの流れで校門へ。


 来いとは言われたが行くとは言っていない。by僕


 というわけで、僕は適当に街をぶらつくことにした。変に直帰すると見つかる可能性があるし、回り道をする必要があったからだ。

 フェイクに自転車は学校に置いてきたし、多分大丈夫だろう。文芸部の活動が終わる15分くらい前に取りに行けば見つかる心配もない。

「いたぞー!!あそこだー!!」

 カーブミラーに僕の背後が写った。少し離れたところに、ヘルメットを着用し、分厚い服に身を包んだ大軍が一つ。ご丁寧にヘルメットにも服にも如月グループのマークである三日月が描かれていた。

 月夜、ここまでするか……やれやれ、少し裏技を使わせてもらおう。


 まず、目の前にあった角を右に曲がる。塀に手をかけ、体を宙づりにし、そのままの勢いで塀を越えた。

 ここは僕の通う学校で、まだまだ完全下校時刻は遠いため不法侵入にはならないだろう。校則違反ではあるが。

 その後は音だけの判断になるが、角を曲がってきた大軍が僕はどこだと仲間内で騒いでいたところをみると、見つからずに済むだろう。

 しばらくして、音も綺麗さっぱり消え去ったので、今度はみつからないようにと願いながら、塀を登……

 ろうとしたが、地面が抜けた。

 まさかの2段重ねの罠だった。いや、相手は月夜なのだ。これくらいは予想しておく出来だったかもしれない。

 おそらくこの穴の先に月夜たちが待機しているのだろう。今頃僕が穴に落ちたのをみてほくそ笑んでるに違いない。


 が、これくらいならどうにかできる。

 今は勢い付いてるから進んでいるだけで、勢いを殺せば止まるはずなのだ。

 つまり、摩擦を増やせばいい。鞄を壁に擦り付けるようにし、手足を伸ばす。壁との接地面が多ければ多いほど、僕は失速していくだろう。

 いや、このままでは間に合わない。少しずつ光が近づいてきている。マズイ──


「……来ないねぇ」

「そうね」

 おかしい。確かに彼は穴に落ちた。なのになぜここにやってこない?あの穴の中に、止まれるスペースはないはずだし、摩擦も少ない素材を使っているのに。

「私たちも穴に入れば、彼を見つけられるのではないかしら?」

「暗いところ苦手だからパース」

「私は多分つっかえちゃうかな……」

 羽衣ちゃんが暗いところが苦手だというのは意外だったが、それにしても七峰さんの言い訳がうざったらしい。ぺったんこの私に喧嘩を売っているのかしら。

「じゃ、行ってくる」

 いつのまにか、私より色々な部分が小柄な神崎さんが、頭から突っ込んでいた。

 しかし、こちらからは血管の弁のような装置で行きにくい設定になっているので、すぐに跳ね返ってきた。

「カメラには何も写っていないの?」

「今のところはまだ穴から出てきてないみたいだね」

 一体、彼はどこへ……?

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