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一等星は輝かない。1

「ああ、酷い目にあった……」

「めっちゃボロボロじゃないですか……」

 ちなみにこの傷は「私が一生懸命仕事している時にいちゃつくなバカップル」という嫉妬に駆られた月夜によるものである。

「それで、いいやつあったのか?」

「やっぱり私にはよく分かりませんね……もともと機会にあまり強くないですし」

「極論作家にpcとか必要ないからいらないならいらないでいいんだけどな。これもスマホで書かれてるし」

 瑞乃は首を傾げる。なんと……記憶と一緒にメタ発言までも失われていたのか……

「早見さんのオススメのって何かありますか?」

 なんだか、さっきから微妙に会話が噛み合ってない気がするが、そんなことを気にしていては人間まともに生きていけないので今度買うならこのあたりかなと目をつけていた商品のページをLINEで瑞乃に送った。

 もちろんすぐに既読はつき、まじまじと画面を見つめる瑞乃が目の前にいる。

 ちなみに月夜や佐原とはすでに電車の線が違うので今は僕と瑞乃の二人だけである。

「わっ」

 電車が揺れた。カーブに差し掛かったらしい。

 その刹那、瑞乃の豊かな胸があたり、瑞乃は僕に抱きつく形になった。

「す、すみませ……」

 すぐに瑞乃は離れようとしたのだが、僕は──


 僕は、瑞乃を抱きしめていた。


「あ、あの、早見さん……?」

 この状況で、キョトンと上目遣いで問いかけられると、もう二度と離したくなくなるのだが、しかし離さないわけにはいかないので、仕方なく手を解く。

「ごめん……」

 ガラにもなく力弱く謝ると、瑞乃は微笑んだ。だが、その目はどこか遠くを見ているように思えた。

「今から……早見さんの家、行ってもいいですか?」

 突然の提案に、思わず声を上げた。

「別に構わないけど……」

 瑞乃はそっと、目を閉じた。それと同時に、僕に体を預ける。

 小柄な体躯は、驚くほどに軽く、三次元(リアル)とは思えないほどに、儚かった。


「聴いて欲しいんです。私のお願い」

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