僕達の文化祭。Ⅱ
「言い訳は聞いてあげるわ」
僕が大急ぎで学校に向かうと、月夜さんは足を組みながら眉間にシワ寄せて待ってましたよ、ええ。机の上を見ると冊子はほとんど残っていなかった。
「冊子は現在重版中よ」
「金稼ぎは順調に進んでいるようだな」
「あら、言い訳はどうしたのかしら」
「するだけ無駄だろ」
月夜はクスッと笑って、
「よく分かってるのね。今日は許してあげるわ」
なんか許してもらえた。
「もうやだ…」
元気だけが取り柄の羽衣がそういう程に朝から大盛況だった。ちなみに現在2000部売っている。200000円分。その半分は部費になる。100000円。やったぜ。何冊買えるだろ。しかもこれでまだ一日以上残ってるんだぜ。何?文化祭ってこんな神イベだったの?
「そのにやけ方、気持ち悪いんだけど。なんか変な物でも食べたの?」
たまに毒づく水上(表)。いや、疲れて(裏)が出ているのかもしれない。というか本性は裏だしね。
ちなみにこいつは売り子やってないからあまり疲れていない。午後には交代だから、この苦しみがわかるだろう。
昼になり、店番を月夜と水上がしている中、僕は一人で色々店を巡っていた。今は2年校舎にいる。2-3の焼きそば、美味しいぞ。2-5のメイドカフェのコーヒー、美味しいぞ。食料ばっかだな。
ちなみにうちのクラスはお化け屋敷をやっている。無料で。
2時間程食べ歩き、部室に戻ると、客はほとんどいなかった。2、3分おきに一人くるくらいで、かなり落ち着いていた。ちっ。もっと売れろよ。部費のために。
僕はパソコンを開き、佐原のサイトを見る。やはり水上の小説断トツ。しかし気にするべきはそこではない。
2分前に書き込まれたコメント。そこには、学校の悪行が書き込まれていた。具体的には、裏口入門や、成績操作など。いや学校何してるんだよ。だか、問題点が書き込まれているだけで、証拠は無い。はずなのだが、ネット民にはそれで十分だったようで、学校が物凄く叩かれていた。つまり、炎上──
「何これ…」
横から覗き込んできた羽衣。
「酷いね…」
羽衣とは逆サイドから覗き込んできた水上。
「ネットって、怖いわね。」
至極落ち着いた声で、私には無関係ですという表情で月夜が言った。
そう。無関係なのだ。もう水上の小説は読んだし、金は稼いだ。
でも、この学校を悪く言われる事がたまらなく腹立たしくなった。何故僕が腹を立てているのか。それは、今の僕には分からない。
まずは、学校の炎上を鎮める。
そして犯人探し。おそらくこの前の脅迫状のやつと同一犯。探す方法ならいくらでもあるし、これが出来る人はかなり限られる。ならば、簡単じゃないか、そんな事。




