プロローグ?
ラブコメ書くのがこんなに楽しいとは思わなかったよ。前のが無駄に重かったしね。前のとはなんの関係もないただのラブコメだよ!プロットを見失わないように頑張ります。
僕は読書が好きだ。三度の飯はしっかりとるが、読書が好きだ。寧ろ、それ以外に好きな事がない。故に授業中も延々読書タイムなのだが、半年続けたらもう教師にすらなにも言われなくなった。あら悲しい。
「おーす!」
バタンと開かれた扉からは、高校デビューとかゴミみたいなものを言い訳に亜麻色に髪を染めた僕の幼馴染、赤羽羽衣が入ってきた。
「羽衣さん、雑音を立てないでと何度言えば分かるのかしら?」
真っ黒なストレートを手で払い、長い睫毛をパチリと開いた如月月夜の笑顔は通るもの全てを凍らすような笑顔だった。
「そんな怖い顔しちゃ、可愛いい顔が台無しだぞ〜つ・き・よちゃん」
なおも軽いノリで、月夜を怒らせる羽衣に、月夜は威嚇を繰り返す。
「取り敢えず黙ってもらえるか。僕は読書がしたい。これ以上無駄な音色を奏でるというのなら、お前らの首が赤く染まることになるぞ」
うるさくなって来たので、止めに入った。全く、何故いつも月夜は流されてしまうのか。頼むから静かにしてほしいな、永遠に!!
「釣れないな〜せっかく幼馴染が遊びに来たってのに」
別に僕君に興味ないし。どうでもいいし。
「僕は静かに読書がしたい。黙るか消えるかどちらか選べ」
二人は視線を交わした。パチクリとまばたりをしたのち、二人は蒼白した顔を引き連れて部室を後にした。
「やっとこれで静かに読書ができる」
独り言に近い安堵をもらした。
「早見、今日から部員が一人増える」
普段はほとんど開かれない扉が、今日はよく開くなと思いながら、扉の方をみる。
文芸部の顧問である再来 累は、腰に手をやり、やれやれ、という表情でこちらをみて、扉の向こうの誰かに視線で行動を促した。
「はじめまして。水上 瑞乃です」
「僕は早見 読だ。よろしく。永久に静かにしていて貰えれば助かる」
再来先生は引きつった笑顔で「よろしくな」と言い残し去っていった。
さて、ここには僕と水上が残ったわけだが、なにせ僕は人見知りなもんでな。コミュ障といっても過言ではない。僕の友達は本だけだ。どこぞのアンパンヒーローよりも少ないって……。
なにが言いたいかって?話題なんて振れる訳ねぇだろバカヤロー!と大声でグラウンドに向かって叫びたい。もしくは赤い夕焼けめがけて全力疾走したい。まあ、目立ちたくないのでしないが。
時間が少し経過し、再び開かれた扉。
「えーと?どういうことかな?」
「さて、戦争をはじめましょうか」
入ってくるのは羽衣と月夜。ちょっと月夜さん?ガハラさんだってそんな簡単に戦争はじめないよ?
ちなみに二人に睨まれている水上はとても怯えている。まるで小動物。
「ただの新入部員だ、気にするな」
僕は面倒ごとを避けるためにひきつった笑顔の二人を宥めた。
しかし、二人の怒りは収まらない。
なので僕は荷物を持ち立ち上がった。逃走あるのみ。
次の日ずっと水上に睨まれっぱなしだったのは、きっと気のせいだ。