3話
「いやぁぁぁぁぁ! お婿に行けない臭いぃぃぃ! 俺(靴下)より臭いぃぃ! 化学反応起きちゃうぅ! ビックバン起こしちゃう! 新世界が始まっちゃうぅっ!」
……いくら叫んでも、俺の声はあけみに届かない。
「これより、私の聖剣エクスカリバーを磨きます!(’Д‘)」
≪聖剣エクスカリバー≫
――魔法の力が宿るとされ、ブリテン島の正当統治者の象徴とされる、アーサー王伝説に登場するアーサー王の持つ伝説の聖剣である。
「う、あ、あ、あ、あ、あ!! お、ごご、ご、ご!!」
――幼き日に憧れていた近所のお姉さん。いつも一人で居た俺を見付けると、色々な話を聞かせてくれた。いつしか人と接する事が嫌だった自分も変わり、相手へ興味を向ける事が出来た。
そんなお姉さんが結婚する事になり、遠くへ引っ越す事になってしまった。別れ際、お姉さんは俺にこう言った。
――何事にも負けない、強い男になってね――
……お姉さん、俺は今エクスカリバーを磨く慰み物となってます。強い男になれなくて、ごめんなさい。
「ふぉぉぉぉぉ! 達する!(’Д‘)マッスル!(’Д‘)」
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事が済み、崩れ落ちる俺。姿形が靴下になり、更に他者により蹂躙されるという非現実的な状況。
「もう、あけみでも良い。助けて……俺、靴下じゃないよ……俺だよ……」
届かぬ救済と分かりつつも、助けを請う。
「さっきからギャアギャアうるせぇな(’Д‘)集中できねーじゃねぇか」
グチャリ!と叩き潰される俺。
「え、聞こえてたの……? ちょっと、助けて……!」
「臭いから嫌だ(’Д‘)」
なんと云う理不尽。なんと云う展開。よし、今夜は焼肉を食べよう。




