4、ボクの発見
「かえでさん!向こうに人がたおれてた!」
ボクは久しぶりに見つけた散歩での発見を楓さんに早く聞いてもらいたくて、声をはりあげてみた。
ボクの声は想像してた以上に大きくて、いつもの静かさが戻るまで少しだけ時間がかかったように思った。
人が消える、そんな事が起き始めてからもうだいたい2年と半年経つ。今までボクは沢山のお別れをしてきた。
お父さんとお別れして、お母さんとお別れした。
お別れしてない友達や好きだったあの子は、いつの間にか消えて無くなっていた。
こんなにお別ればかりする2年半。あの日からそんな時間が過ぎてボクは、この日初めて出会いを経験した。
「たくや!水と救急箱を持って。取り敢えずその人の所に案内して!手遅れになるかもしれないから!」
ボクの声が届いたのか楓さんは二階から大慌てで薄い毛布と数個の缶詰、そして何でも入ってるポシェットを持って玄関から出てボクを急かした。
「うん、わかった!」
楓さんに頼られる、お願いされるなんて初めてで、少し嬉しくてむず痒くて、ボクはこんなにキンキュウジタイに笑ってしまった。
キンキュウジタイなんてまだ漢字で書けないけど…まぁ、また帰ってきて覚えてたらら楓さんに教えてもらえばいいや。