3、亡き母のエンドロール。
〝ねぇ、ママ。なんで泣いてるの?〟
「なんでもないの、ちょっとだけ考えちゃっただけよ、ほらそんな顔しないで。」
〝そう?……〟
〝あ、夕日がきれいだね!〟
「そう、確かに綺麗……」
「なんだか最後を祝ってくれてるみたい……」
〝さいご?〟
「ねぇ、たっくん。こっち向いて」
そう言ってボクの方向を向き、額を合わせてくれた。
〝えへへ、冷たくて気持ちいいね〟
「それはよかった」
「1つママと約束してくれる?」
〝うん!いいよ!〟
「ママが居なくなっても、ちゃんと生きて。大きくなってね。」
目の前にあった瞳から雫が零れ落ちる様子をボクはただただ見ている事しか出来なかった。
それはたぶんこの時のボクも同じ状況にたってたから……溢れる雫を我慢しようと、無駄に足掻いて、慰めなんて出来なかったから。
〝なんで……?なんでそんな悲しいこと言うの?〟
〝ママはボクといてくれるって言ったじゃん、ママは消えないから安心てって……約束してくれたのに……〟
「ただを捏ねない、いい?ちゃんと大きくなってね?ママ楽しみにしてるから。」
未だにこの時の笑顔が脳裏にこびり付いている。
たぶんボクはこれから一生、それこそこの風変わりで絶望しきった世界で、消えるまで忘れられないだろう。
夕日に消えた母の笑顔は、眩しかった。
やっと、第二章に入ることができました!