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プロローグ・戦後五年目の境目に

復帰作として頑張って書いてみます。


誤字脱字やおかしい所など有りましたら知らせていただけるとありがたいです。

 ・王国・



 この世に生を受けて十数年。


 最近、歴史を勉強している中で知ったことだけれど、父は二十年前までは『軍神』と呼ばれていて、他国との戦争の抑止力になっていたのだとか。


 だからなのかもうじき十七歳になろうとしている私の、剣の腕が立たず今や剣を習いに来ている七歳の子供にも勝てないほどの弱さを知った王の側近の将軍が王に進言し

「王子に訓練をつける許可を貰った。明日から訓練兵と一緒に訓練を受けてもらう覚悟しとけ」

 とか、いきなり何事ですか。


 今後、私が武力を手に入れ、抑止力としてこの国の王座に就くとか想像もしたくない。


 そもそも、戦争なんて五年前の主国戦争を経験した人たちが再び繰り返すとは思えないし。

 そう思って、思い出してみる。


 三国の戦争に中立の一国が監視参加した大戦争、結果は三国の大損害に一国の分断。


 三国は戦争後内政に追われ、戦争時よりは平和と言えるだろう。


 私の国では、大国に数で劣るため、国民の六割を徴収し訓練、戦争に参加させた、数にして八十万人。

 そのうち六十七万人の死亡が確認、遺体の回収は不可能。

 それ故、戦死した人の家族などは胸に深い傷を負い、国の在り方を変えるべきだと抗議。


 ちなみに、いつも訓練を受けている騎士、魔戦士の総数は二十二万、戦死者は約六百。


 一部の武力に頼った国の在り方だった結果この損害が生まれ、今更王に対する不信感が高まってきた。


 そこまで思い返すと、今更武力は必要なのかと、確かに自衛力は必要かもしれない、それならまず国の防衛設備を……


 やっぱり、頭を使う方が私に向いている……


 親と正反対の才能を授かった不幸な私と変わってくれる人はいないものか……







 ・帝国・




「王子、王の命はもはや、数週間で……」


 そう告げられた王子は異人と蔑まれながらこの国を約百七十年間治めてきた王に敬意を示すとともに、父のように国を治めることができるのかという答えの出ない問題に悩んでいた。


 父と母は体が弱く病弱で大変だったそうだが、その代わりに文学や経済など頭脳を使うことにおいて過去の王をはるかに凌駕する。


 それ故に、今まで蔑まれる事こそ多かったが、全てが上手く回っていた。


 だが俺には父や母には微塵も存在しなかった力の強さだけが取り柄であり、政治なんてとてもできるような頭脳を持ってはいない。


 今進んでいるプロジェクトもほぼほぼ意味が分からない。


 どういう意味があるのかは理解できるもののどう進めたらいいのかなんてまるで分らない、さらに言えば、今まで勉強をしてこなかった俺はすでに国民から不安の目で見られる。

「あの子が王になったらどうなるのかしら」

 などの声も聞こえるくらいだ。


 だからと言って兄弟もいない俺に王になる以外の道はなく、父の齢が百五十を超えた時から、訓練の時間を削り、勉強なるものを行っていたが、始めた当初はまったく理解できなかった。


 だからと言って、投げ出すこともできず、二十年続け、今ではやっと十五の子供程度の知力を身に着けた。


 二十年でやっとだ。


 今三十三で寿命は父の血を継いでいるから約百二十年は生きられるとしても、このペースでは遅すぎた。


 既に父は病床から身動きが取れず、余命宣告もされている。

 内政に関する事は何も行っていない、つまり今この状況だと、通常は俺がトップに立つ必要がある。


 だが、何を話しているのかもわからない場に参加して、俺に分かるように説明させたところで、それをどうするかなど今の俺には到底決められることではない。


 その点、父が作った文官学校が役に立っていて、トップが不在の今でも生活に何も変化なく日々は過ぎてゆく。


 しかし、今後もこのままでいいのかと考えると頭が痛くなる……



「誰か変わりはいないものか……」

 日没で暗くなりつつある自室で頭を抱えてそう呟いた……







 ・魔法国・




「戦争で甚大な被害が出た、誰のせいか」


「爺さんよ、いつまで同じ質問を繰り返すつもりだ?」


「いい加減認めたらどうなのか……」


 五年前の戦争以降、会議が始まると最初に響く言葉だ。

 しかも、毎回同じ人物から。


 そしてこの質問の意味は、自分は戦争に反対していたという事を、周囲に確認させたいだけ。

 である。


 その理由は家族、親族に疑われているから、という自己中なものだった。


 それでも、ここにいる事ができるのは人手が足りないからというただの埋め合わせとしてだ。


 ここ数年で教育制度の改善があった理由で、今の老人よりも、若い者の方が知識量は多く、色々なことを知っている。


 つまり、人でさえそろえばこの会議には必要がない。


 まあ、既に推薦で数人の会議参加が決まりかけているため数日のうちに数人が入れ替えでいなくなるはずだ。


 だからと言って、やることは変わらないけれど。


「本題に入る。我はすでに齢七十四になりすでに若い頃より衰えた、今や生活で使う程度の魔力しか残っておらん。故に、数日以内に戴冠式を執り行う予定だ」


 という、皆がうすうす感じていた戴冠に関する話題が上がり少しざわつく。

 まだ、戦後処理が少し残っているためだ。


 建物の修繕は終盤に入ったが、食料の方はまだまだ足りない。

 どこで食物を生産するかなど今少しずつ進展している今、急に世代替えをした場合、混乱が生じる場合がある。


 その上、王子は信頼度が低く国民が付いて来てくれるかどうかすら怪しい。

 王の信頼度の高さと、王子の信頼度の低さ。

 まあ、王の名をかたり色々問題を起こしすぎた所為だから自業自得だけれども。


 王は、王子の問題の処理も同時進行していたから、王子の信頼度がないという事はよくわかっている。

 だが、世代替えを行うことで何か変わるのではないかという希望も捨てきれず、悩んだ結果、今の決断となった。


 元々は一年前、戦後の復興計画を本格的に始める前に戴冠したかったが、国民が付いていくかどうかがどうしてもわからなかったためにある程度進めてからという方法になったのだ。


 とはいえ


『あやつの素行不良、問題行動、もっと早くから強制するべきだったか……』


 指揮力はあるが、そのほかが全くダメ。

 典型的な嫌な上司……


「異議は受け付けぬ。皆でサポートしてやってくれ。我もできる限りの協力はするつもりだ」


 そう言って、ほかの議題に移り会議は何の問題もなく終了した。







 ・評議国・



 中立を貫き、戦争と無縁だったこの国。

 現在は、二つの国に分かれて内戦中。

 勢力は均衡し、王側と王子側で激しい武力衝突が続いている。


 ただ、陣地によって生産物が違うため、少しずつ差ができ始めている。


 王側では武器の新調ができるため兵士の戦力は維持されているが食料が無くなっていく窮地に精神が追い詰められている。

 王子側では食料の生産が盛んなため兵士の戦力は多少低くなったものの、食料問題はなく、武器も相手が落としたものなどを奪うことで戦力の大幅な減少は起きていない。



 五年経っても終わらない戦いに終止符を打つべく王子が先陣を切るが、王の巧みな指揮で阻止。


 王子は魔力量が多い、評議国では珍しい体質だが、その力を内戦で魔法を使えば、住民にも被害が出る可能性があるために、使えないでいる。


 そういう理由で決着がつかない。



 そもそも、内戦が起きた理由は戦争に参加し、三国を止めるか、このまま見守るかという王と王子の意見の違いからだ。


 という感じで内戦が始まり多くの死傷者を出しても未だに終わる気配はない。


 王はすでに病気で衰弱しているという情報があるが、作戦である可能性もある以上、迂闊に動けない。


 戦地に出ず指揮しかしない王の五年間を知る人は王子側には居ない。


 偵察兵ですら姿を見つけたことはない。


 だからと言って攻撃を緩める気は微塵もない。

 でないと王位も継承されることはないだろう。


 王位が継承されれば自分が思うように指揮をとれる。

 さらに戦場で自分の力を使えるという解放感を味わえる。


 その解放感を味わいたいためにこの戦に勝利する。


「やってやる、自分のために。民のために!」


週一の更新を予定していますが、用事などで多少投稿日が前後する可能性がありますが


暖かく見守っていただければm(_ _"m)

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