公園(5)
そして、気がつくと、いつもの小さな公園だった。どうしても来ちゃうんだよね、何でなんだろう。
「あのヒトたち、ここまで追ってきてないみたいだよ」
つなぐは、遥か後方まで敵影がないか指差し確認をしている。よし。
と、そこへ――。
「やあ、ツナグにトオリ、こんなところにいたのね――?」
突然、声をかけられた。
ボクはその声につられて振り向くと、そこには――。
魔法のセーラー服・マジカルセーラさん、だ。(はあ?!)
「ツナグ、あの時、突然いなくなっちゃったから、とっても心配していたんだよ……」
あの魔法学校で一緒に学んだ、マジカルミッチィさんも立っていた。他にもワイドストリート様や、その他大勢のみなさん(笑)がいらっしゃった……!?
――えええぇぇっっ!!
ボクは絶句した。何故、あなたたちまで、ここに、いるのですか??
ボクはしばらく放心していたようだ。
気がつくと、広小路先輩とワイドストリート様、阿倍野筋さんとミッチィさんが仲良く談笑している光景が目に入ってきた。
どうやら和やかに親交を深めているようだ。同じ人間同士、といっても、文字通り同じなんだろうけど。(本当に同じなのだろうか?)
端から見ていると、結構気が合うようだ。仲良きことは美しき哉、だね。
「やっぱり、本当だったのね!」
阿倍野筋さんが、かなり興奮した様子で顔を上気させている。
「やっぱりタダ者じゃないと思っていたら、案の上そういうわけだったのね、ツナグ」
マジカル・セーラさんは、大きく頷いて言った。思ったとおり、といういう感じで、アゴに手をやっている。
異次元の者同士が、互いに語り合う風景って、なんだか奇妙なものだ。
たしか、広小路先輩から聞いた話で、タイムパラドックスとかなんとか言うのがあったように思うけれど、この場合はどうなのだろう? そういうのは関係ないのかなぁ?
あれは、パラレル・ワールドじゃなくて、タイムリープだったっけ? SFって、あまり詳しくないから、もっと勉強しておけばよかったよ。
「ごほんごほん。え一、お話の途中で、ごめんなさいぃ〜。あたしの話も聞いてもらえますかぁ?――」
声がした。ボクは、即座に理解できた。
あの金髪小学生(ウェイ・ブロードちゃんだったっけ?)が、肩を上下にさせながら立っていた。ゼイゼイと苦しそうに息をしている。
相当疲れているみたいだ。この子たち、健気にも走って追いかけてきたようだ。で、息をきらしているというわけか。
しばらく息を整えてから、ようやく、宇宙服を身にまとった戦士たちが、再びわらわらと湧いて出てきて、ボクたちを囲い始めた。今度は、数十人規模だ。これは、逃げ切れそうにないかも。
「もう、逃げてもしょうがないんだから、いい加減諦めて一緒に来てよねー。おうちに帰るのが遅くなっちゃうじゃないっー!」
ウェイちゃんは、少し怒ったようにぷんぷんしている。こ、これは、絶対絶命の大ピンチってヤツかも。
ついに、対決の時が、来た――!
ボクたちと、悪の秘密結社の一味と魔女っコたちの一団が、(公園の砂場を挟んで)睨み合っていた。
次元を超越したスーパーバトルの始まりであった。ここで後学の者たちのために、今次決戦を『第一次・悪の軍団vsスーパー魔女っコWARS』と命名しよう。(笑)
さて、今にもスタートボタンを押そうとした、その瞬間――。(あ。完全にゲームに感化されちゃってるなぁ)
「みなさん、探しましたよー!」
腰まで伸びた長い黒髪、サングラスをしたグラマラスなボディ、その人物。そう。彼女の名は――ミチコ・ナカヤマ。ボクは、思いっきり頭を抱えた。どうして、この人までが……。
どうなっちゃうんだろう、この世界――?




