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宇宙空間(1)

 ――ボクたちは、目を覚ました。


 また、見知らぬ場所だ。……って予想された展開だよね。(笑)


 ボクは「なんてこったい」と肩をすくめながら、あたりを見回した。つなぐは、この世界に現れるとき、思いっきりお尻から落ちたようで、両手で押さえながら、ぐぬぬと呻いていた。(ヒロインなのに、なんてはしたない)


 それにしても、今回はなんだか雰囲気が違う。あの魔法の国にあった、見慣れた町並みが全然見当たらない。……と言うよりは、どこかの建物の中のようだ。


 今度は、前回のようにパニックにならずに、周りの状況を観察することができた。つなぐも、「どこ〜ここ〜?」と、キョロキョロと辺りを見回している。


 周りは、壁とか床とか、プラスチックのようなものでできてるらしく、表面がツルツルしている。いや、金属なのかもしれない。


 ちょっと、ボクの知識の中には該当する言葉が見つからない。もしかしたら、適当な言葉はあるのかもしれないけれど、すみません学校の成績はあまり良くないもので。


 もう一度、ゆっくり視線を辺りに巡らせてみる。でも、やっぱり何もない殺風景な場所だった。


「ホント、何もないわねー。もうちょっと、何か気のきいたものがあってもいいのに。白い壁なんだから、カワイイ動物の写真くらい飾れないかなー。こんなんじゃ、インテリアセンスが、疑われちゃうわよねー」


 と、つなぐは勝手なことを言っている。本当に勝手ですよ、つなぐさん。


 しばらく見回していると、四角いスクリーンのようなものが壁にあった。何だろう、と思いながら近づいていくと、急にブウンという低い唸り声のような音が聞こえた。


 すると、そのスクリーンが生き返った。センサーか何かで自動的に動くようだ。すごい、まさに科学の勝利だ。(笑)


 そのスクリーンに映ったものをよく見てみると――。


 黒一色の中に、明るい点々が散らばっている。これは、テレビや映画なんかでよく見かける『宇宙空間』だ。たぶんCGだとは思うけれど、かなり出来のいい映像だ。


 しばらく見ていると、スクリーンの映像がゆっくりと動いているのがわかった。画面下

方から青い半円の物体が、静かに現われてきた。


 その青く輝くものに、何か懐かしさを感じた。すごく身近で大きな存在――。


 ――これって、地球なのか?


 すると、ここはどこなんだ? よくTVとかで見かける、宇宙船の中からの撮影風景――そんな感じがする。宇宙船? あまり現実感がわかないのだけれど、つまりはそういうことなのかもしれない。


 ボクたちってば、とうとう宇宙にまで来ちゃったのか(苦笑)


 ――突然、けたたましくアラーム音が鳴り響いた。


「な、何――!?」


 つなぐは、心臓が飛び出しちゃうほど驚いているようだ。まあ、当然、ボクもだけれど。


 緊急事態なんだろうか? やぱい、早く逃げないと……でも宇宙空間なのに、どこへどうやって逃げるんだ?

 

 そして、いきなりの衝撃――!!


 ボクたちは、大きくバランスを崩して、床に倒れ込んだ。と、同時にお尻を強く床に叩きつけてしまった。


 いったぁ~いっ!! いきなり何よぉ、また、ぶつけちゃったじゃない!! と、つなぐか、悲鳴を上げている。


 そのとき、ボクたちの背後から可愛い声が聞こえた。


「あなたたち、大丈夫――?」


 声のする方に顔を向けた。そこには、まるで超古典的SFアニメに出てくるような宇宙服を着た、女の子が立っていた。また、コスプレイヤーかぁ。もう驚きませんよ(笑)


「うん。とりあえず、大丈夫――」


 つなぐは、差し出された手に引き起こされている。


「どうもありがと。で、今の、何――?」


 優しそうなそのコの目を見ながら、つなぐが尋ねた。


「ついさっき、本艦は臨戦体制に入ったみたいなの。それで、今からブリッジに行かなきゃならないのよね。非番でお昼寝している時に召集とはねぇ……」


 り、臨戦体制――!? 今度は、戦争か! まったくもう、身が持たないっすよ。


「あなたたちは、新任のクルーね? どうぞ、よろしく」


 って、おいおい。なんでまた、そうなるんだ。お約束ということですか? ……あれ? そういえば、この女のコ、なんだか見覚えがある感じなのだけれど……。


「わたし、この艦の宙航ナビゲーターを担当している、聖羅 (きよら)よ。でも、みんなはセーラと呼ぶんだけどね」


 と、ウインクしながら、聖羅さんが言った。……あああ。ここにも、また新たなるセーラーさんが(笑)


 ボクたちもそれぞれ自分の名前を名乗った。つなぐは、ついでに「普通の女子中学生なんだけど」と付け加えた。だけど、きっと通じてないに違いない。


 そして、再び衝撃があった。敵からの攻撃なのか――?


「ここは危険よ、ツナグにトオリ。安全なところに避難しなくちゃ――」

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