3 さくらの催促なのだ!
梅の花が咲くと梅の花の絵を佐倉が送って来た。南半球でも梅は咲くのだろうか。季節は日本と反対のはずなのに。
『チーフの筆不精には驚きます。返事ももらえないので催促します。マネージャーは何通も手紙をくれるんですよ。マネージャーが送ってくれた梅の写真を見て絵を描いたので同封します。それから桜が咲く頃には日本に戻ります。家が見つかるまでは横浜の実家にいることにしました。成田に迎えに来てくれますか?赤ちゃんがいるから無理ですかね。荷物がいっぱいあるのでお願いしたいです』
さすが佐倉だ。出迎えの催促までするのだから驚いてしまう。荷物が多いとはどういうことなのだろうか。車で来いということだろうか。私は筆不精を恥じて返事を書くことにした。
『前略、相変わらずのマイペースに驚かされると同時に安堵しました。大量の荷物でのお帰りとのこと。お出迎えは車で行けば良いのかな?予め教えてください。
梅の絵を送ってくれてありがとう。妻が額に入れて部屋に飾っています。日本に戻ったら桜の絵を描いてください』
私はこちらからも催促をした。この程度で佐倉が困惑することはないと思った。彼女なら張り切って桜を描いてくれることだろうと思った。嬉しい催促を受けて佐倉を待ちわびた私と妻は出迎えの準備を楽しんでいた。