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アイテムが欲しい、ただそれだけ  作者: 秋海棠


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20/26

19.精密検査することになった


 今から来て欲しいと言われたので、やってきましたIDC日本支部の本社。

 初めてみるが、大き過ぎないか?

 いや、世界的組織の支部であり本社なんだから大きくて当たり前なのかもしれないが、下から見上げると首が痛くなるほどの高さがある。横にも広いし。これ全部の階がIDCの日本支部なのだろうか? ビルの一番上にはIDC JAPANって看板があるからもしかしたらそうなのかも……

 都庁とか県庁とかに匹敵しそうだ。

 流石に一年じゃ建たないだろうから買い取ったのかな?


 そんな大きな建物の中に入り、横長の受付で用件を伝えるとゲスト用の入館証を渡され、12階に上がってくださいと言われた。

 バーベキュー場からそのまま来たので、もちろんさえにも同伴してもらっている。

 どっちーは最後までマイペースに準備をして、仕事に向かっていった。


 エレベーターで12階に降りるとそこにはさえの旦那さんが待っていてくれた。


「やあ、月姫さん久しぶり。急遽呼び出してごめんね」


「お久しぶりです。今日はよろしくお願いします」


 さえの旦那さん、充さんとは二人の結婚式以来の再会だ。

 結婚式は三年前だったから三年ぶりか。

 二つ年上の、長身ですらっとしていて、清潔感のある優しそうなイメージの男性だ。

 何かの異業種交流パーティで知り合ったらしいが、そもそも友人の結婚式や同窓会以外のパーティと縁がない私を含む幼馴染三人は、なんだパーティってとセレブか!なんて突っ込んでさえに苦笑いされた記憶がある。

 まあ、エリートなんだろうなぐらいの認識であったが、元々は大手IT企業勤務。

 その会社がIDC設立に大きく関わっていて、そこから今はIDCに移籍した形なんだとか。

 うん、変わらずエリートってことだな。


「じゃあ、こっちで話聞けるかな?」


「さえも一緒でいいんですよね?」


「もちろん! 紗枝ちゃん昨日は楽しめた?」


「……うん」


 ちょっと恥ずかしそうなさえが可愛いんだが? 旦那さんの話はしてくれるけど、三年前と変わらず紗枝ちゃんと呼ばれてるとは聞いてなかった。

 仲が良いようで嬉しい。

 そんな新鮮な反応のさえも共に会議室の様な部屋に通された。

 

「ここからは録画させてもらってもいい? もちろん他に漏れる事はないから」


「はい、大丈夫です」


 そこからは、今朝さえに話した内容とほぼ同じだったが、アプリゲームの名前や、ゲーム内容、ゲーム内での職業や何時間ぐらいプレイしていたか、当日はどんな操作をしたとか、起きてからの体調とか事細かに質問された。


 ちょっと疲れてきたなと思ったら、「少し休憩しようか」と言ってくれて助かった。


 充さんはカメラを切って一旦席を外してくれた。


「はあ……ちょっと疲れたよ」


「お疲れ様、だいぶ細かく聞かれたわね」 


「うん……この後ってまだ何か聞かれるのかな? もう大体話したと思うんだけど」


 「どうだろう?」とさえもわからない様だ。そりゃ、IDCで働いているわけではないから知らなくて当たり前だよね。


 暫くして充さんが新しいお茶を淹れて「ゆっくり飲んで」と差し出してくれた。


「この後って……?」


「少し休憩したら、精密検査をさせてもらっていいかな?」


「精密検査?」


「血液検査やCT、MRI、心電図やレントゲンとか諸々だね」


「そんなに細かく……でも料金高くなりますよね?」


「もちろんこちらで全て費用を出すし、ビル内に揃っているから安心して。内視鏡で体内も確認したいから急だけど、今日泊まっていってもらってもいいかな?」


「検査入院みたいなものですかね? タダで全部見てもらえるならむしろありがたいかも……です」


 記憶にない期間も含めれば二年近く健康診断をしていない。

 全額費用を払ってくれる上に、細かく見てもらえるならめちゃくちゃお得では?

 人体実験なんてしないと思うし……しないよね? アニメとか漫画見過ぎかな……


 私がIDCに泊まると決まったら、さえは帰ることに。


「さえ、付き合ってくれてありがとう」


「ううん、むしろ旦那に付き合ってくれてありがとうね。伝えるのもOKしてくれて」


「もしかしたら他にも同じ様な状況の人がいるかもなんて考えてなかったし、こっちこそ重要って思ってなかったからありがたかったよ。それにタダで検査してくれるみたいだし」


 と笑って言うと、「良かった」とホッとした顔になっていた。

 朝から急に慌ただしくなったし、巻き込んでしまったのに罪悪感を感じていたのかも? 気にしなくていいのに。


 「じゃ、色々わかったらまた連絡するよー。旦那さんは守秘義務とかで言えないかもだし」


「確かに。月姫も言える範囲でいいからね」


 「じゃ、紗枝ちゃんまた夜に」と充さんが言って、「うん」と言って照れていたさえがまた可愛かったのは言うまでもない。



 さえが帰った後からは目まぐるしいスケジュールだった。

 検査のため昼食は取らず、夕食も明日の内視鏡のために消化にいい食事に代わりちょっと物足りないけど、我慢。

 看護師さんに血液を採取され、色んな機器にかけられた。

 ちゃんと技師さんも常駐していて、しっかりした設備だ。

 ここまで本格的に調べてもらったことなどないので、ありがたいかも。

 しかし、何も異変がないといいのだが……


 「今のところ異常は見られないけど、まだ判断できないね」と、充さん。

 夜、私が泊まる部屋に来て今日の検査結果を軽く教えてくれた。一応看護師さんらしき人も帯同している。何か不調があれば教えて欲しいと言うことらしい。

 体調に問題はないと伝え、「では僕も帰るので、また明日に」と言って出ていった。


 異常が無いといいな。



♢ ♢ ♢


 結局、医師の問診なども含め二日間も入院することになった。

 そして全ての検査の結果、特に異常は見られなかったそうだ。

 全ての数値が正常範囲内で、何かの病巣なども見つけられなかったと言われた時はとても安堵した。

 ただ、記憶が無い当時のデータはないのでなんとも言えないけどと言われてしまった。

 今後どうやって私みたいな状態の人を判別していくのか、課題になると充さんは言った。

 「そりゃ難しいですね」と私。

 だって、恐らく記憶のない時の私だって、言葉には反応しないものの歩いたり動いていた。

 言葉に反応しないのだって、聴覚に障害がある場合だってあるのだから。

 難航しそうですねと二人で話していると、


「そう言えば紗枝ちゃんから聞いたけど、ダンジョンアイテムの収集をこれからメインにしていくの?」


「はい。知ってると思いますが上級攻略で手にした「テント」に魅せられてしまって……他にも集めたくなっちゃいました」


「それなら、IDC所属の《挑戦者》になるのはどう?」


「え?」


 充さん曰く、IDC所属の《挑戦者》と言ってもそこまで縛りがキツくなるわけではないらしい。

 未発見のルートやモンスター、他の《挑戦者》の違法行為などの報告は義務となるが、それ以外は特にないとか。

 未発見のルートやモンスターの報告も、所属者専用のアプリがあり、ダンジョンに入り起動するとルートは自動記録してくれるし、写真など撮るとそれがすぐ本部へ反映される仕組みだとか。

 それに、他の《挑戦者》より早くアイテムの情報・在庫の有無なども調べられ良いこと尽くめだよとめっちゃプッシュされた。

 IDC側も、色々なダンジョンに入って未発見情報を手に入れられる機会が増えるのは願ってもないチャンスとグイグイくる。


「所属するのに費用が発生することはないし、所属してくれれば年に一万ドルの報酬が支払われるんだけどどうかな?」


 IDC所属は誰でもなれるわけではなく、各地のIDC職員からの推薦と本部での面接を経てなれるものらしい。


「……違反・違法行為をしている人を見つけたらどうすれば良いんですか?」


「その場合、専用アプリで直ちに報告してくれれば、近くにいるIDCと警察が向かって対処してくれる。月姫さん一人に捕縛をお願いするものじゃ無いから安心して。あくまでも報告の義務。だから、専用アプリで撮影・共有してくれれば問題ないよ。可能であれば捕獲してくれたらうれしいけどね。無理はしないで」


「そうですか……では、所属でお願いします」


「ありがとう!手続き済ませちゃおうか。PNカードを借りても?」


 充さんにPNカードを渡し、何やら操作をしてくれている。

 それからタブレットに所属に関する契約や誓約などの同意書関係にサインを促された。

 内容はだいぶ細かかったけど、ちゃんと確認して署名した。

 そして、専用アプリの登録などやってもらって、使い方のレクチャーも受ける。

 そこまで難しいものではなく、機械に疎い私でも使えそうだ。

 諸々の手続きと説明をここまで全て充さんがやってくれたけど、次からは担当の女性がつくから呼んでくるので待っててと言われた。



 暫くして、充さんとショートカットの似合う女性が入ってきた。


「はじめまして、森田瑠璃と申します。以後、佐藤様の担当となりますので宜しくお願いいたします」


「はじめまして、佐藤月姫です。こちらこそ今後よろしくお願いします」


「それでは、ぼくはここまでで失礼するね。森田くんよろしく。月姫さんありがとう、またね」


「はい、色々ありがとうございました」


 挨拶をして充さんは出ていった。


「佐藤様、それでは」


「あ、そんな畏まらなくていいですよ。佐藤だと苗字多いでしょうし、下の名前で呼んでください」


「では、月姫さんと。早速ですが、お伝えすることが一点あります。月姫さんが出品を希望されたミスリルのオークション開催日が決定しました」

 

 あ、忘れてた。







 

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