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アイテムが欲しい、ただそれだけ  作者: 秋海棠


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19/26

18.原因が判明した?

「お、おはよう……」


「おはよう、大丈夫?」


「頭痛い……」


「うっ、今日休みたいよぉ……」


 大変だった。

 昨日の幼馴染飲み会は荒れた、初めは良かったのに……



 主婦、アパレル販売、商社、無職、そんな職の4人が集まるには中々スケジュール調整が難しい。(私を除いて)

 そこで商社勤務の[さえ]こと浜田紗枝(はまださえ)が有給をもぎ取り、平日休みの[どっちー]こと土井彩(どいさやか)に合わせて金曜に飲み会開催が決まった。

 それも昼間から。

 それがいけなかった。

 

 まだ桜の時期じゃないけど、天気が良いから外で飲むかとなり、じゃあ泊まりたいからテントの張れるキャンプ場で飲まない?と私が提案し、アパレル勤務のどっちーが調べてくれて、都内でいいキャンプ場があるよとテントOKの場所を昼から予約してくれた。


 そして当日、全員でお酒とおつまみ、食料類を大量に買い込み、キャンプ場に向かった。


 平日だからかとても静かで人もまばら。

 公園のあるキャンプ場だけど、私たちは公園からは離れていて人がより少ない場所に案内された。

 最高のロケーション。


 早速バーベキュー準備を開始。

 主婦の[よっちゃん]こと四谷ゆい(よつやゆい)が率先してやってくれたが、「テントは出さないの?」と言われ、すぐ組み立てられるから後でいいかなとまずは皆んなに一杯飲んでもらってから「テント」を出そうと言う考えだったが、皆んなは普通にテントで日陰を作ると思っていたのか、早く出せと言うので出したら、一人用のテントが自動で組み上がるものだから、驚きと落胆が見て取れて面白かった。


 ほろ酔いでバーベキューは進み、私がこの一年記憶がないことなど皆遠に忘れているようで、全然突っ込まれなかった。

 むしろ退職した理由についての方がヒートアップしてしまって大変だった。


 途中でどっちーがトイレに行くと言うので丁度いいと、「テント」の中をお披露目する事にした。


 そして全員絶句である。


 そりゃ初めてみたらびっくりするだろう。

 サプライズが成功して私はご満悦。

 そろそろ良い時間だから中に移らないかと提案しても誰も動かない。

 トイレに行きたいどっちーが一番初めに正気を取り戻してからは全方向からの質問の嵐。


 一瞬で皆酔いが覚めたと言い、テキパキとバーベキューの片付けをしたまでは良かった。

 その後、ルームツアーからのリビングでの飲み直し。

 再度質問攻めの、上級ダンジョン攻略の話、この「テント」でアイテム集めに目覚めた事、これから集めることを主にして行きたいことを伝えた。

 この幼馴染達には全て話したかったから、もしここから話が誰かに漏れたとしても悔いはない。


 そんな話をしてたら何故か皆んな泣き出して、飲んで、私の高校時代の話になって、また泣いて、飲んで、家庭の話になって、飲んで、旦那の話になって、飲んで、上司の話になって、飲んで……気づけば私以外全員酩酊状態。


 側から見たら酷い絵面だったろう。

 確かに幼馴染四人で会うのは数年ぶりであるが、ここまで酔い潰れた三人を見た事がない。

 バーベキューまではほろ酔いで、「テント」を見て正気を取り戻したと言っていたのにこの有様。

 宅飲みという状況もよく無かったのかもしれない。

 もはや何を話しているかもわからないくらいになってきたから、そっと酒を水に変えておいた。

 全員泊まると言い出したが、流石に主婦のよっちゃんは急にお泊まりは出来ず、しかも明日予定があったと言う事で急遽旦那さんが迎えに来てくれた。

 よっちゃんの息子くんと娘ちゃんも一緒に来て、お母さんの醜態に呆れていたのは後で言わないでおいてあげよう。

 しかし、見ないうちに子供二人が大きくなっていて驚きだ。

 12歳と9歳。しっかり挨拶のできる良い子に育っていて、親戚面するがとても嬉しい。

 そんなよっちゃん家族にさよならをし、残り二人は泊まる事になった。


 さえは土日休み、既婚だが子供はまだいない、どっちーは同じ独身で明日は仕事だが、遅番だからと泊まることが決まった。

 「良いなー」「良いなぁ」と仕切りに酔いながらもいろんな部屋を散策する二人。

 歩けば余計に酔いが回りそうだなと思っていたら、二人とも気づいたらソファで寝落ちていた。


 と言うことが昨日の顛末。

 そして冒頭は今日の朝、二日酔いの二人を心配する私である。


 二日酔いに効くと言う市販薬をあげて、白湯を出すと二人ともゆっくり飲み始めた。

 

「どっちー、遅番間に合う? 化粧品とかあるの?」


「うん、いつも化粧直しとかで大体持ち歩いてるから大丈夫ー。キャンプ場に私も泊まる気だったしー」


「え!?」

「嘘!? だからそんなに大荷物だったのか!」


 と、天然で忘れ物の多かったどっちーの発言とは思えない言葉に、私とさえはびっくりだ。

 よっちゃんとさえは元々帰るつもりだったけど、どっちーは泊まってそのまま仕事に行く気だったらしい。

 私がテントを持って行くって言ってたから、二人くらいなら寝れるだろうって気持ちだったらこの「テント」で、もう驚きを超えたよとよくわからない表現をしていた。


「あの豪華なお風呂借りるねー」


 と言ってどっちーは入りに行った。


「さえ、大丈夫?」


「驚き過ぎたのと、飲み過ぎでちょっとしんどい」


「だ、だよね。でも昨日の事覚えてる?」


「うん、ある程度は。寝落ちする前はちょっと曖昧だけど」


「よっちゃん大丈夫だったかな?」


「あ、連絡しとこう!」


 そう言ってさえが連絡してくれたが、現在朝7時半。すぐの返信はなかった。


「旦那さんに怒られてないと良いね……さえの旦那さんは大丈夫?」


「うちは全然。多分仕事だろうし?」


 と笑って言った。

 美人で頭が良くしっかり者のさえなのに昨日は酷かったと笑っていると。


「ねえ、そう言えば聞きたかったんだけど、『神の声』の時ゲームがどうのって言ってなかった?」


「うん、そう。あの声が聞こえる前に出かけようと思ってたんだけど、その前にしてたゲームのモード切り替えをしようとして、声にびっくりしてから記憶がないかな」


「そのゲームって今もやってるの?」


「スマホ変えちゃったし、番号もアカウント類も削除してるからログインできないかも……」


「……それさぁ、どんなモード切り替えだったの?」


「えっと、ねぇ、確か、スリープオートモードってやつで、ゲームをしてない間も近くのレベルにあったダンジョンで経験値を稼いでおいてくれるモードで……え、あれ?」


「うわぁ……でも、そのモードって一年以上も出来るものなの?」


「出来ない! 時間設定はできるけど、最大24時間レベルだよ。一年なんて……あ、そう言えばあの時おかしかったんだ。普段設定できないのに、数字入力する時、候補で上がってくるのを押し間違えて一万時間になって、変だなって思って直そうとして……」


「一万……いつ目覚ましたって言ったっけ?」


「え、えーと……確か2月21日って言ってたような」


「……うん、きっとそれだね。『神の声』のせいでゲームとこの世界とでバグが起きたのかも……」


「そんな事ある?」


「いや、わからない。でも一番しっくりくる。記憶が無いっていうし、それより前ははっきり覚えているのに」


 確かに起きたらダンジョンの中だし、レベルも知らないうちに上がっているし……


「それじゃあ、私以外にもいそうじゃない? 世界で考えたら」


「他に異常が起きていても不思議じゃないわね」


「だよね……」


「ちょっとこの事、旦那に言っても平気? もしかしたら月姫に話聞きたいって言ってくるかもしれないけど」


「旦那さんなら全然いいよ」


 そう、なんとさえの旦那さんは現在IDC日本支部の本社勤務なのだ。

 おそらく私の記憶喪失とかは茨城のIDC藤井さんや鮫島さんから情報は上がっているだろうけど、さえの様に突っ込まれてきかれていないから、ここまで辿り着いていないと思う。

 私なんて大した事ないのでは?と言ってみたら、『神の声』に関してこんな例聞いた事ないんだから、他にも異常がある人がいるかもしれないじゃないと怒られてしまった。

 まあ、そうか。

 私の場合は勝手にレベル上げだったけど、それ以外の異常があったとしても不思議じゃないのか。


 お風呂から上がってきたどっちーは「何その話ー?」なんてのんびりしてたけど、さえは早速旦那さんに電話していた。

 そしたら、今から本社に来てくれないかと言われてしまった。


 正直、面倒くさい。



お読みくださりありがとうございます。

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