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アイテムが欲しい、ただそれだけ  作者: 秋海棠


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15/20

14.待機者が多かった

申し訳ありません、今回も短めです。


 初級ダンジョン挑戦2日目の朝。


「……俺、アイテムと家具自分で揃えるから、やっぱあの部屋俺専にしてくれない?」


 早く起き、朝食の準備をしていた私に、起き抜け早々シャワーを浴びて出てきてわがままを言う弟。

 朝食すら私が準備してるのになんだその一言は。


「……それ、朝食準備してる私に言うことかい? ダンジョンの手解き受けてるから泊めたし、夕食も朝食も準備したけど……手伝ってくれますよね?」


「はい、ごめんなさい。片付けは私が承ります」


 ちょっと嫌味ったらしく言ってしまったが、片付けぐらいは自分でして欲しい。

 だが、この土日を空けて時間を作ってもらったのには感謝している。


「まあ、たまになら泊めてあげるわよ」


「!? お姉様……」


 なんか目がウルウルしてるけど、たまに付き合うだけだからねと何度も念を押しておいた。


 この贅沢で快適な空間がどんな場所でも使えると思ったら、欲しくなるのも住みたくなるのもわかる。

 ただし、通電していないから通常の家電が使えない不便さは覚悟する事だと言ったら、「分かってる」と何か意気込んでいたから、そのうち自分で手に入れそうだ。ライフオーバーにならない事を祈っておこう。


 そんな話をしながら、ザ、朝食って感じの焼き鮭に納豆、漬物、ご飯に味噌汁をテーブルに並べた。

 朝食を食べて少しだけ休んで着替えたら出発だ。



 2日目の今日は、最短ルートで行ける階層まで進み、15時になっても最下層につけていなければその階のセーフティエリアからボスに挑もうと決めた。

 昨日は二人とも慎重だったし、人も多かったと言うのもありあまり進めなかった。

 どうやら初級のボスはどこも混むようで、特に土日の待機時間は驚くほど長いらしい。

 有名なアトラクション並みに。

 昨日の6階層までは一度も攻撃を受けていないし、その感じなら11階層以上でも問題ないだろうと言われ、早めに待機した方がいいと言う話に纏まった。

 ちなみに弟はこのダンジョンを攻略済みで、攻略アイテムの鑑定鏡もここで手に入れたそうだ。

 私も鑑定鏡が欲しいからと今回このダンジョンを選んだ。

 

 早速2人でテントから出て、テントを畳んでいると、周りからの視線も多い。

 それでも話しかけてこないからまだ良いけど、そろそろ髪の毛でも切ろうかな。

 今はポニーテールで“無姫”と同じ髪型ってのも良くないのかも。 


「ダンジョン攻略終わったら髪切るわ」


「うん、その方がいいかも」


 と2人で話しながらセーフティエリアを出た。


 では、6階層途中からの攻略開始である。


 そう言えば弟の装備だが、全身革の鎧らしきもので揃えてつけている。

 まだまだ初級の装備らしいが、白銀の剣と良い、ちゃんと様になっていてカッコよく見えるのはダンジョンマジックだろうか?

 流石に弟にときめく事は無いが。

 そんな弟もレベル25だからか危なげなく戦えている様に見える。

 素人なので何が良くて何がダメなのかさっぱりだが、負ける事はなさそうだ。


 そうしてダンジョンアプリを駆使して最短ルートで進んでいくが、やはり15時までに最下層とはいかなかった。

 17階層でタイムアップとなったが、昨日に比べれば敵も強くなっているのに、結構進めたのでは無いだろうか。

 

 1〜10階層はバットやラット、ピジョン、スライムみたいな小型ばかりだったので、急いで駆け抜け戦闘にならない様避けていった。


 11階層からは体格が大きいモンスターになっていった。

 体格が大きいと言ってもゲームで定番のゴブリンやウルフなどの為、そこまで体が大きい訳でなく大きい個体でも一メートル強。

 数で押されていたらわからないが一対一なら苦戦はしないモンスターばかりだった。

 一瞬、ウルフの速さにヒヤッとした場面があり、油断は禁物と肝を冷やした。


 階層は増えているが、実際には上に行っているのではなく地下に降りているのでちょっとややこしい。

 『神の声』が設定したダンジョンは基本的に下へ降りていく作りだ。


 17階層のセーフティエリアに着くと、結構な数の人がいた。軽く100人は超えていそうだ。


「12階層のセーフティエリアも多いなと思ったけどもっと人がいる……」


「ボス待ちの人が多いんじゃ無い? あのボタンを押した順で転送されるから。でもどの階層からでもいけるから全員待機組ってこともないと思うけど」


 弟曰く、他の《挑戦者》がボスと戦っている時はあのボタンを押しても落下する事は無いらしい。

 そして、前の《挑戦者》とボスの戦闘が終わればボタンを押した順で転送されていくんだそうだ。

 親切設定で、ボタンの上に現在の待機者何人と表示もしてくれるので大体の待ち時間も計算できるとか。

 そしてボタンを押した待機している人の視界の端にも『前の待機者〇〇人』と表示もしてくれるそうだ。


 確認するため、人の波を掻き分けてボタンの前に行くと、『現在の待機者112人』と表示されている。


「112人だって……どうなの?」


「そうだなぁ、初級だから順当に行けば1人5分くらいで終わると思うけど、初めてのやつとかは手こずるから……大体12時間くらい待つかも……辞めとく?」


「え、夜中じゃん」


「明日なら平日だから、だいぶ人も少なくなると思うよ。今日はここに泊まって朝イチで挑んでみたら?」


「そうするわ。陽太は帰るでしょ?」


「本当はいたいけど、明日は外せない会議があるから……帰るわ。ここのボスはホブゴブリン。動きはそんなに早く無いけど少し力が強いかな。まあ、姉ちゃんなら大丈夫だと思うよ」

 

 弟は名残惜しそうにしながらもボスの情報は残してくれた。

 自宅も少し遠いからと、ここで別れる事に。

 

「ここまでありがとうね」


 お礼を言うと、「今度は俺の中級に付き合って」と言い、私の返事を待つ前に「脱出する」と言ってダンジョンから出ていった。ドライなやつだ。


 1人残された私はセーフティーエリアの比較的空いている端に移動し、テントを展開し、明日の朝までのんびりする事にした。



【ピンポーン】


 ソファでうたた寝をしていたら、急にインターフォンが鳴った。


お読みくださりありがとうございます!

引き続き精進いたします。。

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