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アイテムが欲しい、ただそれだけ  作者: 秋海棠


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12/17

12.買うついでに満喫した

今回も短めです。

 

 早速やってきました、燕三条中級ダンジョンIDC。

 ガラス窓の外は吹雪だ。

 もちろん侮ってなんていなかったが、ここまで雪深いとは……雪素人が車で来なくて良かったとつくづく思った。


 今は、受付にタワーファンの購入希望を伝え、本体と魔石の在庫確認をしてもらっている最中だ。

 昨日2台あるとは言っていたけど、取り置き出来ないから売り切れている可能性もある。

 そわそわしながら待つ時間はなんと長く感じることか。

 

「お待たせ致しました。どちらも在庫がございました。こちらが本体、こちらが魔石です。鑑定鏡はお持ちでしょうか?」


 「無いです」と答えると、用意してくれていた鑑定鏡を貸してもらえた。

 しっかり確認し、「大丈夫です」と頷く。

 在庫があり、内心大喜びだが表に出さないよう冷静に努めた自分を褒めたい。


「では、こちらのタワーファン本体が52万円、魔石の小が1つ1万6千円ですので、13点で20万8千円です。合計72万8千円ですが、お支払いはいかがされますか?」


「振り込みでお願いします。でも魔石の価格少し下がったんですね」


「ええ、国内二例目上級ダンジョン攻略のニュースで今まで以上に国内だけでなく、他国でも入場する方が増えた様です。しかし、上級挑戦は思った以上に難しいと言う事で、手ぶらで帰りたく無い方々が、得た経験値で魔石を購入するケースが増えていることが影響しているようです」


「はあ、そうなんですか……」


 でも、経験値で買うとレベル下がると思うんだけど、それでもダンジョンショップにたまたま出会えた《挑戦者》達は、何か買わずにはいられない衝動に駆られるとか。

 私ももしダンジョン内で見つけたら、確実に寄ってしまうなと思ったけどね。


 「では、こちらをご確認の上お振込をお願いします」と、前回見せてもらったものと同じ書式が表示されたタブレットを渡される。

 私も確認に慣れたもので、上から下まで一応読み、振り込みを実行。

 前回の方が高い金額ではあったが、こうも高額の支払いが続くと……怖い。

 まだ報奨金が入っていないから口座残高が減りすぎて少し不安になるレベルだ。

 しかし、私には報奨金とミスリルがあると言い聞かせて気分を落ち着かせる。

 むしろこの考えの方が恐ろしいか。

 

 そんな私の残高など気にせず、IDCの方でも入金が確認できたと言われる。今回は前回の様にPNカードを覗かれて驚かれるなんて事はなかったし、担当してくれた人も粛々と対応してくれて安心した。

 アイテムボックスに入れて持って帰っても?と聞いても「はい、もちろんです」と良い笑顔だった。

 

  

 ウキウキ気分で市内のホテルの自室に戻り、早速「テント」を取り出し設置する。


 早足で「テント」室内に入り、まだ何も置かれていないリビングへ。

 そして、アイテムボックスからタワーファンを取り出し魔石をセットする。

 

 タワーファンの大きさは高さ一メートル無いくらいの細長い形。

 リモコンも付いていたので、取って表示を確認すると色々な項目がある事に驚く。

 タイマーだけでは無い、細かく調整できる風量に風向き。

 さながらエアコンである。


 早速、23度の暖房に設定し、加湿と空気清浄機能も付けて稼働開始。

 すぐに暖かい風が出てきたが、音は静かでとても快適だ。

 首振りにもして、30畳と広い室内が結構早い時間で暖かくなっていく。

 何度も言うが、これはもはやエアコンである。

 とても良い買い物をした。

 もう一つマスターベッドルームに置く用に欲しい。

 でも、流石に2台買うのは諦め、後日自分の力量を確認したらダンジョンに挑んでみようと思った。


 しかし、昨日はもう少し考えてから行動すれば良かった。

 この部屋にはまだこのタワーファンしか置いていない。

 実家から帰ってすぐ日曜早朝発の電車のチケット購入に没頭してしまい、部屋の荷物整理もせず飛び出してしまったから、テントに何も移動していないのだ。

 ソファぐらい移動しておけばよかったと後悔している。

 一旦この日はタワーファンの電源を切り、テントをしまい、次は何のアイテムを手に入れようかと、ホテルでゆっくりネットを見ながら過ごした。


 翌日はしっかり新潟名物のラーメンを食べ、行列に並びブランド米も購入して、新潟を満喫し家路についた。

 旅行しながらアイテム集め……良いな。

 もう少しゆっくりしても良かったなとまた後悔した。


♢ ♢ ♢


 そんな新潟旅行から帰ってきた後の五日間はなかなか忙しかった。


 現在住んでいる部屋の退去を不動産屋へ相談し、諸々の解約手続き。契約自体は後一月残るが、それより先に退去・転居の申請も準備していった。

 次の住所は取り敢えず実家に戻す。


 手続き進めながらも、帰り道に家具屋さんへ寄って色々散財してしまった。

 まずはテントのマスターベッドルームに置くクイーンサイズベッド。

 マットレスもCMでやっていた寝心地重視のものに。

 総額は……びっくりする金額だった。

 ついでに新しいソファもL字タイプの大きいものにして購入。

 そのほかにも細々欲しい家具を購入する日々であった。ちょっと散財しすぎて不安になってくるレベルで使ってしまった。


 しかし、1番大変だったのはスマホの買い替えを行った後の家族や友人への連絡だ。

 新規契約をしたので、番号、アドレス、トークアプリのIDも全て新しいものにした。

 ついでにSNSのアカウントも削除した。

 念の為、SNSのアカウントしか知らない友人には、削除前に新しく作ったフリーアドレスを送っている。

 なので、旧番号からまずはこの番号の登録をとお願いする連絡から、トークやグループトークへの追加などてんやわんやしてしまった。

 多分もっと簡単な方法はあっただろうなと思うが、後の祭りだ。

 一応旧番号もあと1週間は残しておくつもりである。

 もちろん、茨城上級ダンジョンの鮫島さんにも連絡済みだ。

 オークション等のやり取りがまだ残っているからね。

 金額がいくらになるのか怖いけど。


 忘れていたが、しっかり報奨金も口座に振り込まれていた。

 振り込み完了の連絡が来たので確認したら口座残高がえらい事になっててちょっとビビったのは言うまでもないか。

 残高にビビリはしたが、余裕ができたことにより散財の不安も薄れてしまった。

 そして、そんな残高を見て車を買おうか迷っているが、ちょっと気になるアイテムをネットで見つけてしまったのだ。


 山口県の下松中級ダンジョン攻略で手に入るアイテムだ。

 その名は「トゥクトゥク車」である。

 見た目は2人乗りの小さなトゥクトゥクみたいな感じなんだけど、これまた内部空間が拡張されていて、中に入ると後部座席があり定員4名仕様。

 もちろん雨風も凌げるし、冷暖房も完備。

 IDCの検証結果、公道、高速道路も走行可能だとか。

 もはや超コンパクトな軽自動車だ。

 ただ、必要魔石も多い。

 水・火・風・光・闇の魔石小を各5点ずつも必要だそうだ。

 タワーファンとの性能差はあるが、その分厄介なダンジョンボスらしい。

 同じ中級なのに違いがあるんだと調べながら感心したものだ。

 しかも、ここをクリアした人は自分で使う人が大半な為、基本アイテムを売りに出さない。

 なので、欲しいならば攻略するしかない。

 それなら中古車を買ったほうがいいかななんて悩むけど、アイテムとして欲しいなという気持ちもある。


 実力に余裕があるならば挑戦してみたいダンジョンだ。

 でもまずは、弟に付き添ってもらい、自分の実力を確かめてから考えるべきだろう。


 

お読みくださりありがとうございます。

次話は他者目線でストーカー要素ありです。不快な表現もあるかと思いますので、その場合読み飛ばしください。

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