25 これからの事
ジェイドの視線の先を見てジュリアが溜息交じりに溢す。
「ふう、今日は一度に色々あり過ぎて疲れてしまったわ。
嬉しい事でも疲れるのは同じなのね。
切も良いしここまでにしてまた明日にしましょ。
その紙の山を見ているだけで眩暈がしそう。」
そこで今日は一旦お開きとなった。
「それじゃあアイラ、悪いがこの書類の山を
アイテムボックスに仕舞ってくれるか。」
「アイラさん、申し訳ないけどこちらの遺産もお願いできるかしら?」
ジェイドの言葉にジュリアが続ける。
「えっ、書類は構いませんけど、大切な品々を私が持っていて良いのですか。」
「勿論よ。あなたが持っていてくれた方が安心だわ。
貴方のアイテムボックスほど安全な保管場所は無いと思うわ。」
「そういう事であれば責任を持ってお預かりします。」
「ええ、お願いするわ。
お部屋を用意させるから夕食までゆっくりしてね。
貴方も色々大変だったでしょ?」
「お気遣いありがとうございます。でもそこまでして頂くのは気が引けます。
何処か宿を探してそちらに宿泊します。」
「何水臭い事言ってるの。あなたはグラント家の大恩人よ。
部屋を用意するくらいは当たり前の事だわ。
遠慮どころか自分の家だと思って寛いで頂戴ね。
それに何よりこれからの事とか相談したい事は山ほどあるもの。」
「そういう事であればお言葉に甘えさせていただきます。」
「ええ。そうしてね。」
部屋が片付いたのを確認してジュリアが執事を呼んで指示を出す。
「叔母上、まだ見つかっていない遺産の事もありますし
俺は予定通りダンジョンへ行ってみたいと思うのですが
関係書類の精査は誰か信用のあるものに頼めませんか。」
「そうね、あなたは書類関係の仕事より剣を振るう方が
性に合っているのでしょうね。
でも長い間ギリニスの騎士団の団長の仕事を放っておいて良いの?」
「第二騎士団長の代わりなんて幾らでもいますよ。
なんならオルコットに移り住んで冒険者にでもなりますよ。
気楽で良いんじゃないですか。」
「またそんな冗談を。まあいいわ。
丁度シグルス商会の方々が領都に滞在中だから打診の使いを送ってみるわね。」
「お願いします。それでアイラ
ギルドで頼んだようにダンジョンに同行してほしいのだが
引き受けてもらえるか?」
「えっ、あれってショウに言ったんだよね?」
「ああ、だからショウの姿で頼む。」
「あんな場当たり的な人選で大丈夫なの?」
「俺の人を見る目はちゃんとした物だったろう?」
「そこは答えようがないかな・・・」
「まあ良い。という事で明日から乗馬の訓練だ。」
「なんで?!」
「ここからダンジョンまでは馬車でも一週間弱かかる。
そんなにゆっくりしてる時間が惜しい。
それともアイラは乗馬も経験者か?」
「まさか。馬なんてテレビで見たくらいですね。
でも乗ってみたいとは思うかも。」
「テレビというのは良く分からんが、決まりだな。
速歩が出来るようになれば後は移動中に何とかなるだろう。
ダンジョン行きの準備をしながら練習すれば往復時間も含めて大分節約になる。」
「それは私が乗れるようになる事を前提だからプレッシャーが半端でないです。」
「まあ頑張ってみてくれ。」
「・・・他人事。」
暫くしてダニエルさんが部屋の準備が整ったと迎えに来てくれたので
また食事の時にという事で談話室を後にした。




