第九十九話 みじめな継母と異母妹
そして、フィリシャール公爵家の処分が残った。
具体的にはフィリシャール公爵家当主の父と継母と異母妹のコルヴィテーヌの処分になる。
三人には、三つの問題点があった。
一つ目は、わたしの父と継母が、王妃殿下によるウスタードール殿下の擁立を支持したこと。
二つ目は、わたしの父と継母が、グラスジュール殿下の婚約者でありフィリシャール公爵家出身であるわたしを、自分たちの子供であるにも関わらず処分しようとしていたこと。
三つ目は、継母とコルヴィテーヌの度を過ぎた贅沢の為に、二人が父を動かして、フィリシャール公爵家の領民から重い税を取り立て、領民を苦しめていたこと。
どれも大きな問題点と言える。
この内。一つ目、二つ目については、継母とコルヴィテーヌが王妃殿下のクーデターの現場に参加するほどの協力を行っていた。
王妃殿下とその側近以外の王室の人たちや貴族たちとは、一線を画していると言っていい。
しかし、国王陛下とグラスジュール殿下にとって一番重要なのは、三つ目の問題点だった。
重い税で国民を苦しめていた王妃殿下は修道院に送られている。
その為、フィリシャール公爵家においても同じような問題を発生させた三人を、このままにしておくわけにはいかなかった。
国王陛下とグラスジュール殿下は協議し、処分を決めた。
それは、
「フィリシャール公爵家の当主は、フィリシャール公爵家の令嬢であり、グラスジュール殿下の婚約者であるリランドティーヌが就任する」
「王妃殿下のクーデターに協力した責任と、フィリシャール公爵家の失政の責任を取り、フィリシャール公爵家当主とその夫人は、別々に修道院に入ること」
「フィリシャール公爵家令嬢コルヴィテーヌは、当主の妻と一緒に度を越えた贅沢をし、領地経営にも口を出して一緒に領民を苦しめていたが、父と母の従属的立場だった。しかし、リランドティーヌに対し反発をし続けていて、今回クーデターに参加したことの反省もない。その為、両親とは別の修道院行きの処分とする。ただし、まだ若いので、今回のことを修道院の中で反省し、フィリシャール公爵家の領内経営には今後一切関わらないことと、姉であるリランドティーヌに対して忠誠を誓うことを約束することができれば、フィリシャール公爵家に復帰することを認めるものだとする」
というものだった。
グラスジュール殿下やわたしの生命を奪うことを最終的に考えていて、しかも領民を苦しめていた人人物たちに対する処分としては甘いように思える。
しかし、今まで贅沢三昧で過ごしてきた継母、その継母を寵愛していた父親、この二人にとっては、地位を失った上に、清貧に生きなければならない修道院行きは、耐えられないものだった。
コルヴィテーヌも一旦は修道院行きになった。
しかし、フィリシャール公爵家への復帰の道は残された。
この処分も甘いものかもしれないのだけれど、贅沢三昧の生活を送り、姉であるわたしを見下していたコルヴィテーヌにとって、この処分は、贅沢な生活から切り離され、姉に忠誠を誓うことになるので、耐えられないものだった。
継母は、正式に処分を受けた時、
「わたしはフィリシャール公爵家のあるじ。それなのに、わたしはここから追い出されなければならないの! リランドティーヌはわたしが育ってあげたというのに、取りなそうとする気が全くない。この仕打ちは残酷すぎる! ふざけるのもいい加減にして! わたしはもっと贅沢をしたい! ここを離れるのは嫌だ!」
と言って泣き叫んだ。
それに対して父は、泣き叫ぶことはなかったのだけれど、
「リランドティーヌよ、お前はわたしたちが育てたということを忘れたのか? 取りなしてくれてもいいではないか? それでもお前はわたしの娘なのか? 酷い仕打ちとしかいいようがない!」
と怒り、そして、涙をこぼしながら言ってきた。
わたしに嫌味ばかり言ってきた継母と、継母の良いなりになっていた父。
両親らしいことをしたことは一度もなかったと言っていいのに、よくそういうことが言えるものだ。
全く勝手な言い分としかいいようがない。
二人には反省と言う言葉はないのだろうか?
その後二人は、それぞれ別の修道院に送られ、そこで残りの人生を過ごした。
反省をすることはなく、復権を求め続けたものの、その願いが届くことはなかった。
みじめだというしかない。
コルヴィテーヌも処分を受けた時、
「わたしはこのフィリシャール公爵家の令嬢です。領内経営について口を出すのは令嬢として当然だと思いますのに、なぜ口出しをしてはいけなかったのですか? 口を出し、領民に重い税を重ねければ、贅沢三昧の生活はできないというのに……。また、姉妹の仲だというのに、姉に対してなぜ忠誠を誓わなければいけないのですか? 納得ができません。処分がとにかく厳しすぎます。なぜこのような厳しい処分を受けなければならないのでしょう? わたしのことに限らず、お母様やお父様をを取りなしてくれるのが姉というものではないのですか? ああ、わたしこそがフィリシャール公爵家の当主になるはずだったのに、なぜ姉が……」
と言って泣き叫んだ。
コルヴィテーヌもみじめだとしかいいようがない。
従属的立場だったとはいうものの、継母とともに、贅沢三昧で領民を苦しめたコルヴィテーヌ。
今、フィリシャール公爵家の新当主になるわたしに忠誠を誓うことができないのは、今まで、わたしのことを見下してきた態度からすれば、仕方がないとは思う。
これから時間をかけて、忠誠心を養ってもらうしかないだろう。
しかし、領内経営のことについては、今すぐにでも理解してもらわなければならない。
コルヴィテーヌに領内経営に口を出させないのは、贅沢三昧の為にまた重い税を課して領民が苦しむことを防ぐ為だった。
そのことが理解できないようだ。
両親の従属的立場だったとは言っても、国民を苦しめたことに変わりはない。
修道院行きになったとは言っても、復権の可能性は残っているので、十分甘い処分のようにわたしは思う。
しかし、コルヴィテーヌは、自分が厳しい処分を受けたと思っている。
そして、反省する気は全くないように思う。
「なぜ姉に忠誠を誓わなくてはならないの! わたしはこのフィリシャール公爵家のあるじになるはずだったのに! 悔しくてしょうがないわ!」
コルヴィテーヌはそれからもしばらくの間、泣き叫び続けていた。
「面白い」
「続きが気になる。続きを読みたい」
と思っていただきましたら、
下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。
ブックマークもいただけるとうれしいです。
よろしくお願いいたします。




