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第七話 継母の言いなりにはなりたくない

「きみは人の気持ちというものを思いやる心というものがないのだね、もちろんそう言う人だとは思っていたが、ここまでとは……」


 オーギュドリュネ殿下は少しガッカリしているようだ。


 それがわたしには理解できない。


「人のことを思いやることは、いいことのように思いますが、そんなことをしていては、オーギュドリュネ殿下の婚約者としての威厳を保つことなどできません」


 わたしがそう言った後、しばらくの間、沈黙がその場を支配した。


 わたしの言うことが、オーギュドリュネ殿下、そして、国王陛下や王妃殿下にも理解されてきているのではないかと思っていた。


 このまま進んでいけば、婚約が続けられるかもしれない。


 そういう期待も湧いてきていた。


 しかし……。


 やがて、オーギュドリュネ殿下は、


「わたしがきみとの婚約を破棄する理由はこれだけではない」


 と言った。


 まだわたしに対して言い続けるのだろうか?


 さすがに辟易してくる。


 もうそろそろわたしとの婚約を続けると言ってもいい頃だ。


 いくらオーギュドリュネ殿下がわたしとの婚約を破棄したいと言ってきても、反論し、説得するだけだ。


 すると、オーギュドリュネ殿下は、


「ここにいる母親や妹、そして、ボワデシャール公爵家の人たちもイジメていたそうだね」


 と言った。


 この話が出てくることは予想していた。


 わたしは、継母がわがボワデシャール公爵家に来て以来、ずっと対立をしていた。


 継母もわたしのことが最初から嫌いだったのだけれど、わたしも継母のことが嫌いだった。


 同族嫌悪というものだろうか?


 継母はわがボワデシャール公爵家より家格の下がるシャルドリックス公爵家の出身。


 それがコンプレックスだったのかもしれない。


 最初にわが家に来たときから、父親には甘くてやさしい態度で接するのに、わたしに対しては、


「あなたのように魅力がない子がどうして義理の娘になるのかしら? この屋敷から追放してもおかしくないレベルね」


 と、初めて会った日に言われてから、顔を合わせる度にそう言っていた。


 そして、わたしやボワデシャール公爵家の人々には、傲慢な態度を取り、イジメを繰り返していた。


 それは、ルゼリアが生まれると、さらに酷いものになっていく。


 そういう継母に対し、わたしは、学校に入学するまではずっと耐え忍んでいた。


 誰も救けてくれない。


 ボワデシャール公爵家の人たちは、自分たちもイジメられているので、それどころではなかったようだ。


 とはいうものの、わたしを誰一人救けようとしないのは心にこたえるものがあった。


 父親も、わたしを救けようとはしなかった。


 父親は継母に夢中だったし、ルゼリアが生まれると、とてもよくかわいがった。


 わたしのことなどどうでもよかったのだ。


 それどころか、学校への入学前に、継母のイジメが我慢できなくなって、そのことを父親に話した時、


「わがままを言ってはいけない。お母さんがお前に厳しいことを言うのは、お前がしっかりしないから、しつけの意味で言っているのだよ。お前の母親なのだから、もっと言うことを聞いて、敬いなければだめだ、二度とそういうことを言うんじゃない!」


 と言って、わたしの言い分など聞く耳をもたないばかりか、わたしのことを叱り、継母の肩をもつだけだった。


 わたしに対するイジメを、しつけの一環だと言う継母の主張に沿った形で丸め込まれてしまっていたのだ。


 もはやわたしは、ボワデシャール公爵家で孤立をしてしまったのだ。


 わたしはその日の夜、ずっとと泣き続けた。


 わたしを産んでくれた母親がずっといてくれれば、こんなつらい目にあうことはなかっただろうに、と思った。


 父親と継母とボワデシャール公爵家の人たちを憎んだ。


 しかし、その一方で、


「このまま継母の言いなりになってたまるものか!」


 と強く思うようになっていった。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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