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第十七話 前世の記憶

 どうやらわたしは少し寝ていたらしい。


 今日は九月の休日。


 わたしはリランドティーヌ。フィリシャール公爵家令嬢。


 昼食を一人でとった後、自分の部屋で紅茶を飲んでいる内に眠くなり、ベッドに入り寝ていたのだった。


 眠い目をこすりつつ、テーブルの席に座った。


 そして、テーブルにある紅茶を飲もうとした瞬間、わたしの心の底から、大量の記憶が湧き出してきた。


 どうやらそれはわたしの前世の記憶だった。


 わたしの幼い頃から、処断されるまでの記憶。


 十八歳で生涯を閉じるという、短くはあったものの、数々のドラマが展開された人生だった。


 やがて、記憶の湧き出しは終わった。


 わたしは、しばらくの間、呆然としていた。


 わたしにとって、あまりにも衝撃的なことだったからだ。


 わたしの前世は、ルラボルト王国にあるボワデシャール公爵家令嬢ルナディアーヌ。


 ルラボルト王国のオーギュドリュネ王太子殿下の婚約者だった。


 しかし、婚約を破棄された後、ボワデシャール公爵家を追放され、処断されるという運命をたどる。


 悲惨な運命だ。


 その記憶が怒涛のごとく湧き出してきたのだ。


 この前世の記憶の中でも、婚約破棄をしてから処断されるまでの間は、言葉にできないほどつらくて苦しいことが連続する。


 しばらくすると、わたしの心の中ではその記憶が繰り返し再生されるようになり、それが原因で猛烈な頭痛に襲われるようになった。


 苦しい……。


 誰か救けて……。


 ベッドの上で七転八倒するほどのつらさだった。


 侍女を呼ぼうと思ったのだけれど、こういうわたしの情けない姿を見せると、内心軽蔑されると思ったので、なんとか我慢する。


 我慢するのだけれど、つらい。


 しかし、わたしにとって救いだったのは、その猛烈な頭痛がそれほど長く続かなかったということだ。


 頭痛はだんだんおさまっていった。


 そして、立ち上がることができるようになると、わたしは紅茶を飲み、気持ちを落ち着かせることにした。


 わたしはテーブルの席に座って、紅茶を飲み始めると、前世の記憶について整理をすることにした。


 まず前世でわたしが生きていたルラボルト王国。


 この王国の名前だけは、今のわたしも知っていた。


 わがボランマクシドル王国からは、かなり離れた位置にあるので、歴史的にも交流は少ない。


 商人の行き来はあるものの、それも限られたものででしかなかった。


 ただ、ルラボルト王国の情報はないわけではない。


 わたしが通っている学校の図書館には、この世界に存在するほとんどの国の歴史書がある。


 ルラボルト王国について書かれた歴史書もあったはずだ。


 わたしがルナディアーヌとして生きていたときの歴史もそこに書かれていると思う。


 王太子殿下がその相手との婚約を破棄した後、家から追放し、処断するということは、その国にとっても大きな出来事になるからだ。


 したがって、その書物を読む時は、ルナディアーヌについての悲惨な記載を避けることはできない。


 そうすると、先程のような頭痛に襲われるかもしれない。


 また苦しい想いをするのは嫌だ。


 しかし、それでもわたしはその歴史書を読まなければならない。


 わたしの前世での出来事を確認したいということはもちろんある。


 その歴史書を読めば、わたしの心の中の前世の記憶が、正しいものであるかどうかの確認ができると思っていた。


 また、わたしがこの世を去った後の記憶はもちろんないので、継母や異母妹、そして、オーギュドリュネ殿下がその後どのように過ごしたか、ということも知りたいところだ。


 しかし、もっと大切なことは、その書物を読むことにより、改めて前世の状況を確認するとともに、今置かれている状況と比較することだと思っている。


 そして、前世でわたしの失敗した部分をしっかりと認識して反省し、よりよい人生を歩んでいけるように、計画を組んでいかなくてはならない。


 そのようにわたしは思っていたのだけれど、それでは遅いのでは、と思うようになってきた。


 その歴史書は明日にでも読まなければならない。


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