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第十五話 最後の反撃

 わたしは国王陛下に、


「この二人にこそ詫びてもらいたいと思っております」


 と言った。


 すると、国王陛下は、


「まだあなたはそういうことを言うのかね。ここまで言われれば、あなたも少し反省すると思ったのだが、それはわたしの買いかぶりだったようだ。もし、あなたが二人に心から詫びる気があれば、処断だけは避けて、修道院送りに変更することをわたしも考えなくはなかったのだが……。あなたは自分でその最後のチャンスを逃そうとしている。自分の生命を自ら捨てようとしているのに等しい。わたしとしては残念でならない」


 と沈痛な表情で言った。


 国王陛下は、二人に謝れば生命だけは救けようと言っている。


 しかし、それは本心なのだろうか?


 今までの話からすると、そうだとは思えない。


 わたしの生命が救われるかもしれないという期待を持たせて。わたしを一瞬ホッとさせる。


 そして、わたしが言われた通り二人に謝ると、今度は、


「あなたは二人に心から謝っているわけではなく、わたしに言われて嫌々謝っているだけとしか思えない。こういう人を生かしておいては、ボワデシャール公爵家、そしてルラボルト王国の為にならない。やはり、あなたは処断するしかなさそうだ」


 と言うだろう。


 つまり、わたしが一瞬ホッとした後、奈落の底に突突き落とされて絶望するのを見て、ここにいる全員で嘲笑したいのだろう。


 腹が立ってしようがない。


 嘲笑されるのは嫌だ。


 そして、こんなところで処断されるのも嫌だ。


 わたしは、


「この二人に謝りたくはありません。そして、二人にこそわたしに謝ってほしいという気持ちのままでございます。わたしは処断されることについて、納得できません。国王陛下、今一度、お考え直しください」


 と気迫を込めて言った。


 国王陛下は驚いたようだ。


 そのままじっと腕を組んで考え込み始めようとした時。


 オーギュドリュネ殿下が、


「父上、何を迷っているのですか? このものの戯言に惑わされて、いつまでもつきあっている場合ではございません。正式にこのものに対する処分を命じてくださいませ」


 と強い調子で言う。


 国王陛下はハッとした様子。


「そうであった、オーギュドリュネよ。申し訳ない」


 国王陛下はそう言った後、続けて、


「ボワデシャール公爵家令嬢ルナディアーヌよ。お前は周囲のものたちに対してだけではなく、大切な存在である自分の母や妹のことをイジメ続けた。そして、領内では失政を行い、領民を苦しめた。それらのことにより、わがルラボルト王室の威光をおおいに傷つけることになった。それなのに反省する様子がまったくない。これは許しがたいことである。そこで、わたしはルナディアーヌに対し、次の処分を命じる。まず先程オーギュドリュネが宣言した、ルナディアーヌとの婚約破棄を行い、次にボワデシャール公爵家からの追放を行うことにする。そして、家を追放してから数日の後に処断を行うことにする。これを正式な処分とする。オーギュドリュネよ、後の処理はまかせた」


 と冷たく淡々とした調子で言った。


 ついに、わたしの処断が正式に決まった。


 わたしの生命はもうここまでということだ。


 呆然とするわたし。


「父上、おおせの通りにいたします」


 オーギュドリュネ殿下はそう言った後、護衛の兵士をこの部屋に呼んだ。


 たちまちの内に、その内の二人に腕をつかまれるわたし。


「ルナディアーヌよ、わたしはきみの名誉を考慮して、舞踏会の前日にきみをここに呼んだのだ」


「それはどういう意味でしょうか?」


 今さら何を言っているのだろう?


「わからないのか?」


「わかりません」


「明日の舞踏会できみとの婚約破棄、ボワデシャール公爵家からの追放、処断ということを発表した場合、大勢の前できみに恥をかかせることになる。わたしはきみの名誉を傷つけたくはなかったのだ、だから今日、この場で、処断ということまで進めたのだ。ありがたく思うのだな」


 オーギュドリュネ殿下はそう言った後、


「きみがうれしくなることを一つここでお見せしよう」


 と言ってルゼリアを抱き寄せた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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