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第百五話 相思相愛

 わたしがグラスジュール殿下と二人だけの世界に入らなかった理由はもう一つある。


 グラスジュール殿下とわたしは、お互いに対し恋をして、相思相愛の段階に到達することができたものの、まだまだお互いに対する理解が足りているとはい言い難いものがあった。


 仲睦まじい夫婦になっていく為には、お互いに対する理解を深めていくことが必要。


 この理解が足りないまま二人だけの世界に入っていくと、それ自体が目的になってしまう可能性が強く、お互いに対する理解を深めるということが二の次になると思われた。


 そのまま進んで行くと、結婚したとしても、いずれはいわゆる仮面夫婦になってしまう可能性がある。


 その為、心の底からの語り合いの回数を重ねていくことによって、心と心を通じ合わせていくことが先だとわたしたちは思ったのだ。


 その結果、わたしたちが二人だけの世界に入るのは結婚式の後、正式な夫婦になってからということで、わたしたちは合意した。


 キスについては制限するかどうか迷うところだった。


 わたしはグラスジュール殿下と既に一度キスをしていた。


 わたしのファーストキスだった。


 もう一度していることなので、制限をする必要はないのでは、とわたしたちは思っていたのだけれど、一方では、キスをすることについても、それ自体が目的になる可能性があるのでは、という思いが心の中にどうしても湧き上がってくる。


 しかし、二人だけの世界に入っていくよりは、目的になる可能性は低いと思われたことと、それ以前に、わたしたちは相思相愛になっているので、なんらかの形で愛を確かめ合いたいという欲求は抑えることは難しかった。


 わたしたちは、結局、キスに対する制限は設けないことにした。


 キスそのものを目的にするのではなく、心と心を通じ合わせる為の手段として活用することにしたのだ。


 こうしたわたしたちのお互いの努力の結果、この一年半の間で、わたしたちは心の底からお互いのことを理解し合えるようになったと思う。


 これならば夫婦としてやっていけるだろう。


 グラスジュール殿下もわたしも今までよく我慢できたと思う。


 今、わたしは、グラスジュール殿下にメロメロで熱愛状態。


 グラスジュール殿下に対し、会う度に。


「わたしはグラスジュール殿下のものです。好きです。大好きです。愛してます。結婚式が待ち遠しくてたまらないです」


 と甘い声で言っていた。


 結婚式の日がくることを今か今かと待っていたのだ。


 今のグラスジュール殿下もわたしを熱愛する状態になっているのだけれど、結婚式まではその想いを抑えようとしているようだ。


 しかし、わたしに対して、


「わたしはそなたのものだ。好きだ。大好きだ。わたしもそなたを愛してる。わたしも結婚式が待ち遠しい」


 と言ってくれていた。


 この日が待ち遠しかったのは、わたしと同じだったということだろう。


 グラスジュール殿下と初めて会った時は、あいさつ程度しかできなかった。


 この時点では、グラスジュール殿下と結婚するということは、想像もつかないことだった。


 グラスジュール殿下との婚約が成立した時も、相思相愛の夫婦になっていけるように一生懸命努力をしていきたいとは思っていた。


 しかし、そこまで到達できる自信は、その時点ではあまり持っていなかったと言っていい。


 なんといってもグラスジュール殿下もわたしも、周囲の評判は最悪に近い状態。


 その時点でのわたしは、グラスジュール殿下に対し、周囲の人たちのように悪い印象だけを持っていたわけではないのだけれど、だからと言って特別いい印象を持っていたとは言い難かった。


 グラスジュール殿下もわたしに対しては、同じような印象を思っていたと思う。


 何と言っても、わたしは悪役令嬢だったのだ。


 それが今や、お互いのことを理解し合い、相思相愛というだけではなく、熱愛カップルの段階まで成長をしていた。


 わたしとしてはこれほどうれしいことはない。


 この結婚式、そしてその後に迎える初夜は、わたしたちの熱愛カップルとしての総仕上げということになる。


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