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第一話 婚約を破棄され、みじめなわたし

 わたしはルナディアーヌ。ボワデシャール公爵家令嬢。


 ルラボルト王国の王太子であるオーギュドリュネ殿下の婚約者。


 一月の下旬、冷たい雨が降っていたある日のこと。


 今、わたしはとんでもない状況の下にある。


 断頭台。


 わたしが連れていかれた場所。


 この場所において、これからわたしは処断されようとしていた。


 手を縛られて自由はなく、着ているのはボロボロの服。


 そして、容赦なく降り注ぐ冷たい雨。


 寒くてたまらない。


 見物人からは、容赦のない罵声がわたしに向かって飛んでくる。


 しかし、わたしにはそれに対して腹を立てるほどの気力は残されてはいなかった。


 みじめだ。


 つい数日前までは、このような状況になるなど想像もしていなかった。


 婚約者から、信じられない言葉をかけられるまでは。


「わたしオーギュドリュネは、ボワデシャール公爵家の令嬢であるルナディアーヌとの婚約を破棄する!」


 厳しくて冷たい言葉。


 この言葉により、わたしの破滅は始まったのだ……。




 わたしは婚約後初めてとなる舞踏会に参加することになった。


 この舞踏会でわたしはオーギュドリュネ殿下の婚約者として披露されることになる。


 その前日の打ち合わせということで、わたしはオーギュドリュネ殿下の執務室にやってきたのだけれど……。


 わたしの前には、オーギュドリュネ殿下だけではなく、国王陛下と王妃殿下がいた。


 いずれもその表情は険しく、冷たい。


 何があったのだろう?


 明日のことについて、オーギュドリュネ殿下と二人で話をするはずだったのに、なぜ国王陛下と王妃殿下がいるのだろう?


 何かわたしに無理難題を言うつもりでは?


 一瞬わたしはそう思った、


 しかし、わたしは金髪碧眼の名門公爵家令嬢。


 この王国の中でも一二を争う美貌と才能を持った女性だ。


 どんな表情をされようとも臆することは何もない。


 そして、どんな無理難題を言われても、受け入れられること以外は断るだけだ。


 わたしは。


「オーギュドリュネ殿下、何があったのでしょうか? お二人もご一緒とは?」


 と言った。


 オーギュドリュネ殿下に対して、いつもは最初から高いテンションで話すわたし。


 しかし、さすがに国王陛下と王妃殿下の前なので、少し抑え気味にする。


 すると、オーギュドリュネ殿下は、


「ルナディアーヌよ。わたしはもともときみと結婚する気はなかった。学校でもきみの評判は良くなかったし、きみと実際話をしてみて、その性格の悪さに辟易していたところだった。それでも父上ときみの父親との間で、わたしときみが婚約するということを決めたので、従わざるをえなかったのだ。わたしはきみと婚約などしたくはなかったので、父上に抗議をしたのだが、受け入れてもらえなかった。わたしはこのままきみと結婚するしかないと思い、心が沈んでいたのだ」


 と言った。


 この方は何を言っているのだろう?


 わたしのような魅力一杯の女性と婚約・結婚するということが、どれだけ幸せなことか、理解することができないというのだろうか?


 オーギュドリュネ殿下は、今までわたしとおしゃべりをしている時、今日のような表情をすることは一度もなかった。


 それは全部うそだったというのだろうか?


「オーギュドリュネ殿下、そのように遠慮なさらなくてもいいですのよ。『心が沈んでいたのだ』というようなことをおっしゃらなくても。わたしに夢中だと言ってくださればいのに」


 そう言ってわたしは高らかに笑った。


 すると、オーギュドリュネ殿下は、


「遠慮などはしていない。それにわたしはきみに夢中になどなっていない」


 とムッとした表情で言った。


「もう、オーギュドリュネ殿下、まだそんなことをおっしゃるのですか? わたしに夢中だと正直に言ってくださればいいのに。今までは、わたしとおしゃべりをする時、ずっと微笑んでおられたではないですか?」


「それは作り笑いでしかない、わたしは一生懸命きみに対する腹立ちを抑えていたのだ。全く……。きみは人の気持ちを考慮しようとしない。どうしてそこまで傲慢なのだ、きみは」


「オーギュドリュネ殿下もお人の悪い。わたしに夢中なのが恥ずかしいからと言って、わたしに対して『腹立ちを抑える』とか『傲慢』とかいうのは少し言い過ぎだと思いますわ」


「言い過ぎなどではない!」


 今度は語気が荒くなってきていた。


 怒っていることが伝わってくる。


 何を怒っているのだろう?


 わたしに何を伝えようとしているのだろう?


 どうもオーギュドリュネ殿下の心が良くわからない。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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