いつまでも2人で
正式譲渡が決まってから1週間、にゃんず(猫たち) はたいていリビングで過ごし、
眠くなると、隣の部屋にある、2人のベッドに丸まって寝ていたりする。
”ピーチ・ブロッサム”は南側向きの部屋なので日当たりも良く、
にゃんずの日光浴には最適だった。
二匹とも自由に気ままに過ごしている。
猫らしくてとてもいい。
夜は比較的ケージで寝ていることがおおい”きなこ”と”あずき”だが、
この日は”きなこ”が夜中に寝ている渚の顔をペロペロと舐め始めた。
お腹が空いたのか、はたまた気まぐれかはわからない。
眠くて仕方ないが虚ろに起きた渚は、きなこを抱っこしてまた寝る。
きなこはそこから這い出て、今度は薫子の顔をペロペロと舐め始めた。
何か要求があるのかもしれないけれど、
ご飯は寝る前に少し足しておいたし、お水も変えておいた。
トイレ掃除もして快適なはずだ。
薫子は起きると、ソファまでいって”ちゅーる”をあげた。
これがいけなかった。
次の番からきなこもあずきまでも夜中にちゅーるを要求するようになって、
一週間もすると、特に薫子は寝不足になっていた。
渚もうっすらと起きてしまい、やっぱり寝不足だった。
休日にちょっと遅くまで寝ることもしばしば、
さすがに耐えかねた渚が、薫子に
「夜はにゃんずにちゅーる与えないでくださいよー!
もう毎日眠くて大変です。」
「それは私も同じだよ。会社で眠りかけて危なかったんだから。」
とちょっとした諍いが始まった。
2人の間は少し冷えた関係になってしまった。
折角、にゃんずを迎え入れて、楽しい毎日を送っていたのに、
夜中のご飯あげでケンカになりそうだ。
まるで、本物の人間の赤ちゃんを2人で子育てをしている
かのようなやりとりだ。
そして、渚はきっぱりと「夜中にご飯を与えない。できなかったら、寝室は締めますよ。」
薫子は「えーっ。可愛そうじゃん。。。」
「可愛そうかもしれないですけど、私たちの関係も不穏な空気になっているんですよ。
それどころではないでしょ。お互いの絆が一番大事じゃないですか?」
薫子はこの言葉に衝撃を受けた。
いままで、いかに自分が渚に甘えていたのか気付かされた。
渚に甘えて自分の我が儘を通していた。
そんなのは健康的な関係じゃない。
薫子も「そうだね。なぎの言う通りだとおもった。私はなぎに甘えていた。
自分の方が年上なのに、なんでも甘やかしてくれるなぎに我が儘を押し付けていたのかも。」
「年齢差なんて、関係ないと思います。」
少し拗ねた声で「私もるこさんに甘えてますから…。」
2人の間の空気が少し暖かくなってきたようだ。
「お互いを尊重し合えることが大切だって気づいたんです。
何でも言い合えることももちろん大事だけど、相手の目線に立って考えないと
関係は続かないと。私、ルコさんとずっと一緒に居たいから。本当の家族になりたいから。」
薫子はさめざめと涙を流していた。自分より8歳も年下の恋人にこんなことを
言わせてしまうなんて。なんて情けない。
「なぎ。本当にありがとう。大事なことを見失っていたのかもしれない。
私たちは、世間的にはマイノリティな存在で、国は結婚すらいまだに許してくれない。
それでも、結婚している夫婦と変わらない関係を幸せを分かち合える関係でいたいと思う。」
「ルコさん、泣かないでください。」
「そういうなぎも涙ながしているよ。拭いてあげるから、待ってて。」
そういうなり、渚の頬をつたう涙を両手の親指で拭った。
ついでに自分の涙も拭った。
2人はそそまま抱きしめあった。
渚は優しく囁く。
「例え、両親の理解を得られなくても、国が結婚を許してくれなくても、
何が起きても、私はルコさんの傍に居たい。ずっと居たい。」
薫子はまた涙を流しながら
「私も同じ気持ち。両親が反対しても、独身のままでも、ずっとなぎと一緒に居て、
歳を重ねたい。そして、きなことあずきのママたちになりたい。」
「うん、うん。そうだね。ママたちになろうね。」
「たまにケンカもするかもしれないけど、一緒に乗り超えよう。もう立派な家族だよ。
愛しているよ。渚。」
「ルコさん、私も愛している。ずっと、いつまでも。」
2人は抱き合ったまま、静かに優しいキスをした。
End.
今回が最終回となります。
途中、平坦な内容になってしまったなと反省しています。
もう少し起伏のある内容にした方が楽しいですよね。
自分の文章力の拙さを実感いたしました。
次作は反省を踏まえて今作でできなかったことにもチャンレンジして
行きたいと思います。
私の処女作である「28歳OL。私の彼女は大学生」を手にしてくださったこと
心より感謝申し上げます。
長い間本当にありがとうございました。




