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彼女との出会い

1人暮らしを満喫していた薫子が、自分とは対照的な元気いっぱいの女の子に出会って惹かれていく。

何の変哲もないけど、変哲のない幸せを感じてもらえたら嬉しいです。

私は桃瀬 薫子(ももせ かおるこ)。28歳 170cm。体重58g。やややせ型。黒いロングヘア。

毎月のヘアサロンでのメンテナンスも欠かさないさらさらヘアー。

日焼けが苦手。口下手。人混みも苦手。苦手が多い。


出版社に勤務するOL7年目。今は旅行雑誌のライターを担当している。

今の仕事は嫌いじゃないけど、現地取材で出張が多いのがキズ。

口下手だけど、取材の時は仕事モードで乗り切り、文章は書くのが好きなので、

社内での評価は高い。


趣味は読書。海外ドラマ。お酒が好き。平日は嗜む程度。愛煙家。

彼氏なし。彼女あり。

元々、同性愛者ではなく、大学生と就職してからもそれぞれ、彼氏はいた。

なので、そういう男女の行為も経験している。

今の彼女以外に女性を好きになったことがないから、バイセクシャルかどうかは不明。


彼女は桜坂 渚(おうさか なぎさ)。20歳。大学生、経済学部の3年生。

サークル・部活には入らず、喫茶店「ソル」で週4日バイトしている。

身長160cm。体重53Kg。平均体重。セミロングでピンクのインナーカラーをしている。

趣味はアニメ、ゲーム、料理。

基本的に、明るく元気。細かいことは気にしない性格。

学校の友達も多い、人気者。高校時代は彼氏がいたが、今は彼女が()()



()()()()()という名のもとに、同居。

猫2匹。3歳の姉妹猫。黒に近いグレーの「あずき」と明るい茶色の「きなこ」


帰宅時間は、渚が20時頃、薫子が21時頃。

趣味でもある料理を担当するのが渚。

薫子はその他のゴミ出しやトイレ掃除なんかを時間がある時に週に数回担当している。


出会いのきっかけはありきたりだ。

薫子が編集の仕事で良く使う喫茶店にアルバイトとして入ってきたのが渚だった。

薫子は打ち合わせ中だったので、元気のいいバイトの子が入ってきたなというのが

渚の第一印象だ。


薫子にとっての「ソル」は渚がアルバイトで入ってくる前からの常連だった。

出先から本社への帰社途中に、美味しいコーヒーを求めてマスター自慢の

ブレンドコーヒーを飲むのが密かな楽しみだった。

だから、渚との第一印象は衝撃的なことは()()()()というのが

正直な感想だ。


ただ「ソル」通っているうちに、いつも元気いっぱいな渚を気に入っていった。

彼女がサーブしてくれるコーヒーはなんとなくいつもより美味しく感じた。

不思議な感覚だけど、言葉にするのは難しい。


それから、薫子は休日もなんとなく「ソル」に通うようになった。

そして、渚がいないと少しガッカリしている自分に気づいた。


ある土曜日、渚に会えるとは期待しないで「ソル」に大好きな作家の本を持って

美味しいコーヒーを求めてお店に足を踏み入れると、

元気な「いらっしゃいませー。」が聞こえてきた。

自分でも驚くくらい、とても嬉しい気持ちになったのに驚いた。


 「あっ、桃瀬さんいらっしゃい。今日は混雑していないから、良かったらテーブル席使ってよ。」

マスターのバリトンボイスがお店に響く。


「マスター、ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えてテーブル席に座らせてもらうわね。」

薫子は読書するにもゆっくりできる、テーブル席はありがたいと思った。


「薫子さーん。ご来店ありがとうございます。いつものオリジナルブレンドでいいですか?」

渚がオーダーを取りに来て、明るい笑顔で確認してくれる。


 この頃には、お互いの苗字も名前も知っていた。

「うん。お願い。渚ちゃん。今日はアルバイトなんて珍しいね。」

薫子は勇気を出して、自分から話しかけてみる。


「はい。大学の友達と温泉行くことになって、ちょっと資金調達って感じです。」

温泉は大分の湯布院に行くことになったので、飛行機代と旅館代を貯めなければならなかった。


「そっかー。旅館ってホテルより高いし大変だよね。そうだ、今度、温泉旅行の感想聞かせてくれない?食事とか一緒にどうかな?」

薫子は少しテンションも高く、調子に乗っていた。

普段だったら、そんな誘い方絶対しないのに、

渚ちゃんを誘ってみた。


「えっ、いいですけど、何でですか?」

渚は、急なことでちょっと驚いている。


「私が雑誌のライターって知っているでしょ?それ旅行雑誌なのよ。

本社はいろいろな雑誌を出しているけど、私の担当は旅行のガイドブックなんだ。」

ここぞとばかりに話を進める薫子。


「知らなかったです!いいですよ。何か気になることがあれば何でも聞いてください。

旅行は来月の3月ですけど、大丈夫ですか?」

渚は、誘われた理由が分かったので、話をするくらい構わないと思った。

時期がちょっと先になるのでそれだけが気掛かりだった。


「大丈夫!実際に行った人の話を聞けるとなると参考になるなー。じゃあ、帰ってきたら教えて!

ディナーご馳走するから!」

普通だったら引くくらいに調子に乗っていた。

なのでダメ元で誘ったというのは否めない。


 「そんな、ディナーだなんて!話するだけなのに。もっと気軽にコーヒーとかでいいですよー。」

薫子さんてこんなに積極的だったとは知らなかったと純粋に驚く渚だが、

普通に考えれば、渚の反応は普通だろう。


「あらっ、渚ちゃんはお店の常連さんの希望を聞けないのかしら?」

薫子はいたずらっぽく、渚を挑発するような口調になった。

自分でもちょっと意地悪い聞き方だったなと思った。大人ってずるい。


「薫子さん、そう言われたら、断れないですよー。じゃあ、遠慮なくご飯ご馳走になります!」

「うんうん。学生は素直に奢られたらいいのだよ。でも怪しい大人についてっちゃダメだからね!

って私、怪しくないよね!?」

これじゃ、どこかの変態おじさんのような口ぶりじゃないか。

と自分でツッコみを入れる薫子。


「薫子さんなら、オーナーお墨付きの常連さんなので怪しくないです。

ふふふっ。薫子さんって意外と可愛いところあるんですね!」

薫子さん、今日は休日だからか、テンション高くて、いつもより楽しそうだなぁ。

渚は何を意識するでもなく素直にそう感じた。


「えぇぇ、そんなこと言われたの初めて!」

本当に初めてだった。今まで付き合ってきた彼氏といっても2人からは

そんなこと言われたことなかったかも…。

いや、アレの最中に言われたかも。などと間男のようなことを考えている。


「薫子さん、友達少ないんじゃないですか?」

「あれっ、なんで分かったの?そんな話したっけ?」

あれっ、なんでバレてるんだろうと今度は純粋に驚く。

薫子には高校時代からの親友が一人いて、唯一の友達ともいえた。

会社では同期の女子と話はするけど、合コンに誘われたりはなかった。

たぶん、薫子が人見知りであることをみんなが気遣ってくれているのだと思っている。


「逆ですよ!友達の話しないから、そう思ったんです。

こう見えて観察眼はあるんですよ。チッチッチッ。」

渚はよくある漫画のように、人差し指を立てて、左右に振りながら言った。


「今日は、渚ちゃんの勝ちだわ。それじゃぁ、改めて、オリジナルブレンド1つお願いします。」

「はい。承りました。」

長々と話しちゃったわ。お店大丈夫かしら?

と、店内を見回すと、新規のお客も入ってきていないようなので、

内心ちょっとホッとした。

薫子は自分が渚を独占したことを悪びれながらも、どこか渚との会話を楽しんでいた。

入店した時に渚が居て嬉しかったことや、他愛ない会話が想像以上に楽しかった。

渚ちゃんと行くイタリアンのお店探ししないと。などと気の急いた楽しみに浸りながら、

愛読書を開き、美味しいコーヒーを待っていた。

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