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6話 腹をくくるしかない

 テレーザリアのことはひとまず置いておいて、今は魔獣の討伐だな。


 キースとツェツィーが領地の状態を確認に行っている。


 ツェツィーは魔法で飛べるので、空中から見た様子をキースの脳内に魔法で送り、キースはそれを記録していく。そして被害の地図のようなものを作る。


 そういえばすっかり忘れていたが、ふたりは従兄妹だったんだなぁ。だから以心伝心のような魔法がスムーズにできるのだな。


 ふたりはそれとは別に、瘴気の浄化をし、視界をクリアにしていく。


 大元の泉の浄化は俺とツェツィーでやるが、流れてきている瘴気はいつも二人でささっとクリアにしている。


 ツェツィーは純正の白クマでとにかく天才だ。


 三姉妹の末っ子なのだが、姉達より魔力が強く、どんな魔法もチョチョイのチョイと簡単にやってのける。


 特に回復魔法は凄く、死んでなければ元通りに治せる。魔獣と戦って怪我をしてもツェツィーがいれば問題ない。

 

 俺達の合言葉は『とにかく死ぬな』だ。生きていればなんとかなる。


 なのでツェツィーは物心つく頃から王家にこき使われている。もちろん報酬はある。かなりの高額だ。

 

 それとは関係ないかもしれないが、我が国の宮廷魔導士の祖の直系であるあの家はかなり裕福である。


 ツェツィーの姉で俺の好きなアマーリアも白クマで魔力は強いが、奴と比べると正直劣る。まぁ、ツェツィーは規格外の怪物みたいなもんだ。だからか、子供のくせに愛想もないし、辛辣だ。人間化するのがめんどくさいといつもクマのままの変な奴なのだ。まぁ子供だから仕方ない。


 キースは茶クマと白クマのハーフだから、普通の茶クマより魔力がある。魔力のある茶クマはロルフのように胸に白い模様が出るだけだが、白絡みのハーフは、普通のクマより魔力が強く、魔法に長けている。なにより人間化した時に髪がブロンドなのでカッコいいのだ。俺もブロンドがよかったなぁ。



◇◇◇



 俺とロルフは領主を交え、魔獣退治の策を練る。


 この地に出没している魔獣は討伐や退治というほどではなく、魔獣狩りといった感じになるだろうと予想している。それ程強烈ではないようだ。


 騎士達の魔法剣で斬り捨て、魔導士達は魔法で消滅させていく感じだな。方針は決まった。配置は二人が戻ってから決めよう。



 またテレーザリアがお茶の用意をしてくれているようだ。美しい笑顔で見つめられるとたまらんなぁ~。


「皆さん、キリのいいところで一休みしてお茶にしてくださいませ。我が領地でとれるこのお茶は自慢のお茶なのです。ねぇ、お父様」


「そうだな。魔獣のことが落ち着いたらぜひ王都でも販売したいと考えております。殿下がお気に召してくださればうれしいです」


 領主も後押しをする。なるほど茶葉を売りたいのだな。この領地の野菜はかなり王都に入ってきているが、茶葉はまだ入ってきてないか。


 正直、俺は茶の味などよくわからない。リオネルモードに切り替えて味わってみようか。


(リオネル~、出てきてくれ~)


 なんとなく舌の感覚が敏感になったような気がした。お茶をひと口飲んでみる。甘い。深いコクも感じる。これは美味いな。


「美味しいですね。甘くてコクもある。来てすぐにいただいたお茶とはまた銘柄がちがうのですか?」


 さすがリオネル、俺にはそんな違い全くわからん。


「そうなのです。わかっていただけて嬉しいですわ」


 テレーザリアは俺を見て頬を染めている。俺に気があるのかも? 


 隣を見るとロルフが疑わしい目で俺を見ている。


「お前、茶の味なんてわからないだろう?」


「わかるよ。俺、王子だぜ」


 ドヤ顔をすると鼻で笑いやがった。とにかくロルフよりは一歩リードだ。



 ロルフと睨み合っていたら玄関が騒がしくなってきた。


 キース達が戻ってきたようだ。一緒に行っていた魔導士達が大きな紙を運んでいる。


 キースは眉間に皺を寄せ俺を見た。金髪イケメンの難しい顔はカッコいい。やっぱり俺、金髪がよかったなぁ。


 キースは俺の心の声が聞こえたのか、小さくため息をつき、オフィシャルな顔に変わった。


「確かにリオの見立てどおり、魔獣はさほど強くはないが、数が多い、調査の途中で何頭が消したがどんどん湧いてくるようだ。先に泉を浄化し、根元を断つ方がいいかもしれないな」


 キースは今回も冴えている。いつも的確だ。


 ツェツィーが俺の上着の裾を引っ張る。


「リオ、行こう。さっさと早く元を絶っちゃおうよ」


「あぁ、そうだな」


 ツェツィーに返事をし、キースの顔を見た。


「キース、魔獣の数はざっとどれくらいを予想している?」


 俺の問いにキースは指を3本立てる。それを見たロルフが身を乗り出した。


「300か?」


 キースは首を振る。


「3万はいるようだ。今は潜んでいて夜に出てくるので、今回は夜戦だな」


 3万? こりゃ大変だな。今回は50人位で来ている。ひとり600か。頑張ろう。


 青ざめる俺を見たツェツィーが怒鳴る。


「リオ、早く! ぼやぼやしてると魔獣増えるよ!」


「そうだな」


 ここまできたら腹をくくるしかない。


「泉の浄化を先にする! 皆、泉に向かうぞ!」


 いよいよだな。俺達は泉に向かった。



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