15話 転生者チート
俺はロルフに転生者は色んな魔法が使えるおまけがあるとさらっと話した。詳しくはこの魔獣を倒してからまた話すと告げた。
「そうか、何かわからないが、まぁそういうことか」
脳筋は理解が早い。
「それなら魔法ふんだんに使ってくれよ。たとえば心身体力増強魔法とか使えねーか? やってみてくれよ」
「そんなの使ったことないけどやってみるか? エミーリアもやってみてくれ」
「OK」
俺達はロルフのいう心身体力増強魔法をイメージして繰り出してみた。
ロルフの身体に光が降り注ぎ消えた。必要な魔法エネルギーが満たされると消えるようだ。
「どうだ? ロルフ?」
ロルフは手足を動かしている。
「あぁ、いい感じだ。これならいけそうだ。みんなにもかけてやってくれ」
「わかった。エミーリアいけるか?」
エミーリアを見るとOKサインを出している。
エリアヒールならぬ、エリア心身体力増強魔法をくり出す。
騎士も魔導士も光のシャワーを浴びている。
せっかくなので自分達も魔法の恩恵を受けることにした。確かに心も身体も力がみなぎる感じがする。これならあの魔獣も倒せる。偵察に行っていた魔導士が戻ってきた。
「そろそろ親玉魔獣が戻ってきます。他の魔獣はあいつが皆片付けたので残りはあいつひとりです」
よっしゃぁ、気合いを入れていくぜ!
ドンドンドンドン
地響きをさせながら奴がこちらに近づいている。
愛しいエミーリアに全ての魔獣を片付けたと報告に来たのだろう。
「魔法で眠らせるわ。うつらうつらし始めたら、口に氷魔法放ってちょうだい」
「わかった」
エミーリアと俺は崖の上に移動魔法で移り、奴の顔の位置に合わせる。奴にエミーリアは囁く。
「よくやったわね。あなた最高よ。疲れたでしょ? ゆっくり眠って」
エミーリアの手から奴に向けて光が流れると奴の目がトロンとなった。
「アーンしなさい」
エミーリアが命令すると奴が口を開いた。
今だ!
俺はやつの口に向けて氷魔法を放つ。心身体増強魔法でいつもより強力になっている。みるみるうちにやつの内臓がピキピキと音を立てて凍りはじめる。
完全に凍ったようで、皮膚まで凍りはじめた。
「次は私達の番ね。ロルフ、火炎行くわよ!」
「おっしゃぁ! みんな行くせ!」
火炎魔法が得意な者達が魔法を放ち、魔獣を焼き尽くす。すでに内臓を凍らせ、仮死状態の魔獣は動く事もなく焼き尽くされていく。火炎の温度は高く、氷が溶けるとかそんなことは関係ないほどの熱量だ。
側にいると火傷をするので俺達は魔法で透明の盾を作る。
心身体力増強魔法はすげーな。転生者チートもすげー。魔法を作れるなんて思ってもみなかった。
これなら、アマーリアの好きな奴の怪我も簡単に治せるんじゃないか?
魔獣が燃え尽き消滅したのを見たら病院に行こう。
火炎部隊が火炎を放っている間、火炎魔法を使えない者達は奴が倒した魔獣達が燃えて消滅した跡地に行き、魔獣の中にある魔石を回収しに行っている。
魔獣は皆、腹の中に魔石を持っており、それにはかなりの魔力が入っているので、魔道具を使うときにとても役立つ。
身体が大きな魔獣だから魔石も大きいはずだ。
マジックボックスに収納しておけば運ぶ手間もいらない。
火がだんだん小さくなる。魔獣は火の中で粒子となり消えていった。
「これでひと安心だな。それにしてもこいつらレベルの魔獣が王都に現れたら大変だ。王都の泉を全て強力に浄化し、結界を張っておこう」
「そうだな、この戦いは疲れたよ。しばらくはのんびりしたいぜ」
ロルフは苦笑いしている。
心身体力増強魔法は元の力以上の力を使うので魔法が解けた後の疲れが半端ない。
やはり魔法に頼るのも時と場合によるな。気をつけよう。
「病院にいってくる。アマーリアの好きなやつの様子を見てくるよ」
「私も行くわ」
「じゃあ、俺も行く」
騎士団と魔導士団は領収邸に戻り、休んでもらうことにして、俺達は移動魔法で病院に飛んだ。
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