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転生したらクマだった。クマ獣人の王子は前世の婚約者を見つけだし今度こそ幸せになりたい。  作者: 金峯蓮華


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14話 エミーリアの秘密

 魔獣は本当にデカかった。今まで戦った魔獣なんて比べ物にならない。


 もう魔獣なんてレベルじゃない。


 剣で切れるのか?


 魔法で攻撃といっても通用するのか?


 ロルフも青を通し越して白い顔になっている。


「リオ、勝てる気がしねぇ」


「勝たなきゃならない。勝たなかったら我が国は終わる」


「そりゃわかってるけど、魔法剣で切れるか?」


 横で聞いていたエミーリアはどうやら平気なようだ。


「魔法剣をいくつか集めて大きくて強力な剣にしてみたら? ひとつじゃ無理でも何人かの魔力を合わせればいけるんじゃない?」


 さすがツェツィーの姉だ。


「私は魅了の魔法が使えるから、あの魔獣を魅了してみるわ。禁忌の魔法だから使い道がなかったけど、魔獣にならかけてもOKよね? 懐柔できたら駆除しやすいでしょ?」


 魅了の魔法か。まさかこいつザラの生まれ変わりか? 俺は一瞬身構えた。


 そんな俺を見てエミーリアはふっと笑う。


「ザラじゃないわよ」


 え? ザラを知っているのか?


「カナリアなのか?」


「まさか。そんな訳ないでしょ」


「転生したのか? 誰?」


「そんなことどうでもいいでしょ。私達は魔獣を倒さなきゃいけないの。わかる? やらなきゃやられるのよ」


 この気の強さはカナリアの姉のジュリアかもしれない。まさかアマーリアはカナリアの長姉のエレマリアか? 


 確かに前世の記憶があるなら処刑した俺のことなんか大嫌いだろう。ということは、カナリアはツェツィー? まさかな。それはない。


 あの神様は同じくらいの年齢にしてやるといっていた。


 だからカナリアはツェツィーであるわけがない。エミーリアだけがジュリアであとは違うのだ。


 しかし、転生したのは俺だけじゃなかったのか。俺はエミーリアともっと話をしてみたくなった。


 エミーリアの提案どおり、通用するかどうかわからないが、魔獣に魅了の魔法をかけることになった。


 上手くかかれば大人しくさせ、俺が口から氷魔法で内臓を凍らせた、あとは魔法剣で切り刻む。作戦はバッチリだが上手く行くだろうか。


 エミーリアが魔獣に魔法をかけていると、別の奴が現れた。こいつは小さい。


 邪魔をさせてはならないと、ロルフが強力な魔法剣で魔獣に立つ向かう。


 魔導士達も一斉に攻撃する。少し怯んだところを、10メートルはあるだろう魔獣に、ロルフが魔法で飛び上がり、肩から袈裟がけに斬った……のだが、尻尾で叩きつけられた。


「ロルフ!」


「だ、大丈夫だ。骨が何本か折れたくらいだ。回復魔法で治してもらうから心配すんな」


 ふと、見ると、魔獣は斬られたはずなのにくっついていた。


 なんで? こいつらすぐに再生するのか? ヤバい。ヤバすぎるぜ。


 ロルフは魔導士達に回復魔法をかけてもらい立ち上がった。魔導士達の回復魔法は根本から治りはしない痛みを取るだけの気休めにしかならないが、それでもあいつなら戦えるはず。自己治癒力を魔法で上げてるだろうしな。


「ロルフ! いけるか?」


「当たり前だ! 俺を誰だと思っているんだ!」


 ロルフは笑う。


 エミーリアが口を開いた。


「そろそろいけるわ。こいつに仲間を倒すように命じたから、仲間をみんな倒させて、どんなふうにすれば消せるか見ましょうよ。その間、ロルフは休んでいて、ツェツィーほどじゃないけど、私が回復魔法かけるわ」


「俺は大丈夫だ。今、魅了で魔力を使ったのに、また回復魔法なんかしたら魔力欠乏になるだろ?」


 確かなそれはある。


「エミーリア、無理はするな。回復魔法なら俺もかけられる」


「あんたはあいつをやらなきゃならないでしょう。私はツェツィーに魔力増強してもらってるし、加護の魔法もかけてもらってる。それに転生者チートでとにかく大丈夫なの。あっ、あんたもか」


 エミーリアはふふふと笑った。


「やっぱり転生者なのか?」


「そうよ。私はあんたを許さない。本当は魅了の魔法をかけて、めちゃくちゃにしてやろうと思ったけど、神様に私達が死んだ後の話を聞いてやめたの。あんたも一応被害者といえば被害者だものね」


「ジュリアか?」


「よくわかったわね。私の夫や義両親はひどい奴らだったから、あいつらを処刑してくれたことにはちょっと感謝してるわ。私はあの時心も身体も壊して、処刑される寸前に死んだから別にいいんだけど、やっぱりあんたがカナリアにしたことは許せない。カナリアはあんたのためにあんなに頑張っていたのに……まぁ、前世のことを今更言っても仕方ないわね」


「すまない。ジュリアをあの家に嫁がせたのは父だ。ジュリアも王家のせいで不幸になっていたんだな」


「だからもういいの。今世は魔法が得意なクマで結構幸せなの。許せないけど許してあげるわ。一緒にロルフに回復魔法をかければ、早く回復できるわ。ほら、早く」


 確かにそうだ。俺達はロルフに回復魔法をかけた。



 あちこちから魔獣の叫び声や爆発音が聞こえてきた。


 エミーリアの魅了にかかった魔獣が他の魔獣を駆除しているのだろう。その間に俺達はあいつを倒す策を練りなおす。


 結局、ツェツィーの提案した、口の中に氷魔法を放ち、内臓を凍らせて斬り刻み、最後は火炎魔法で燃やすことにした。あいつは火を吹き、仲間を駆除していると報告があった。やっぱり火炎魔法がいいようだ。


 すっかり元気になったロルフが難しい顔をしている。


「なぁ、転生者チートってなんだ? 前に言っていた生まれ変わりとかなんとかの話か?」


 いや、それは話せば長いことになる……。


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