10話 男達、サロンで語る
東の領地の領主やみんなに挨拶をし、俺達は早々に王都に戻った。
俺達3人はのんびりサロンでお茶を楽しんでいる。
ツェツィーは魔力回復のためか寝ているようだ。子供だから眠いのだろう。
そういえば、テレーザリアは瀕死の婚約者を救ったツェツィーにめちゃくちゃ感謝をしていたなぁ。
抱きしめられて泣かれてびしゃびしゃになっている白い子グマってなんとも言えない状態だった。
テレーザリアに婚約者がいて、二人はとても愛し合っている様子を見たロルフは俺以上にショックを受けていたなぁ。
俺とロルフは好みが似ている。美人で胸が大きくて、腰が細い。華奢でグラマーな女が好きだ。そしてふたりとも惚れっぽい。
キースはどうなんだろう? キースとそんな話はしたことがないな。てっきりツェツィーが好きなロリコンだと思っていた。
「俺、キースはロリコンで危ない趣味な奴だと思ってたんだ」
無言で頭の上から鉄拳が落ちてきた。
痛てぇ~。
ロルフは薄ら笑いを浮かべている。
「馬鹿かお前は。俺達と違ってキースはめっちゃモテるんだよ。イケメン、金髪、優しい、それに優秀だろ。子グマは従兄妹だし、世話焼いてるだけ。本命は……まさかアマーリアか?」
焦ったような顔でキースにを見る。
キースは完全にアホかというような顔をした。
「あのな、ツェツィーと従兄妹ってことはアマーリアとも従兄妹なんだよ。それにアマーリアには好きな男がいる。ツェツィーも言っていただろう」
「アマーリアの好きな男って誰?」
「そうだ知っているなら教えてくれよ」
俺達が詰め寄るとキースはもっと呆れた顔をした。
「知らないよ。本人が私は好きな人がいるのって言っていたんだ。別に誰って聞いたわけじゃないから知らないよ」
キースは肩をすくめた。
ロルフはキースに詰め寄る。
「なんで聞かね~んだよ! 普通聞くだろ!」
確かになんで聞かなかったのだろう? もしくは聞いていて口止めされている? 俺だったりしないのかな? ロルフよりは俺だと思う。
もし、アマーリアがカナリアなら、俺のことは好きだけど前世のわだかまりがあるから距離を置いているのかな。
「なぁ、キース、アマーリアが俺の前世の婚約者ってことはないかな?」
俺は真顔でキースに聞いてみた。
「前世か。どうだろうな。アマーリアからはそんな話は聞いたことがないよ」
ロルフは鼻で笑う。
「また前世かよ。お前頭は大丈夫か? そんなもんあるわけないだろう」
ガハハと笑い俺の背中を叩く。
俺達の馬鹿っぷりをお茶を飲みながら見ていたキースが口を開いた。
「俺、調べてみたんだ。あの時のリオが言っていた話を」
「リオの話?」
「テレーザリア嬢の婚約者に回復魔法をかけて、なんとか回復させたあと、リオがツェツィーに話していただろう。あれさ」
キースは調べていたのか? さすがキース。俺が国王になっても絶対、側に置こう。
「お前も暇だな。あんなリオの夢物語をよく調べるなぁ」
そう言うとロルフは菓子をガブリと頬張った。
「あの時のリオは100年くらい前だと言っていたが、正確にはリオが王太子だったデーニッツ王国がジンメル王国に攻められ、国が滅んだのは93年前だ。その時の王太子の名前はリオネル。王族は全て処刑されていると記されていた。だからリオの話は全く妄想ってわけではない気がするんだ」
だから本当だって言ってるだろ。
「ただ、細かいことを書いたか書物が無いんだ。なぜ攻め込まれたのか? なぜ滅ぼされたのか? そのあたりが載ったものがない」
「俺がハニートラップにかかったんだよ。間者の魅了の魔法にかかって、婚約者と宰相を一族郎党処刑した。ブルーム公爵家の一門は皆優秀で国の中枢で働いている者が多かった。それをみんな殺してしまったんだ。国はスカスカになった。そこに俺の妻、つまり王太子妃になった間者がジンメル王国の者を入れてきたのさ。魔法にかかっていた俺や国王、そして俺の側近達は間者の言いなりだからほいほい入れて、中からも外からも国を滅ぼされた。馬鹿だよな」
キースは不思議そうな顔をしている。
「お前、魅了の魔法にかかっていたことはいつ知ったんだ?」
「死んでからさ。死んだ時に行き先を決める場所に送られたんだ。その時に神様ってやつが、魔法がかかったままじゃ、次に行けないからって魔法を解いて、俺に俺がしたことを思い出させたんだ。気が狂いそうだった」
さすがのロルフも神妙な顔になっている。
「そりゃ辛いな。でもよ。魔法にかかってやらされてるんだから、お前が悪いわけじゃないだろ?」
「いや、カナリアの父親や兄は魔法にかからなかったんだ。俺は魔法にかかってしまった。その時点で俺のせいなんだよ。俺は自分より優秀なカナリアが妬ましかったんだ。カナリアは俺のために頑張ってくれているのに俺はカナリアを避けるようになった。自分が情けなかったんだ。そこにつけ込まれた」
「ツェツィーが言ってたな。それを婚約者に言ってしまえば良かったのにってな」
「言えね~。俺なら絶対言えね~よ。そんなの恥ずかし過ぎるよな」
ロルフはそう言うと俺の肩をがしりと掴んだ。
「あぁ無理だ。プライドがある」
俺の言葉にキースはため息をつく。
「多分、その婚約者はお前のそんなダメなとこも知ってて丸ごとお前を愛してくれていたのだろう。お前とは格が違うことを認めればよかったんだ。プライドなんて邪魔だよな」
まさか。
「キース、お前、カナリアの兄上のルーファス義兄上か? ルーファス義兄上の生まれ変わりか?」
キースは目を丸くしている。
「ん? 俺は誰の生まれ変わりかなんてか知らない。記憶もない」
「そっくりなんだよ。優秀でなんでもできて、見た目もそっくりなんだ。なんで俺気づかなかったんだろう。ルーファス義兄上、あの時は魅了の魔法にかかっていたとはいえ、取り返しのつかないことをしてしまい申し訳ありませんでした」
「いやいや、だから違うって」
キースは否定するが間違いないだろう。俺は自分で勝手にキースが義兄上だと決めた。
「話を戻すけど、その時の神様がさ、カナリアが心を残しているから、転生させてやると言ったんだ。カナリアも同じくらいの年で生まれ変わらせると。だからアマーリアかと思っている」
ロルフが腕組みをし首を傾げる。
「リオの話が本当だとすれば、アマーリアかもしれないな。でも違うかもしれない。だから嫁探しの旅に出たいと言ったわけか」
キースは眉根を寄せた。
「それで、カナリアの生まれ変わりに会ってどうする? もし記憶があれば、お前を拒否するかもしれないぞ」
「謝る。とにかく謝る。今世では幸せになってほしいんだ。俺と結婚してくれるなら、どんなことをしても幸せにする。他に好きな男がいて、そいつと幸せにしているなら、その幸せが壊れないように外から守るつもりだ」
俺は拳を握りしめながら語った。
「力説中だけど、王様が呼んでるよ。3人とも早く。次の討伐の話みたいだ。前世もいいけど、今世の方が大事だと思うよ」
突然移動魔法で現れたツェツィーに呆れたような目で見られた俺達は一瞬固まった。
次の討伐か。
その前にアマーリアに会いに行かねば。
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