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日本全国鐵輪巡礼 ~駅夫と羅針の珍道中~  作者: 劉白雨
第玖話 羽咋駅 (石川県)
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玖之伍


 宇宙科学博物館の展示室をたっぷり堪能した旅寝駅夫と星路羅針は、1階の土産物屋さんを見て廻った。

 2、3歳の小さな女の子が泣いていたが、お兄ちゃんらしき男の子がそれを宥めていた。どうやら、宇宙人の玩具が怖かったのだろ、お兄ちゃんが頻りに「怖くないよ」と言って頭を撫でている姿は、微笑ましかった。

 店内には、定番のお菓子の詰め合わせや、キーホルダーやTシャツなどの他に、確かに小さな女の子にはトラウマになりそうな宇宙人を模したマスクや玩具などもあって、他の土産物屋では見られないラインナップに、小さな女の子には恐怖の場所でも、二人にとっては見ているだけで楽しかった。

 結局二人は荷物にならない宇宙人のキーホルダーを購入して、早速バッグにつけ、竹生島で買った〔弁天様の幸せ願いダルマ〕の分身の隣に、ぶら下げた。

「岡目八目の分身と宇宙人って、なかなかにシュールだな。」

 駅夫が、取り付けたキーホルダーを見て呟いた。

「だな。神様にも、宇宙人にもこの旅を見守って貰ってると思えば良いんじゃね。」

 羅針はそう言って笑う。

「神様と宇宙人が見守ってくれるような旅か?俺たちの旅って。」

 駅夫が自虐的に言う。

「まあ、おっさんの二人旅、誰も興味はないはな。」

 羅針もその自虐に乗る。

「でも、俺のブログを見てくれる人がいるから、誰もってことはないぞ。」

 駅夫がそう言って、ハシゴを外す。

「おい、いきなり裏切りかよ。」

 羅針の言葉に、二人は笑った。


 宇宙科学博物館を堪能した二人は、昼をどうするかという話になった。

「羽咋市といったら何があるんだ。」

 駅夫が羽咋市の郷土料理について聞く。

「日本海の海の幸を使った料理だろうな、それこそ喉黒とか、いしる煮、あいまぜって料理が有名らしいけど、昨日宿で食べたからな。そうそう、UFO料理ってのもあるぞ。」

 羅針がそう言う。

「UFOはもう良いよ。見た目をUFOにしたとか、そういう類いだろ。UFOはもう充分堪能したから、観光客向けの映え料理じゃなくて、どうせなら、地元で流行ってる店とかに行きたいな。中華とか、洋食とかでも良いぜ。」

 駅夫が妥協案を示す。

「羽咋だけじゃなくて、石川県を含めるなら、野球選手の背番号にちなんだカレー屋とか、国道にちなんだラーメン屋とか、有名なのはそんなところかな。ただ、カレー屋の方は都内にもあるから、いつでもいけるけど、ラーメン屋はこの辺りにしか店舗展開してないから、行くならラーメン屋の方かな。他には、地元の寿司屋とか小料理店、居酒屋ぐらいだろうな、それこそUFOにちなんだ料理だけどね。」

 羅針がネットを見ながら言う。

「だから、UFO料理はもう良いって。そのラーメン屋行こうぜ。ご当地ラーメンって言うのもたまには良いじゃん。」

 駅夫はラーメン屋を選択したので、羅針は、近くにある店舗を検索する。

「ここから歩いて30分ぐらいだな。レンタカーの予約が午後一番だから、ちょっとマズいな。タクシー使うか。」

 羅針が顔を曇らせて言う。

「ああ、構わないよ。レンタカー屋さんに迷惑掛けるわけにはいかないだろ。人気店なら、昼に掛かったら余計時間掛かるだろうし。」

「だな。じゃタクシー呼ぶぞ。」

 羅針は、そう言ってネットで検索したタクシー会社に電話して、タクシーを呼んだ。


 5分程で現れたタクシーに、件のラーメン屋へお願いする。

「運転手さん、このラーメン屋のお勧めってありますか。」

 駅夫が女性運転手さんにお勧めを尋ねた。

「ほうやねぇ。期間限定のラーメンがお勧めやわ。今んとこ、確か麻辣ラーメンちゅう激辛ラーメンをやってますね。定番やと、うちは野菜ラーメンをよぉ頂きますけど、男の人やったら、チャーシュー麺がお勧めかも知れんねぇ。」

 少し方言のまざった話し方で教えてくれた。

羅針がネットで、メニューを見ていたが、四川赤花椒とぶどう山椒のダブル山椒が利いたスパイスで野菜の旨味を引き立てたスープになっているという、麻辣ラーメンが紹介されていた。

「麻辣っていうのは、麻は痺れ、辣は辛い、つまりピリピリする辛さってことなんだよ。中国では定番の辛味だね。」

 羅針が、メニューを見ながら駅夫に教える。

「辛いのも良いけど、やっぱり俺は定番のにしようかな。」

 駅夫はどうやら、辛くないものを選択するようだ。


 タクシーは裏道から、子浦川しおがわを渡り、住宅街を抜けていく。所々震災の爪痕があり、修繕作業をしているところもあれば、応急処置をしたままの所も散見された。

 跨線橋で七尾線を越えると、後ろには宝達丘陵の山々が顔を出し、一瞬だったが羽咋の街並みを見渡すことが出来た。

 跨線橋は線路を越えた先のレベルが一緒で、線路を越えた後下がることはなかった。そのまま、昨日歩いた市役所前を通り、国道に出ると、昨日はまっすぐ行ったが、今日はそこを左折する。

 国道は昼前のせいなのか、少し混み始めているようで、交通量はそれなりにあった。


 タクシー運転手との世間話をしていたら、10分足らずの乗車で、あっという間にラーメン屋に到着し、料金を支払い、お礼を言って下車した。店は広い駐車場を備えた平屋のロード店で、チェーン店らしく期間限定麻辣ラーメンの幟が何本か立っていた。

 店内に入ると、ラーメン屋らしい香りが鼻をつき、食欲をそそる。カウンターに対席、そして小上がりもある席には、昼前だというのに既に何組か来店し、半分近くが埋まっていた。


 二人は空いている対席に着くと、羅針は麻辣ラーメンを、駅夫はタクシー運転手に勧められた、野菜入りのチャーシュー麺を頼んだ。チャーシュー麺は、味噌、塩、醤油から味が選べ、駅夫は醤油を選んだ。餃子もそれぞれ一枚ずつと、チャーハンも頼んだ。


「やっぱり人気なんだな。昼前なのにこれだけ人がいるんだから。」

 駅夫が声をひそめて言う。

「ああ、北陸一帯に展開してるだけじゃなくて、香港、ベトナム、タイにも展開してるみたいだからな。タイの店舗数は日本よりも多いらしいぞ。」

 羅針がネットでさっき知った情報を教える。

「マジか。」

「ああ、タイで定番メニューのトムヤムクンラーメンていうのを、以前期間限定で日本でも販売したみたいだよ。」

「マジで、それは食べたかったな。あのすっぱ辛い味ってクセになるんだよな。」

「確かに、あれは美味いよな。」


 そんな話をしていたら、二人の前にラーメンとチャーハンが届いた。

 羅針の前に置かれたのは、真っ赤なスープにキャベツとひき肉が載ったラーメンだった。羅針はまず、熱々の湯気が立ったスープを、火傷に注意し息を吹きかけて一口啜る。

「結構痺れが来るけど、これは美味いね。旨味がしっかりあるし、四川で食べた麻婆豆腐よりはまだマシだけど、充分辛味があって美味いよ。」

 羅針はそう言って、続けてもわっと湯気が上がる麺を一気に啜った。

「麺も美味いね。細麺だからスープがちゃんと絡んで、しっかり辛味を感じられるのは良いね。これは美味いよ。」


 駅夫の前に置かれたのは、チャーシューがどんぶり一面に載ったラーメンだった。駅夫もまずはレンゲで湯気の立つスープを掬い、火傷に注意し息を吹きかけて一口啜る。

「このスープは美味いね。オーソドックスなんだけど、クセになるというか、飽きが来ない味だね。」

 そう言って駅夫は、続けて麺を啜った。熱いのか途中で休憩を1回入れた。

「確かに麺も良いね。太麺だから、ガツンとくるし、スープの絡みも悪くない。確かに、これは美味いね。」


 二人は、チャーハンを()()()にラーメンを食べ進めていると、暫くして餃子が運ばれてきた。

「この餃子も美味いな。野菜がたっぷりなのがこの店の売りなんだろうな。ラーメンだけでなく、餃子にもたっぷり野菜が入ってるってのも嬉しいな。」

 羅針が餃子を一つ食べるとそんな感想を漏らす。

「確かに、餃子にこのシャキシャキ感は良いね。」

 駅夫も美味そうに餃子を頬張っている。


 二人ともツユまで飲み干し、ペロリと完食してしまった。

「美味かったな。この味なら人気出るのも分かる。野菜がたっぷりなのも良かったし。」

 駅夫が、額に浮き出た汗をハンカチで拭いて、水を飲みながら、呟く。

「ああ、確かにな。北陸のソウルフードって言われてるらしいけど、納得だよ。」

 羅針も、すっかり暑くなった身体から吹き出る汗を拭きながら、水を飲んで応えた。


 会計を済ませ、ごちそうさまを言って出てきた二人は、次にレンタカー屋へと向かう。レンタカー屋までは腹ごなしに歩いて15分程だ。

 国道を戻り、市役所を横目に見ながら曲がり、住宅街の細い路地へと足を踏み入れる。ナビアプリは、まるで迷路のような狭い道へと案内してくる。人と人がすれ違うのも困難な道が続き、二人は次第に「本当にここで合っているのか?」という不安を抱き始めた。

 駅夫はちらりと羅針を見て、「こんな所にレンタカー屋さんがあるのかよ」と少し不安そうな顔で呟くが、羅針も「あるよ」とは応えつつも周りを見渡す。窓の閉まった古い家々が続き、昼間だというのに人の気配は感じられない。羅針の心の中では同じ疑問が膨らんでいた。


 路地を抜けたところでようやくパセオ通りという商店街に出るが、その商店街もまた、どこか昔の賑わいを失っているように見えた。商店街の活性化のために、道路整備を進め、名称も決めたようだが、どこか空回りしてしまった感が否めない、まるで時代の流れに呑み込まれてしまったようだった。


 目的のレンタカー屋さんは、そんな商店街の一角にあった。

「ちょっとまて、レンタカー屋ってもしかして、バイクか何かか。」

 駅夫が店舗を見て驚いている。店の外から見える店内にはバイクが数台置かれ、その隣には見慣れない幌付きの三輪車が停まっていた。

「ああ、今日借りるのはトゥクトゥクだよ。」

 羅針が笑いを堪えてネタばらしをする。

「レンタカーって言うからてっきり自動車を借りるもんだと思ってたら、トゥクトゥクかよ。」

「そっ、いわゆる三輪バイクだな。タイで流行ってるラーメン屋の次は、タイでおなじみの三輪バイクって訳だ。」

 羅針が、ドッキリ成功に我慢出来ず、声を出して笑い出した。

「マジか。これ、運転出来るのか。」

普免ふつめんでいけるらしいよ。」

「マジで。」

「とにかく手続きして、乗ってみようぜ。俺も初めてで楽しみだったんだからさ。」

「お、おう。」

「で、その前に、アルコールチェッカー。」

 羅針が秘密道具でも出すみたいに宣言して、バッグから小型の吹きかけ式アルコールチェッカーを取り出した。

「お前、ホントにそれ持ってたのか。」

 駅夫が呆れたように言う。

「当たり前だろ。酒を飲んでなくても、食事によってはアルコールが体内で発生することもあるから、車に乗る前は必ずチェックしなきゃ。事故りたくないだろ。」

「まあ、そりゃそうだけど。」

 そう言って、羅針は半ば強引に駅夫と自分のアルコールをチェックした。


「よし、問題なし。」

 羅針が表示された数字を見て太鼓判を押す。

「そりゃそうだ。」

「たとえ大丈夫だと分かっていても、万が一があるからな。こうやって、大丈夫って言うお墨付きがあると安心だろ。」

「まあそうだけど。」

「さあ、安心したところで、早速中に入ろうぜ。ホント楽しみにしてたんだから。」

 そんなことを言って羅針はドアを開けて店内へと入っていく。駅夫は呆れたように、その後を付いていった。


 予約した者であることを伝えると、店員はすぐに手続きをしてくれた。注意事項や保険の説明、万が一のことが起こった時の対処などについて丁寧に教えてくれた。

 最後に、トゥクトゥクの乗り方を教えてくれると、いよいよ自分たちで運転だ。

「お気をつけて行ってらっしゃい。」

 店員さんの言葉に見送られ、二人は早速走り出す。最初の運転手は、じゃんけんで勝った羅針だ。


 トゥクトゥクの運転は基本的に原付バイクと変わらないが、三輪であるため、操作系統が原付と異なる部分がある。サイドブレーキ、リバース、三人乗り、そして2点式のシートベルトが付いているのが主に異なる点だ。いうなれば、バイクと自動車のハイブリッドといったところか。

 更に、このトゥクトゥクは電動式であるため、走行音が非常に静かなのもありがたい。ドアも何もない剥き出しの車内は、走行音が煩いと会話にもならないだろうが、そんな心配も要らないのだ。


「運転感覚はどうだ。」

 駅夫が後ろから聞いてくる。

「ああ、なんか妙な違和感があるけど、めっちゃ楽しい。」

 羅針は無邪気に声を弾ませて応える。

「安全運転だけは頼むぞ。」

「もちろん。」

「で、これからどこへ向かうんだ。」

「海岸だよ。」

「海岸?海に行くのか。折角なら、どっかドライブした方が良いんじゃないのか。」

「だから行くんだよ。」

「何だそれ。」

「自動車で走れる砂浜があるんだよ。」

「マジか。砂の上を走るっていうのか。こんな非力な車じゃすぐスタックするぞ。」

「それが大丈夫なんだな。砂の粒子が細かいらしくて、水を含むと固くなって、どんな車でも問題なく走れるんだって。」

「へぇ。そりゃすげぇな。」


 そんな会話をしながら、細い路地を抜けると、海岸に出てきた。右手には千里浜ちりはま海水浴場とあり海の家が立ち並んでいたが、そこからドライブウェイが始まり、道路のように自動車やバイクが普通に走っていた。しかし、そこはどう見ても普通の砂浜である。


「ここは、千里浜ドライブウェイっていって、30年ぐらい前に観光バスの運転手が、試しに走ったのが初めてなんだって。それから観光客が押し寄せるようになって、今や完全に道路と化したってことらしいよ。」

 羅針がネットで仕入れた情報を教える。

「へぇ。何でも最初はあるもんだけど、最初が分かっているっていうのも珍しいな。でも、その運転手勇気あるよな。」

 駅夫が感心したように言う。

「勇気っていうか、無謀っていうか。走れたから良いようなものの、スタックしたらどうしたんだろうなとは思うけどな。」

 羅針はその運転手に感心はするものの、その無謀さに疑問を持った。

「まあ30年も前だから出来たことなんじゃねぇの。今、そんなことやったら、ネットで袋叩きだろうし。」

 駅夫が正論を言う。

「まぁそうか。確かに当時だったらありだったのかもな。まあ、その無謀さのお陰で、こうして俺たちが楽しめるんだから、感謝しかないけどな。」

 駅夫の言葉に羅針も納得し、見ず知らずの運転手に感謝する。


 右手に海を見ながら、歩行者に注意しながら、最高速度ギリギリまでスピードを上げて、走り抜けていく。遮るものは正面のフロントガラスだけで、横からは風が入ってくるが、時速40㎞で受ける風は、逆に心地よく身体を包み込んでくれる。

「これは最高だな。風が気持ち良い。」

 駅夫が後ろで声を上げる。

「ああ、これは最高だよ。潮風を感じながら砂浜を走るって、こんなに気持ちいいもんだとは思わなかったよ。」

 羅針も同意する。

「まるでトロッコ列車に乗ってるみたいで、風は感じるけど、バイクみたいに直接吹きつけるわけじゃないっていうのも良いな。」

「確かにな。前がガードされてるっていうのは、案外良いもんだな。」

「だよな。開放感がありつつも、しっかりガードされてるって感じが、安心感あるし。」


 そんなことを言いながら砂浜を走っていたが、羅針が途中で波打ち際に寄って停止した。

「どうした。」

 駅夫が、何かトラブルでも起こったかと、心配そうに聞く。

「この辺で写真撮らないか。海をバックに撮ったら最高じゃね。」

 羅針が提案する。

「なんだ、写真かよ。良いよ撮ろうぜ。」

 羅針の提案に駅夫も同意して、暫く撮影タイムとする。

 海をバックに、青いトゥクトゥクの車体が映え、車体だけを撮ったり、それぞれ車体と一緒に撮ったり、二人入って撮ったりと、様々なアングルで、まるでモデル撮影のように写真を撮りまくった。


 写真撮影に満足した二人は、再びトゥクトゥクで走り出した。気持ちの良い時間はあっという間で、全長約8㎞のドライブウェイはすぐに終わってしまった。


 今度は、運転手を交代し、駅夫の運転で復路を走る。

「どうよ。」

 羅針が運転感覚を駅夫に聞く。

「確かに、自動車のような感覚で乗るとバイクだし、バイクのような感覚で乗ると自動車だし、ちょっと違和感あるな。」

 駅夫がハンドルを握りながら、スピードを落として慣らし運転をしている。

「だろ、でもすぐに慣れるよ。」

 羅針がそう言っているそばから、駅夫が徐々にスピードを上げ始めた。

「確かにもう慣れた。」

 そう言って駅夫は笑っていたが、目は真剣そのもので、おっかなびっくりなのがヒシヒシと伝わってくる。

「まあ、真っ直ぐな道だし、歩行者だけ気をつけてな。」

「了解。」

 そう言って駅夫はほどほどのスピードでゆっくり走って行く。


 羅針は駅夫の肩越しに動画を撮影する。更に手を伸ばしてローポジションからの撮影も試みる。

 そんなことをしながら、走っていると、やはりあっという間に最初の地点に戻ってきた。


「どうする、もう1往復するか。」

 羅針が駅夫に聞く。

「時間は大丈夫なのか。」

「ああ、この後はUFOのまちの立役者でもある、気多けた大社に行くだけだから。」

 羅針が次に向かう場所を告げると、

「なにそれ、そんな神社があるのかよ。」

 駅夫が驚いたように言う。

「ああ、といっても、単にその神社に伝わる古文書の内容がUFOの話だっていうだけで、別にUFOが飛来したとか、そんな話じゃないからな。」

 羅針が釘を刺すように言う。

「ってことは、見た目は普通の神社って事か。」

 駅夫ががっかりしたように言う。

「まぁ、そういうことになるな。」

 羅針は追い打ちを掛けるように言った。

「よし、じゃ、もう1往復しようぜ。」

 駅夫が切り替えも早く、そう言うと、Uターンして、再びドライブウェイを走り出した。

「まったく。」

 羅針は、スピードが上がり強まる風を身体に受けながら、後部座席で苦笑いした。



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