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日本全国鐵輪巡礼 ~駅夫と羅針の珍道中~  作者: 劉白雨
第拾弐話 静和駅 (栃木県)
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拾弐之伍


 静和駅に到着した旅寝駅夫と星路羅針、平櫻佳音の三人は、ホームで記念撮影をしたり、各々動画や写真を撮ったりしていた。


 ホームはかなり年季の入った造りになっていて、屋根を支える柱には古いレールが流用され、色褪せた黄色のベンチもFRP(繊維強化プラスチック)製で昔懐かしい形状をしていた。

 待合室もあるが、プレハブのような簡素な造りで、壁面に板が張られ、アルミの引き戸が時代を感じさせる。最低限の板張りベンチが設置されてはいるが、エアコンは見当たらず、風を凌げはするが、暑さ寒さは凌げそうにはなさそうだ。


 典型的なローカル駅の風景が広がっていて、一日平均乗降客数が千人強というのも頷ける。列車がいなくなると、途端に人工的な音がなくなり、風に揺らめく木々の音、鳥の囀りが耳に届くだけである。

 そんな静かなホームに、三人の足音とシャッター音だけが響いていた。


「駅夫、向こうにホームの跡があるだろ、あれは貨物取扱いの名残らしくて、今時珍しいブロック作りなんだよ。ああいうのをブログに載せておくと、その手のマニアに響くかも知れないぞ。」

 羅針が下り線を挟んだ先にある、ホーム跡を指して言う。

「へぇ、確かに今はあまり見ない形状だな。ホーム面も低いし。ああいうのが良いのか。」

 羅針の言葉を聞き入れ、駅夫は撮影の被写体を、草に覆われた古くさいホームに定めた。

「そうだな。ホームと下り線の間にスペースがあるだろ、元々あそこに引込み線があったんだよ。丁度あのスペースを画角に入れると、最高だぜ。」

「なるほど。で、そこに列車が止まって荷物の積み卸しをしていたのか。」

「そういうこと。」


「それにしても、どうして鉄道の貨物輸送って廃れたんでしょうね。」二人の話を傍で聞いていた平櫻が口を挟んだ。「どこに行っても貨物設備は使われなくなっていて、ここのように遺構があればまだ良い方で、跡形もなくなってる場所も多いじゃないですか。」

 そう言って、平櫻もホームの遺構を動画に収めていた。

「そうですね。いくつか理由はあると思いますが、トラック輸送に追い遣られたと言うのが主な理由ですよね。でも、本当の理由は、荷物のスピード輸送が求められたからというのが、一番大きいのではないかなと、私は思います。」

 平櫻の疑問に、羅針が答える。

「でも、輸送スピードで言うならトラックよりも鉄道の方が早いし、大量に送れますよね。」

 平櫻が更に疑問を呈する。

「確かにスピードや輸送量で言えば圧倒的に鉄道の方が有利ですよね。でも、トラックはドア・ツー・ドアが出来るんですよ。つまり荷主から顧客へ直接搬入出来るわけです。

 その点で言えば鉄道は不利ですよね。荷主は一旦貨物駅に荷物を搬入し、輸送後に顧客も最寄りの貨物駅まで取りに行かなければならない。どうせ駅にトラックで向かうなら、直接荷主のところに取りに行った方が早いという訳です。」

「なるほど。確かにその通りですね。だから、トラック輸送がここまで発達してきたという訳ですね。」

 平櫻は羅針の説明に納得したようだ。


「その通りです。ただ、そういうのはこれまでの話です。」そう言って、羅針は説明を続けた。「今までは、トラック輸送が人海戦術で日本の津々浦々まで輸送出来る強みを活かしてきました。ところが、昨今の労働時間短縮、長距離輸送時の休憩問題、そして低賃金による人手不足、更に燃料高騰と、トラック輸送には問題が山積になっていて、鉄道貨物が見直されてきています。」

「確かに、最近は高速道路のサービスエリアで、違法駐車しているトラックが問題になってたりしますよね。駐車場自体が少なかったりって聞きますから、インフラのキャパシティを大幅にオーバーしているんでしょうね。トラック輸送は限界と言うことなんでしょうか。」

 平櫻は自分なりに考察してみた。


「そうですね。だからこそ、今余裕のある鉄道に再度シフトしているって言えるのかも知れません。もちろん、過去の様な取扱量には遠く及ばないでしょうが、短距離をトラック、長距離を鉄道と棲み分けをしている運送会社も現れました。特に資金力のある大手運送会社は、貨物列車を貸し切って、大量輸送をおこなっているようです。

 例えば100トンの荷物を運ぶ場合、10トントラックでは10台に分ける必要があるため、運転手は10人必要になりますが、鉄道では100トンをそのまま1編成で運ぶことが出来、尚且つ運転手は一人で済みます。人件費で考えたら10分の1に抑えられる上、時間も正確となったら、コスト的には鉄道の方が良いですよね。」

 羅針は具体的な説明を加えた。


「でも、問題は荷物の受け渡しが駅でしかできないってことですよね。その点はトラックの方にがあるような気がしますが。」

 平櫻が更に質問する。

「そうですね。その問題は大きいですね。

 ただ、現在どこの運送会社も大型トラックで長距離輸送をして、物流センターで小型トラックに積み替えて個別配送をしてますよね。

 この物流センターの搬出入方法を鉄道にシフトすれば、この問題は解決すると思うんです。今ある物流センターの長距離搬出入口に貨物線を引き込むだけで、大型トラックが担っていた長距離輸送が鉄道にシフト出来るんです。

 昔は大きな工場が独自の貨物引込み線を持っていましたよね。あのようにすれば、実現出来ると思うんですよ。まあ、設備投資にお金が掛かるので、なかなか踏み出せないとは思いますが、人手不足、コストカットの波には逆らえず、いずれそうせざるを得なくなる時代が来てしまう気はしています。」

 羅針が最後は持論を展開した。

「確かにそうかも知れません。鉄道とトラック輸送の融合をしないと、運輸業はいずれ立ち行かなくなるかも知れませんもんね。

 鉄道好きの一人として、鉄道がどんな形であれ利用されていくのは嬉しいですから、もっと鉄道にも頑張って欲しいです。」

 平櫻は羅針の持論に納得し、そんなことを言う。

「そうですね。鉄道業界も色々と問題ありますが、健全な形で盛り上がってくれると、ファンとしては嬉しい限りですよね。」

 羅針もそう言って、鉄道貨物、延いては鉄道業界の未来に希望を託した。


「おいおい、二人して何難しい話をしてるんだよ。それよりも、この後どうするんだ。観光するのか、ホテルへ行くのか、そんな何十年も未来の話より、数分後の未来の話をしようぜ。」

 傍で二人の話を聞いていた駅夫が、話について行けず、とうとう焦れて口を挟んできた。

「分かった、分かった。このあとは、ひとまず駅周辺を散策して、ホテルに向かうから。」

 羅針が宥めるように言う。

「了解。それなら良いんだけど。」

 予定を知らないのは駅夫だけなので、不安だったのだろう。不満げな表情が少し和らいだ。


 三人は、それぞれの撮影に満足したので、地下道を通って駅舎へと向かう。

 駅夫と羅針にとって、構内踏切でもなく、跨線橋でもなく、地下道を通るというのは戦争を想起させた。なぜなら、二人は、福岡の太刀洗たちあらい駅で見た地下道が、防空壕の役割を果たしていたというのを思い出していたからだ。

「なあ、ここも防空壕の役割なのかな。」

 駅夫が羅針に聞く。

「さあ、どうだろうな。近隣に軍事施設があったとか、巨大な軍需工場があったとかなら、その可能性もあるだろうけど、そんな話は聞かないから違うんじゃないか。でも、この駅が出来たのが昭和の初めだから、当時の駅が安全のためにこういう構造にしたとも考えられるし。でも、空襲が酷かったのは戦争末期だから、空襲を想定して造られたとも思えないし、何とも言えないな。」

 羅針がそう答える。


「なぜ、地下道が防空壕なんですか。確かに構造としては防空壕にもなり得ますが。」

 太刀洗駅の話を知らない平櫻が二人に質問してきた。

「当時の鉄道は空爆に晒されることが多かったらしくて、安全のために地下道を造ってたんだって。避難所としての防空壕代わりにもなるからね。」

 駅夫が得意げに答える。

「私たちも最近知った話なんですが、福岡の太刀洗駅に地下道の遺構が残っていて、防空壕代わりに使っていたそうなんです。太刀洗駅の近くには軍事飛行場があって、空爆される恐れがあるからっとことらしいです。駅に隣接している博物館の館長さんからそんな話を聞いたんですよ。」

 羅針が追加説明をするように、駅夫のドヤ顔の裏を話す。

「なんだよ、バラすなよ。」

 駅夫が不満げに羅針を詰る。

「あっ、わりぃ。」

 羅針が、自分が自覚なしに駅夫の裏話をバラしたことに気付き、素直に謝る。

「まあ、良いけどさ。」

 駅夫は子供のように拗ねた。

 そんな二人を見ていた平櫻は、またやってると微笑ましげな表情をした。


 地下道を抜けた先には、年季の入った自動改札口と、木造の駅舎があった。ローカル駅とはいえ、無人ではなく、駅員室には人の気配もあった。

 改札を抜け、開け放たれたアルミの引き戸から駅舎の外に出ると、三人は再び記念写真や動画などを撮影した。

 三人が撮影している駅舎は、煙突が突き出た茶色の瓦屋根が目を引く木造の建物で、入り口脇にはジュースの自販機と照明写真機が設置されていた。

 典型的なローカル駅の様相に、三人ともテンションが上がって、写真や動画を撮りまくっていた。

 羅針に至っては、駅夫をモデルにした写真も何枚か撮影していた。


「そろそろ、次の目的地に行きませんか。もし、まだ撮影することがあれば、待ちますけど。」

 羅針が時間を見ながら、動画を撮っていた平櫻に声を掛けた。

「はい。ちょっとこれだけ撮影させてください。」平櫻は最後に、何の変哲もない駅舎内の天井部分を撮影した後、「……お待たせしました。では、行きましょうか。」と言って、動画撮影を終了させた。


 三人は静和駅を後にし、町の散策を始めた。

「で、羅針この後どこへ行くんだ。」

 駅夫が聞く。

「富士山だよ。」

 羅針が真剣な表情を作って答える。

 駅夫は後ろを歩く平櫻を振り返ると、彼女も笑顔で大きく頷いている。

「二人して俺をからかってるだろ。」

 駅夫は二人が何かを企んでいると思ったのか、問い詰めようとする。

「からかってないよ。富士山に行くことは確かなんだから。」

 羅針は笑いを堪えようとしているのか、肩を震わせている。

「じゃ、これから登山するのか。それなら、念入りに準備しなきゃ駄目じゃん。」

 駅夫は、岡山の香登かがと熊山くまやまに登った時のように、念入りに準備しないのかと指摘した。

「そうだね。下準備は大事だよね。じゃ、深呼吸しようか。」

 羅針がからかうように言って、歩きながら大きく深呼吸をする。

「すー……はー……って、そういう準備じゃなくて。絶対何か企んでるだろ。ねぇ、平櫻さん教えてよ。」

 駅夫は言われた通りやってみたものの、羅針では埒が明かないと踏んだのか、平櫻に矛先を変える。

「冗談抜きで富士山に行くんですよ。富士登山楽しみにしてたんですから。」

 そう言って、平櫻は笑顔で応える。

「その笑顔が怖いんだよな。……分かったよ。覚悟を決めた。そのミステリーツアーに乗ってやる。……野となれ山となれだ、煮るなり焼くなり好きにしろ。」そう言って駅夫はブツブツと一人考察モードに入った。「……にしても富士山って、なんかの店か、……あるいは栃木富士とか、……でも栃木富士って聞いたことないし、……富士山と名が付くものとか、……あるいは富士塚とか、……ああ、考えても分かんねぇ。」

 駅夫は一人頭を掻き毟っている。

 それを見た羅針と平櫻は堪えきれずに、声を上げて笑った。


 静和駅から延びる県道130号をひたすら西に向かって歩いてきた三人は、そんな話をしながら、県道160号を右に曲がった。住宅街の中にポツポツとシャッターが降りた、かつては賑わっていたと思われる商店のある通りを、三人はひたすら歩いた。

 旧国道50号である県道36号を左に曲がり、和泉いずみの交差点を更に左に曲がって県道11号を歩く。

 その間も、駅夫はひたすら、ブツブツと一人考察を重ね、それを後ろで見ていた平櫻は笑いを堪えるのに必死で、時折吹き出してしまっていた。羅針はそんな二人の様子を背中に感じながら、スマホの地図を頼りに富士山を目指す。

 このあたりから、表通りを外れ、住宅街の細い路地へと入っていく。


 やがて遠くに小高い山が見えてきた。

「まさかと思うけど、あれが富士山か。」

 高さも形も、富士山とは似ても似つかない山に、駅夫がパッと顔を明るくして、羅針に聞く。

「当たり。」

 羅針がそう言って手を叩いている。平櫻も合わせて手を叩いた。

「何が当たり~だよ。色々考えちまったじゃねぇか。ったく。あんな小さな山だとは思いもしなかったよ。って平櫻さんまで。もう。」

 そう言って駅夫は羅針を詰り、手を叩いて喜んでいる平櫻を咎める。

 羅針はそんな駅夫を見て声を上げて笑い、平櫻は、申し訳なさそうにしながらも笑顔だった。

「お客様ぁ~、ミステリーツアーはお楽しみ頂けてますでしょうかぁ~。」

 羅針がおどけて、更に駅夫をからかう。

「ああ、楽しんでるよ!」

 駅夫は、怒り声で応え、やられたとばかりに悔しそうな顔をしている。

「お客様、目的地はもう間もなくでございます。お足元にお気を付けて、お歩きください。」

 羅針は、笑いながら慇懃無礼に言う。

「分かった。分かったよ。ったく。お前がそういう口調になる時は、してやったりの時だからな。完敗だよ。」

 駅夫は悔しそうに両手を挙げる。

「なんだよ。もう少し楽しませてくれよ。」

 羅針はそう言って、駅夫をからかうのを止める。

「充分楽しんだだろ。ったく。」

 駅夫はそう言って、羅針を詰るも、顔には悔しそうな苦笑いが浮かんでいた。


 三人が、小山を迂回するように細い農道を歩いて行くと、羅針が空き地の手前で歩みを止めた。

「どうした。」

 駅夫が聞く。

「ここだよ。」

 羅針が応える。

「奥に鳥居がありますね。」

 平櫻が、草の生えた空き地の奥にひっそりと建つ鳥居を手で指した。


 草を踏み分けて三人は空き地の中を鳥居まで進むと、鳥居の神額には〔浅間神社〕とあり、鳥居の脇には〔村社 浅間神社〕と彫られた石柱が立っていた。

「これは、〔あさまじんじゃ〕と〔せんげんじんじゃ〕、どっちで読むんだ。」

 駅夫が羅針に聞く。

「一応、ネットの情報だと〔あさま〕と読むみたいだな。」

 羅針が答える。

「浅間神社って富士山信仰の神社ですよね。」

 平櫻が確認するように聞く。

「そうですね。では、ここでクイズを一つ。」

 羅針が思い立ったようにクイズを出した。

「久々だな。最近クイズなかったからな。今回は当てるぞ。」駅夫が勢い込むが、平櫻はキョトンとした顔をしている。その平櫻の表情を見て、「こいつは、時々クイズを出すんだよ。結構難しいから、平櫻さんも挑戦してみて。」と駅夫は説明する。

「そうなんですね。分かりました、挑戦してみます。」

 平櫻もクイズに挑戦する気になったようだ。


「では、改めて。富士山は、静岡県と山梨県の県境に聳える山であることは二人とも知っていると思いますが、では問題です。富士山の山頂は何県でしょうか。」

 羅針が二人に向けてクイズを出した。

「そんなの簡単じゃん。両方の県に跨がってるんだよ。だから、静岡県と山梨県……、ってちょっと待てよ、お前のことだから、引っかけか。……だとすると、山頂の一番てっぺんが僅かにずれていて、静岡か山梨のどちらかに寄ってる可能性があるって事だよな。……決めた。静岡県だ。」

 駅夫は散々悩んで、結局静岡県に決めた。

「それは、私聞いたことあります。確か、八合目より上は浅間神社の私有地なので、県境が定められていないんですよ。これは自信があります。」

 平櫻は自信満々に答えた。

「ファイナルアンサー?」と羅針が聞き、二人が頷いたのを確認し、「答えは……、平櫻さんが正解。」

 羅針は少し溜めてから、正解者を発表し、平櫻に向かって手を叩く。

「なんだよそれ。県境が定められていないって。そんなのありかよ。それって、どこの県でもないって事なのか。……じゃ、税金とか、色々どうしてるんだよ。」

 駅夫が不満げにブツクサ言いながら、ふと疑問が湧く。


「元々、富士山の噴火を鎮めるために浅間神社せんげんじんじゃって出来たんだけど、徳川家康が八合目から上をこの浅間神社に寄進したのが始まりで、明治になって県境を定める時に、静岡と山梨で揉めに揉めて、結局決まらず、富士山が世界遺産になった時、結局富士山の山頂に県境は定めないってなったらしいんだよ。」

 羅針が簡単に解説をする。


「へぇ、じゃついこないだまで揉めてたんじゃん。全然知らなかった。そうそう、税金はどうなってるんだよ。いくら県境の定めがないって言ったって、税金は取られるだろうよ。静岡に払うのか、山梨に払うのか、地方税とか、国税局の管轄とかあるだろ。どこに払ってるんだ。」

 駅夫は、県境についてはなかば納得したが、税金の支払いから、県境について納得しようと、更に突っ込んで羅針に聞く。

「流石にそこまで詳しいことは良く分からないけど、まず宗教法人だから基本無税だよな。固定資産税と法人税、消費税といったものは免除されているはずだよ。」

 羅針が答える。

「でも、所得税とかは取られるだろ、それに神職の給与?についても所得税掛かるだろ。ああいうのはどこに支払ってるんだよ。管轄の国税局があるだろ。」

 駅夫はまだ納得がいかないようだ。

「確かに、宗教活動以外の収益については所得税が掛かるし、所得税の管轄は国税局だからな。実際にどうなってるかは俺も分からないけど、一応浅間神社の本宮が静岡県側にあるから、山頂の収入はそこと合算されるてるんじゃないかな。もちろん神職もそこに所属していることになるだろうから、源泉徴収も静岡でされてるんじゃないか。そこは流石に推測でしかないけど、おそらく当たらずといえども遠からずじゃないかな。」

 羅針は駅夫の疑問に推測で答える。

「そうか。そういうことか。じゃ、県境は定まってないけど、税金の管轄は静岡ってことになるんだな。それなら納得だな。」

 駅夫は漸く疑問が解消されたようだ。

「あくまでも、俺の推測だからな。」

 羅針が念を押す。


「税金の事までは、知りませんでした。そんなことになってるんですね。」

 平櫻も話を聞きながら、興味津々で感心したような表情をしていた。

「あくまでも、所得税に関しては私の推測ですからね。実際にどうしているかは分からないですよ。もしかしたら折半してたり、山梨側が管轄なんてことも充分有り得ますからね。」

 羅針は再度念を押して、言い訳をした。



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