拾弐之参
新幹線コンコースで買い物を済ませた旅寝駅夫と星路羅針、平櫻佳音の三人は、エスカレーターで14番ホームに上がってきた。
結局三人は牛タン専門店で実家に牛タンの詰め合わせを直送して貰い、駅弁屋で牛タン弁当とビールを買っていた。
「まさか、同じものを購入していたとはな。」
駅夫がそれぞれ手に持っているものを見て呟くと、三人が三人とも同じものを購入していたことを知り、全員で一頻り笑った。
暫くして仙台始発のE5系やまびこ212号が、仙台総合車両所から入線して来た。
三人は2号車の3列シートに、窓側から順に平櫻、駅夫、羅針と座った。始発なので、然程慌てることなく自由席に三人並んで席を確保することが出来た。
「弁当食べようぜ。」
駅夫が待ちきれないといった風で、早速買ったばかりの牛タン弁当をテーブルに置く。
「まったく、待てが出来ないんだから。」
羅針が呆れたように言う。
「待ちきれないよね。」
そう言って駅夫が平櫻を見ると、当の平櫻は大曲駅で買った弁当と先程買った牛タン弁当をテーブルに置いて、一つ一つ動画を撮っていた。
「あっ、すみません。待ちきれなくて。」
そう言って平櫻は照れ臭そうに微笑んだ。
「俺より強者がいたよ。」
駅夫が称賛の声を上げ、羅針は駅夫と平櫻の目の前に並んだ弁当を見て呆れた表情をしていた。
まるで子犬のように羅針を見つめる駅夫と平櫻の視線に屈したように、俺は飼い主かと内心思いつつも、「食べましょうか。」と羅針は言った。
駅夫と平櫻はその言葉を待っていたかのように、包みを開けようとした。
「それ加熱機能が付いているからね。その紐を引っ張ると温められるよ。」
羅針は、二人が包みを開けようとしているのを制して、温め方を教える。駅夫は知らなかったようだが、余程食べたいが勝っていたのだろう、平櫻は「忘れてました。」と照れ臭そうに笑った。
二人の牛タン弁当が温まるためにシューシューという音を出したのを聞き、羅針も自分の牛タン弁当の紐を引いて、加熱を始め、更に買ったばかりでまだ冷えているビールを開けて、喉を潤した。
「あっ、星路さんだけずるいです。……はい、乾杯。」
平櫻が、ビールを開けている羅針を見て、慌てて自分もビールを開けて、強引に手を伸ばして缶を当てて乾杯し、「ほら、旅寝さんも。……乾杯。」そう言って、駅夫にもビールを開けさせる。
羅針も駅夫も苦笑しながら、それぞれ平櫻と缶を当てて乾杯した。
駅夫と平櫻の牛タン弁当が先に温まったところで、二人の表情は漸く包みを開けられる喜びに満ちていた。二人が弁当の蓋を待ちきれないとばかりに開けると、ふわっと牛タンの良い香りがあたりに漂った。
「美味いな。やっぱり仙台と言ったらこれだよな。」
駅夫が一口牛タンを食べて唸るように言う。
「本当に美味しいですね。お弁当とは思えない柔らかさで、この付属のお塩も旨味を引き立ててくれます。温かく頂けるのもポイント高いですし。」
平櫻は食べながら感想を動画に収めている。
羅針も遅ればせながら、漸く温まった牛タン弁当を開けて食べ始めた。
中には麦飯の上にぎっしりと牛タンが敷き詰められ、飾り人参と南蛮漬けが添えられていた。平櫻が言っていたように、宮城県塩釜沖の海水を、ホンダワラという海藻を通し、煮詰めて造ったという藻塩が付いていた。
羅針はまず、牛タンだけを一枚箸で取り上げて口に運んだ。
「これは美味いな。絶妙な焼き加減で歯応えがありながらも、柔らかくてジューシーに仕上がっていて、牛タン独特の旨味が口いっぱいに広がって行くのが堪んないね。……旨味を引き出せる藻塩が付属しているのもポイントが高い。……麦飯の旨味が牛タンに良く合ってるし、牛タンの味を引き立てているのが良く分かるよ。」
食べ進めながらする羅針の食レポに、駅夫と平櫻の二人も頷いている。
「ピリ辛の南蛮漬けも良いですよね。味変という程ではないですけど、良いアクセントになってると思います。」
そう言う平櫻は既に牛タン弁当を食べ終わっていて、大曲で購入したこまちの名が付いた御重を開けていた。
「流石早いね。その食べっぷりは見ていて気持ちいいよ。ね。」
平櫻の食べっぷりを見て、牛タン弁当をまだ半分も食べ終わっていない駅夫が感心したように言って羅針を見る。
「そうだな。沢山食べる女性はやっぱり素敵ですね。」
羅針はそう応え、照れ隠しのように缶ビールを呷る。
「二人とも褒めすぎですよ。照れ臭いじゃないですか。」
平櫻はそう言って頬を赤く染めながらも、その手は止まらず、御重の御飯を口に運んでいた。
三人がビールを飲みながら夢中で弁当を食べ進めていると、トンネルばかりの線路を走っていた列車はいつの間にか宮城県を出て福島県に入っていた。車内放送は、福島駅到着を知らせていた。本来なら山形新幹線のつばさと併結するのだが、このやまびこ212号は併結せずに東京へ向かうようで、併結時の注意喚起がなかった。
「羅針、あれ何の工事をしてるんだ。」
駅夫が、在来線の上を跨ぐように新幹線線路へ向かって延びてくる高架橋の工事現場を指差していた。
「ああ、あれね。山形新幹線のアプローチ線工事だよ。」
羅針が答える。
「アプローチ線?」
駅夫が首を傾げる。
「福島駅で東北新幹線と山形新幹線が分かれているのは分かるよな。」羅針はそう言って、駅夫が頷くのを確認して話を続ける。「東京、福島駅間は、東北新幹線のやまびこと山形新幹線のつばさが併結して走っているんだけど、線路の形状によって、この併解結が福島駅の下りホームでするしかなかったんだ。そのため、上りのやまびこが下りの東北新幹線を横断することになるから、進路の邪魔になって色々と問題が起こっていたんだよ。
それを解消するために、山形新幹線の上り列車を上りホームへ直接入線させるアプローチ線を新たに造ってるって訳だ。」
羅針は、タブレットの描画ソフトを使って、簡単な図を描きながら説明する。
「なるほどね。でもさ、それって盛岡駅でも同じ事じゃないのか。あそこにはこんなアプローチ線はなかったような気がしたけど。」
駅夫が羅針の説明を聞いて、更に質問する。
「ああ、盛岡駅も確かに秋田新幹線が平面交差してるけど、あそこは秋田新幹線が上りホームへ入れるように渡り線のポイントがあるから、今のところ問題にはなっていないんだよ。まあ、いずれ列車本数が増えてくれば、この福島駅と同じようにアプローチ線を造ることになるとは思うけど、取り敢えず盛岡駅は現状のままで良いらしいよ。」
「そうなのか。で、いつ出来上がるんだ。」
「一応予定では再来年の2026年度末って聞いてるけど。」
「まだ2年先か。」
そんな話をしていると既に列車は福島駅の上りホーム12番線に到着していた。
「この列車はつばさと併結しないから、上りホームに入線しただろ。もし併結があると、向こうの下りホームに入線する必要があるんだよ。ほら、今山形新幹線が出て行っただろ、あれとホームを共有しなくちゃならないから、困るって話なんだよ。」
羅針が丁度下りホームから出発していった山形新幹線を指差す。
「ああ、なるほどね。だから、こっちの上りホームで併結できるようにしたいってことか。」
「そういうこと。」
羅針の説明に、漸く駅夫は納得し理解したようだ。
二人がそんな話をしている間に、平櫻は御重を食べ終えていた。
「えっ、もう食べ終わったの。どうだった。」
平櫻が食べ終えたのを見て、駅夫が感想を求めた。
「美味しかったですよ。……ってもっと詳しくですね。」簡単に一言感想を述べた平櫻は、もっと詳しく教えて欲しいという眼差しをしている駅夫を見て、言葉を続けた。「この御重はですね、ええっと、日の丸になっているあきたこまちの御飯は冷めても美味しくて、味の濃いおかずと良く合ってました。入っていたのは舞茸天、帆立煮、メダイ焼、玉子焼、サトイモの煮物、フナの甘露煮に香の物って感じでした。秋田らしいおかずはなかったですが、味付けは宿で食べた料理と同じで、秋田の家庭料理って感じでした。とても美味しかったです。」
平櫻は今食べたばかりのものを思い出しながら答えた。
「ありがとう。……ってお前も同じの買ったのかよ。」
平櫻が食べたばかりの御重と同じものを、羅針がテーブルに載せたのを見て、駅夫は言った。
「ああ。あそこにあった中では一番美味そうだったからな。」
羅針が応えながら、包みを開けて食べ始める。
「確かに、美味いは美味いし、味付けも少し濃いめの甘塩っぱい感じで、これが秋田の味付けなんだろうけど、この白米が良く合ってる。……この白米だからこの味が成立するのか、この味だから白米が成立するのかは分からないけど、両者一体となっているし、どちらも不可欠な存在になってるんだろうな。……一品一品が丁寧に作られていて、よく考えられた御重になってると思う。これは美味いよ。」
羅針が分析するように食べ進めていく。
「そうなのか。なんか、俺もそっちにすれば良かった。」
羅針が食べ進めるのを見ながら、ちょっと残念そうに言いながらも、牛タン弁当を食べ終えた駅夫は、焼き鯖寿司をテーブルに置いた。
「その焼き鯖寿司美味しいですよ。肉厚だし、酢飯もしっかりと酢の味が利いているし、ビールに良く合います。」
平櫻がそう言いながら、缶ビール片手に、食事中の箸休めのように、焼き鯖寿司をつまんでいた。
「あっ、一足先に行かれてた。……マジで美味い。」そう言いながらも駅夫は一つ口に運ぶと、その美味さに目を見張る。そして、缶ビールをグビッと一口行き、「確かに、ビールに良く合う。これは美味い。」
駅夫は「これこれ」と頷きながら焼き鯖寿司を口に放り込んでは、ビールを流し込んでいった。
そうこうしているうちに平櫻は次の比内地鶏の鶏飯に取りかかっていた。
「それは、どう。まあ美味いってのは大前提として。」
駅夫がまた平櫻に感想を求める。
「ええ、これこそ秋田名物って感じですね。多分御飯は鶏ガラで炊いてるんだと思うんですけど、さっきの御重と違って、鶏の味が染みこんだ御飯が、しっかりと味付けされた鶏肉に負けないから、口の中で相乗効果を発揮するのか、凄く旨味が広がるんですよ。これは本当に美味しいです。付け合わせも良いですね。蓴菜の酢の物に牛蒡煮はもちろん美味しいですが、この蒲鉾にはとんぶりが練り込まれているようで、不思議な食感が楽しめるのが良いですね。」
平櫻が丁寧に感想を言っていく。
「聞いてるだけで、涎が止まらなくなりそうだ。」
駅夫が唾を飲み込み、最後の焼き鯖寿司を口に放り込んだ。
その様子を見て、平櫻は微笑んだ。
羅針はというと、二人の遣り取りを見ながら、缶ビール片手にいぶりがっこを摘まんでいた。いつの間にか御重は食べ終わり、一人飲酒タイムに突入していた。
「お前は昼酌か。」
羅針がマッタリとビールを飲んでいるのを見て、晩酌ならぬ昼酌かと駅夫が呆れる。
「ん?このいぶりがっこ美味いぞ。」
我が道を行くように飲んでいた羅針は、自分に話題が振られたのに気付いて、照れ隠しでおざなりの返事をしたが、駅夫が変な言葉を使ったのが漸く脳に届いたのか、「なんだよ〔ちゅうしゃく〕って。」と聞いた。
「昼間に酒を飲むことだよ。晩酌の昼間バージョンだな。」
駅夫がドヤ顔で言う。
「昼酌か、それを言うなら昼酒って言葉があるんだけどな。……まあ昼酌ってのはお前にしては上出来な造語だな。」
羅針が呆れながらも、駅夫を褒める。
「なんだよ、これって造語なのかよ。てっきりそういう風に言うもんだと思ってたのに。」
「どうせ、おばさんだろそういう造語を作りだしたの。」
「確かにお袋がよく使ってた。親父が昼間に酒飲んでると、『一人で昼酌してないで私にも』とかなんとか言って。」
「やっぱりな。」
羅針は呆れたように納得し、さすが駅夫の母親だと感心した。
駅夫は更に比内地鶏の鶏飯を広げ、羅針は2本目の缶ビールを開けていた。平櫻は食レポを撮りながら、更に二つの駅弁を食べていた。
その一つが比内地鶏、十和田湖高原ポーク、秋田錦牛の三種類が載ったお弁当で、鶏はそぼろ、豚は焼肉、牛は醤油漬けが敷き詰められていた。
もう一つは牛飯で、甘塩っぱい味付けの牛肉煮と糸こんにゃく煮が敷き詰められたお弁当で、煮物と卵焼き、煮豆に紅生姜が付け合わせとして付いていた。
三人は駅弁をそれぞれ楽しみながら、駅夫が頻りに平櫻に感想を求め、食レポ談義に花を咲かせていた。
そんな三人を乗せた列車が郡山駅を出ると、車窓は住宅街から田園風景へと変わった。新白河駅の周辺で再び住宅街が現れるが、県境のトンネルを潜り抜けて栃木県に入ると、那須高原を含む那須野原の風景が車窓に広がった。
皇室御用邸もある那須の自然豊かな景色は望めなかったが、新幹線の車窓から望む田園風景には青々とした作物が陽光を反射して煌めいていた。
宇都宮駅に近づくと、栃木県の県庁所在地である、人口50万の都市が車窓に広がった。
三人は既に駅弁を食べ終えていた。羅針は駅弁二つに缶ビール2本、駅夫は駅弁三つに缶ビール1本、平櫻は駅弁を六つに缶ビール1本を空けていた。
「次の小山で乗り換えだから。」
宇都宮駅を出ると、羅針が駅夫に乗り換えの準備をするように言う。
「了解。」
駅夫はそう言って、テーブルの上に散らばるゴミを、羅針が用意したゴミ袋に入れた。
「平櫻さんも、ゴミをこれに入れてください。」
そう言って、ゴミ袋を羅針は差し出した。
「ありがとうございます。」
駅弁の包み紙だけを除けて、平櫻はゴミ袋に弁当の空き箱を入れた。
「本当に全部食べちゃったんだ。凄いね。」
平櫻がクリアファイルに包み紙を入れているのを見て、駅夫は感嘆した。
「ええ。とても美味しかったです。お腹いっぱいですが。」
そう言って平櫻は照れ臭そうに、にこりと笑った。
三人の降車準備が整った頃、列車は小山駅へと滑り込んでいった。
小山駅の新幹線ホームは2面3線の変則式で、下りが単式、上りが島式で、間に上下の通過線があり、全部で5本の線路が通っている。
この駅は新幹線の他に、在来線として東北本線、両毛線、水戸線が乗り入れている。新幹線が各停しか停まらない駅ではあるが、それでも結構大きな駅である。
この後両毛線に乗り換えて、栃木駅へ向かうのだが、両毛線の発車時刻まで30分もあるため、三人は新幹線ホームでやまびこのお見送りをすることにした。
やまびこの出発を待っていると、突然轟音が響き渡り、下り通過線を山形新幹線のつばさが疾走していった。やまびこが通過線側に停車していたため、通過車両自体を見ることはできなかったが、通過の迫力を感じることは出来た。
写真や動画を撮影して、三人はやまびこの出発を見送ると、乗り換えコンコースへと降りて来た。
トイレ休憩を取り、乗換え改札口を抜けると、正面奥には出口改札口があり、学生やらビジネスパーソンやらで賑わってはいたが、三人が乗る両毛線のホームはそちらとは反対側の、乗換え改札口を出て折り返した薄暗い通路を行くような形になる。
新幹線ホームの下にあるためか、昼間なのにホームは薄暗かった。ホームへ降りるにはエレベーターか階段しかなく、エスカレーターは設置されていなかった。
三人はその薄暗い階段を両毛線ホームへと降りてきた。
8番線には既にオレンジとグリーンのラインが入った211系が停車していた。発車まではまだ時間があったので、三人はそれぞれホームで写真や動画を撮り、駅名標や列車をバックに記念撮影をした。
この両毛線は、栃木県小山市の小山駅から群馬県前橋市の新前橋駅までを結ぶが、すべての列車が新前橋から上越線に乗り入れて高崎駅まで運行している。
元々は、この両毛と呼ばれる栃木県南西部から群馬県南東部までの地域で盛んに生産されていた生糸や、桐生織に代表される織物の輸送のために建設された路線であった。現在は、貨物輸送が廃止され、地元の通勤通学客の利用が中心となっていて、一日平均通過人員は全線で一万人前後を推移している。
「羅針、このあしかがフラワーパーク駅って、あのイルミネーションの有名なところか。」
駅夫が路線案内図の前で、羅針に声を掛けてきた。
「ん?ああ、そうだな。一応花のテーマパークってことになってるけど、イルミネーションの方が有名になった場所だな。今この時期だとイルミはやってないんじゃないかな。時期的には紫陽花とか花菖蒲がメインじゃないかな。もう少し早ければ、樹齢160年とかいう巨大な藤棚が開花時期だったろうけど。」
羅針が記憶の引き出しから情報を引っ張り出して駅夫に教える。
「ああ、あの巨大な藤棚か。テレビかなんかで見たことあるよ。あれ、冬にも咲いていたような気がするんだけど。」
駅夫が思い出したように言う。
「冬に咲いていたのは、花じゃなくてイルミネーションの方な。藤棚に電飾を飾って、藤の花のように見せているんだよ。まあ、本物の花もイルミもどちらも圧感だけどな。」
「そりゃそうか。てっきり冬にも咲いてるもんだと思ったよ。イルミネーションか。確かに光ってたもんな。」
駅夫はうろ覚えだったのか、記憶を新たに書き換えるかのように、頭の中でその光景を思い出しているようだった。
「行きたいのか。」
羅針が聞く。
「いや、別に良いよ。この駅が当たった時の楽しみにしておく。時期がずれたら詰まらないかもだけど、それもルーレット旅の醍醐味だろ。」
そう言って駅夫は片側の口角を上げ、ドヤる。
「はい、はい。そうだな。じゃ、楽しみは後に取っておこうな。」
駅夫のドヤ顔に呆れた羅針は、そう言って乾いた声で笑う。
ホームはにわかに賑やかになり、発車時間が近づいたのか、両毛線を利用する乗客が相当数現れた。
二人は動画を撮影していた平櫻に声を掛けて、列車に乗り込んだ。4両編成の車両は6割方席が埋まり、立っている人もチラホラ見受けられた。
三人はロングシートに席を取り、列車の発車を待った。