すきになるというコト
ぼくは小学生のころ
どんなひとでもすきになってしまう子だった
すぐに気に入ってすきになってしまう
かんたんにあこがれてしまう
おとこの子も おんなの子も
だからぼくは
だれひとりすきにはなりたくなかった
すきになるというコト
それはつまり きらいになるコト だと
きづいたから
誰かをすきになるというコトは
その人よりも誰かをかならずきらいになるというコト
それがこわくて
あのころのぼくはだれひとりとして
なにひとつとして
どんな たべものも のみものも どうぶつも いろも あそびも
くちにだしてすきだとはいわないつもりだった
ほんとはこころはいつもきまっていたのかもしれないのに
ともだちにかたをおされて おんなの子にこくはくしたこともある
きらいになることがなによりきらいだった
矛盾だなんてことばのいみも存在もしらなかったころのぼく
でも世の中はざんこくで
ぼくは選ばないといけなかった
こころが小学生でなくなるとき
ぼくは大人になるというコトは
選ばなければいけないというコトだと
きづいたんだ
すきになるというコト
きらいになるというコト
どちらもほんとうはとてもとても
勇気のいるコトなんだと
きづいたんだ。