表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラゲと彗星蘭  作者: 暁紅桜
20/22

20話「色の世界」:叶恵side

先輩が誘ってくれた展示会を見た後は、近くのカフェでランチ。S N Sで話題になっていて、休日だったらまず入れない。でも、今日は平日。簡単に入ることができて、楽しくて美味してくて、幸せなランチになった。


「先輩、どうですか?」

「うん、よく似合ってる。可愛いと思う」

「ホントですか!あーでも、さっき他に可愛いのもあったしなぁ……でもこっちも……」


その後は、特に先輩も行くところは決めていないということだったので、ならばとこうやってショッピングを楽しんでいる。


「結局試着した方にしたんだ」

「はい。あ、先輩はあっちの方がよかったですか?」

「私はどっちでもかな。叶恵はあーいった可愛い感じの服が似合うから羨ましい」

「先輩も似合いますよ」

「お世辞ありがとう」


前から少し思っていた。先輩はこんなにも素敵なのに、自己評価がかなり低い。

絵に関してもそうだ。どんなに褒めても、確かに嬉しそうにはしてくれるけど、心の何処かでそれを本気にしていない感じ。


「じゃあ今度、叶恵が先輩の服選びます。で、選んだ服で次のデートしましょう」

「んー。まぁ自分じゃわかんないし、叶恵が選んでくれるなら」

「ホントですか!?」

「ただし、可愛すぎるのは嫌だ」

「ふふっ、はーい」


先輩は気づいているのかな。いまの話で、2回分のデートの約束をしたことを。

服選びをするためのデート。そして、それを着てのデート。

できれば年内がいいけど、それはちょっと難しいかもしれない。


「頑張って先輩が似合う服を選びますね」

「はいはい」


その後、ぐるりと施設の中を見て回った。

服に靴にカバン。化粧品に雑貨。あ、ゲームセンターにも久々に行ったりもした。

先輩と二人で出かけるのはこれが初めてじゃないけど、あの時とは違う。


「随分歩いたね。はぁ疲れた」

「そうですね。叶恵も疲れました」


隣にいるのは”恋人”の先輩。こうやって手をつなぐことも、肩を寄せ合うのも、当然のようにできる関係なんだ。


「どうした?」


叶恵がいきなり、先輩の肩に頭を乗せたせいで、不思議そうに叶恵のことを見下ろしてくる。

今いる休憩スペースは、お店が並ぶ通りから少し離れた隅の席。人が通ってもほぼ死角になる位置だった。

じっと、お互いに見つめ合う。何をするとも口にせず、自然、それこそそういう雰囲気になったから。というなんともいい加減な理由で、叶恵たちは唇を重ねた。


(あ、そういえばこれが初めてだ)


手をつなぐことは今までも頻繁にしていたけど、キスは今回が初めてだった。ゆっくりと唇が離れて、またじっとお互いに見つめ合う。

そのまま叶恵は、先輩の胸に顔を埋めたけど、途端に羞恥心が込み上がって着た。

こんな、公共の場でやるようなことではない。しかも、初めて。

頭の中はぐるぐるで、いまにも頭の中のコードが焼き切れてしまいそうだった。

ぎゅっと、先輩の服を握れば、優しく頭を撫でてくれた。

不意に耳に届く音。すぐそばで聞こえる先輩の心音はとても早かった。自分の、いますごくドキドキしているから、先輩も同じだったことがすごく嬉しかった。


「先輩」

「んー?」

「クレープ食べたいです」

「私はアイスかなぁ」


お互いに感想を聞くことはなかった。ただいつも通りに話をする。それはただ単純に恥ずかしいからとかじゃなくて、言わなくてもお互いの思っていることを何と無くわかっていたから。


「じゃあ3Fのフードコート行きましょう。確か、クレープとアイス隣同士でしたし」

「じゃあ叶恵がクレープね。後で半分ちょうだい」

「いいですよ。叶恵にも、アイス半分くださいね」

「どうしようかなぁ」


顔は見えないけど、先輩がニヤニヤしているのがわかった。

体制はそのままに、むすっとした表情で先輩を見上げれば、くすくすと笑いながら、叶恵のおでこにキスをしてくれた。


「行こうか」

「はい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ